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アイデアの型まとめ#4 「逆境ハッキング」

アイデアの型まとめ第4段は「逆境ハッキング」
何かを世に生み出そうとすると
様々な困難が立ち塞がります。

そんな逆境を逆に利用してアイデアのパワーへと昇華させる
クリエイティブ合気道のような企画パターンを
今回ご紹介しようと思います。

① The Hidden Flag

W杯開催で世界中の注目が集まったロシアで行われた
LGBTのキャンペーンです。

逆境:同性愛宣伝禁止法
ロシアはLGBTへの風当たりが強く、
ゲイカップルが手を繋いで歩いていると暴力・暴言に晒される。
また、同性愛宣伝禁止法があり、
LBGTのシンボルであるレインボーのプライドフラッグを掲げると
逮捕される可能性がある。
LGBTの自由を世界中に求めるため、
この禁止法を掻い潜るアイデアが必要であった。

発想の転換:W杯に紛れ込ませればいい

アイデア:ユニフォームでプライドフラッグ

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サッカーW杯開催中であることを利用して
レッド(スペイン代表)オレンジ(オランダ代表)
イエロー(ブラジル代表)グリーン(メキシコ代表)
ブルー(ウルグアイ代表)パープル(コロンビア代表)の
ユニフォームを着た人が並ぶことにより、
プライドフラッグを表現。町中を練り歩き、無事に帰宅。
一見、ただのフットボールファンなので法律的には問題もない。
法律を掻い潜った巧みなアイデア。


② The Hacking Jersey

サッカーW杯の予選、ニュージーランドとペルー勝った方が
本戦出場が決まる大事な試合でペルーが勝つために行ったハッキングアイデア。

逆境:応援できないほど遠いアウェイゲーム
大事な試合がペルーから遠く離れたニュージーランドで
行われるアウェイゲームため、サポーターがほとんどいない状況での
プレイを強いられる逆境があった。

発想の転換:行けないなら居るふうに錯覚させればいい

アイデア:ペルーのユニフォームに見えるニュージーランドのユニフォーム

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ペルーの選手に少しでもホーム気分を味ってもらうために
特注のユニフォームを作成。
そのユニフォームにはニュージーランドの国土と国旗や
代表チームのスローガンなども描かれており、
スタジアム前で配るとニュージーランドサポーターたちは
嬉々として受け取ります。

スタジアムでこの特注ユニフォームを着ている一角は、
遠目から見ると“ペルー代表のユニフォームを着たサポーターたち”。
テレビ中継の実況も「多くのペルーサポーターがいます」と言及するほど。

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③ Check It Before It's Removed

ドイツで行われた乳がん啓発の施策。

逆境:SNSヌード検閲
乳がん啓発のSNSキャンペーンをしたくても
SNSでは女性の乳房が見える写真は禁止というガイドラインがある。

発想の転換:消されるなら消されることに意味を持たせればいい

アイデア:投稿が削除されること自体をメッセージに変換

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「削除される前にチェックして」というコピーと共に
乳頭を出した女性と乳がん検診を呼びかける投稿をSNSに次々とUP。
すると案の定、SNS上で運営から削除されたが
削除される前にシェアや再UPするユーザーや著名人が現れるなど話題化。

実は「削除される前にチェックして」というコピーは
「(SNS検閲によって投稿が)削除される前に見て」
「(乳がん手術によって乳房が)削除される前に検診を受けて」
という2つの意味がかかっていて
投稿が消されれば消されるほど
逆にメッセージが強まり、キャンペーンは注目されることに。


④ Narcos: The Censor's Cut

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https://www.mumbrella.asia/2019/03/dentsu-the-als-association-kfc-and-kasikorn-bank-among-the-big-winners-at-adfest-2019

麻薬密売人を描いたネットフリックスの人気ドラマ「ナルコス」の
タイでの広告施策です。

逆境:厳しすぎる放送コード
タイでは少しでも刺激的な衣装やバイオレンスは表現規制がかかる。
ドラゴンボールでは戦いの中で悟空の衣服が破れた時、
乳首にモザイクがかかったそう。
それくらいキツければ、ナルコスなど放送できる部分がなくなってしまう。

発想の転換:NGなら隠せばいい(隠した方がより見たくなる)

アイデア:表現審査で言われた通り表現規制し問題の部分だけを隠した
映像を見る方が早いので見てみて下さい。


まとめ:悪用は厳禁

逆境ハッキングはクリエイティブ合気道の極み。
相手(規制や困難)が強いほど、アイデアも強くなります。
今回はそんな天才的な広告事例のみを紹介しましたが、
悪い天才もいて、最近こんなことが話題になってました。

近年、ゲームのクオリティが実写に近づいてきて
動画プラットフォーム側もゲームの試合を配信しているのか
実際に放送されている試合を配信しているのか特定できないことに
目をつけ、ゲーム配信者のようにコントローラーを
操作する自分を合成することで検閲の目を掻い潜った件ですね。
ぜひこの人がアイデアの使い方を正しい方向に
向けてくれることを祈るばかりです。




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