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海外(カンボジア)ビジネスで大切な事は全てサーシャに教わった⑬あれから一年

シムサン電子のコンペから約一年。
僕たちは頑張った。

デザイン以外の仕事も増え、かなり忙しくなった。
クライアントもスタッフも外注先も増えた。

大なり小なりのトラブルはしょっちゅうあったのだが、サーシャに教えを乞わないで自分たちで解決してきた。

精神的にはちょっとハードだったが、売上も右肩に上がり、僕は、ちょっと調子に乗っていた。

変わったことは、

トレードマークの原チャリを売り、安い中古車を買った。
ハリスとピールンの給料が上がった
ローカルの理髪店で安く切っていた髪を、外国資本の高いところに変えた。
ローカルでいつも数ドルでご飯を食べていたけど、日本食やイタリアンなど高い食事をするようになった。
いろんな会合に顔を出すようになった。
シャツを仕立てるようになった。
リバーサイド(歓楽街) にいく頻度が高くなった。
パソコンを新調した。
バスではなく飛行機を乗るようになった。
旅行で泊まるホテルのレベルがあがった。
彼女ができた。

いまでもときどき顔を出すBeijing Barにいつものように夜遊びの締めにひとりで飲みにいった。

30分くらいしたらサーシャが入ってきて、当たり前のように横に座った。

「久しぶり」

「久しぶり。調子よさそうね、前よりもお金持ちにみえるわ」

といい、僕が飲んでいたレッドブルウォッカを手に取りまたもや店員に突き返された。

「ウォッカソニックをふたつ」

またそれだ。なんなんだよ。

「レッドブルとウォッカの組み合わせはやめなさいといったでしょ?一度了承したんだから続けるべきよ」

なんだか久しぶりなのに荒れ模様だな。

「で、仕事はどうなの?」

「おかげさまで会社順調だよ、ハリスもピールンも元気だよ」

「それはよかった」

「前に『キャッシュが増えてきたら、投資の勉強もしていきましょう』といったの覚えてる?」

「もちろんおぼえてるよ。いま何がいいの?不動産?株式?いいのおしえて!」

「いいわ、今日はもう遅いから明日朝食いっしょにどう?御馳走してあげる」

「嬉しいな!ぜひお願いするよ」

「じゃあ、明日朝七時にボンケンコンのスターバックスにきて」

「了解。楽しみにしてるよ」

といい、サーシャが帰ったあと、一杯だけレッドブルウォッカを頼んだ。

店員は、悪い男ね~といいながらにやけて指を差すしぐさをした。

チクらないでね、といい、僕も笑った。

オーナーが無表情でちらっとこちらを見た。

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