見出し画像

夫とうつ③

夫にあらわれたうつの症状は、まず不眠だったようです。

眠いのに眠れない、やっと眠れてもすぐに目がさめてしまう。
だからといって昼寝しようとしても眠れない。睡眠不足で体はくたくた、思考はぼんやりなのに、どうしても眠れない、と。

ネットで調べた、うつのチェック項目に多くが当てはまっていた、病院に行こうと思う。そう告げられた。

結婚以来、夫の心の不安定さ、生きづらさをずっと感じていた私は、以前に「一度カウンセリングを受けて欲しい」と話したことがあった。

とにかく連れて行こうと病院に予約を取ろうと問い合わせても、本人でないとだめだと言われたから。そのときは「わかった」と言っていたけれどおそらく受けていなかったんだと思う。

だから、この期に及んでという形ではあっても、彼本人が自ら気づいて動いたことは良かったのだと思う。遅かれ早かれ、向き合わなくてはならなかったのだろうから。

夫が自分で調べ、隣駅のメンタルクリニックへの通院することになった。
やはりうつ状態だとの診断で、まずは眠れるようにと睡眠導入剤、それから向精神薬、症状がとくに重いときの頓服薬が処方されたとのこと。

睡眠導入剤を飲んでも、効き目が切れると夜中や未明に目がさめることも多く、そうなると急激に不安な気持ちが襲ってきてしまうようだった。
そんなときは隣のふとんから手を握って、だいじょうぶ、だいじょうぶだよと声をかけた。

症状の重い日は、ただ一日ふとんの中で横になっていた。
食欲もなく、眠れるわけでもなく。暇つぶしであるはずのテレビや、好きだった読書もストーリーがまったく頭に入ってこないので続けられない。
なにかで気を紛らわすということも出来なくて、とにかくつらそうだった。

薬も人によって合う合わないがあるようで、診察のたびに経過を報告して、種類を変えたり量を変えたりしているようだった。
きちんと服用しているのに、なかなか良くならないことにも夫は疲れはじめていた。

私は、長期的に薬を服用することには元々から不安があったし、睡眠薬や向精神薬は応急処置的なものと考えていた。
薬はあくまでも補助的なものでしかなく、体を治すのは備わっている自己治癒力で、それを高めるには、自分の心の奥と向き合うことが不可欠なんじゃないかなと感じていた。

でも今は、眠ったり食べたりという、生命を維持するために最低限必要なことが出来るようになるまで、薬の力を借りる時期なんだ、と考えていました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?