見出し画像

VRで画像展示会を開催したので、会場設計とか感想とかを振り返る会


VR内で「PNG形式ならなんでも集めて掲載する」という趣旨の展示会イベントを開催した。
元々はもっと小さな規模のつもりだったのだけど、なんか気づいたらめちゃ大きな話になっていた。
振り返りも兼ねてパッーーと走り書きで書いたのだけど、VR内でイベントやりたい人とか、どんなこと考えてたのか興味ある人向けに軽く共有しよかな、って気分になったので公開します。
VRC学園卒業直後の抒情的な文章ではないので悪しからず。


会場設計

まず始めにclusterやVRChatに存在する美術館ワールドを見つかる限り全て回った。
そこで感じたことは「美術館」という空間と「VRSNS」の相性の悪さ。

VRSNSは基本的にその場にいるプレイヤーとVRを介してコミュニケーションを取ることを楽しむものだと思う(諸説ある)が、美術館にありがちな複雑且つ仕切りの多い構造や、空間的制約が無いからこそ肥大化するワールドが、ワールドを訪れるプレイヤーの体験を損なっているように感じた。要は楽しめない要素をワールドが持ってしまっているように感じた。
プレイヤーは「どこで・誰と・なにをするのか」という順番で日々の行動を決めているというよりは、「誰と・なにを・どこでするのか」という順番で楽しんでいるように思う。これはVRSNSのプレイ時間が長くなればなるほどそういう傾向がある気がする。
であれば、「誰と」の部分を損なわせるような空間設計は、ワールドに訪れるユーザー体験を下げるだけで誰もハッピーにならないんじゃね?と考えた。

ぼく自身も、VRChat内で画像展示会をするのであれば、出展者と参加者がコミュニケーションを取って直接感想を言う機会があったり、新しい作品や沼との出会い、ユーザーとの出会いが生まれるような空間設計をしたいと思っていた。つまるところ、PNGミュージアムという空間で空間として成したかったことは「美術館」ではなく「VRSNS」をやって欲しいということだ。

よって、ワールドに入ってすぐに誰がどこにいるかが一目で分かりやすく、人が集まりやすくなるような場所を設け、主役である作品から視点を逸らさせる要素であるディテールにこだわることを止めた。

その結果、横長の箱の壁沿いに作品を展示し、中心に生まれた広場を遊び場、ないしはイベント会場・集合写真の撮影場所として使えるようにする余白部分を設けた。また、空間的には開放感を出した方が訪れるプレイヤーたちを少なからず開放的に・高揚させると思ったので、天井をルーブル美術館のような半円柱型のような形にして、天井に窓を設けることで蛍光灯のようなディテールを設けることなく採光するような設計にした。

これは個人的に尊敬している建築家の言葉なんだけど「こう使って欲しいと想定した以上の使い方を、訪れた人がしている姿を見ると余白を残すことができたのだと感じられる」みたいな話が、イベントや何かを設計するときに常に頭にこびりついている。
そういう意味もあって、展示作品の並びは意図的にランダム性を持たせたし、中心の広場を設けて、画像制作ツールと称して物を置いたり、ペンを置いたりした。結果的にぼくが見ている限りでは、なんというか自由に遊んで、楽しんでもらえたように見えているので、余白が作れたのかもしれないな~と感じている。

なぜ画像展示会をやろうと思ったのか

簡単に言えば、ユーザー全員がクリエイターと称されるVRChatにおいて観測・賞賛されやすい創作のジャンルがあることにムカついたからだった。

もちろん、アバターや小物、ワールド制作者が衆目を集めやすいことは誰もが使うものなので当然だと思っているし、問題だとは全く思わない。けれど、Twitterでイラストや漫画、フライヤーやコラ画像は身内だけで消費され、観測されにくく称賛も受けにくいのは勿体なく感じた。

ぼくはVRC学園に入って講義を受けることで、VRという沼の中に更に多くの沼があってみんなどこかの沼で楽しく遊んでいることを知ったのだけど、実はそれを知る手段ってなかなか普通に遊んでいるだけでは、得られないのではないか?むしろ、その沼を紹介するのに一番貢献している人たちってイラストや漫画、フライヤー、コラ画像を作っている人なのでは????となったのが大きい。だからやることにした。


実際にやってみて

第一回(4/11~4/18)の出展者は25人、作品数は63で、8日間の累計来場者数は2,115人だった。あまり実感というかよく分かっていないのだが、VRChat的にはバズっていたらしい。確かに色んな人がその存在を知っていたし、全く関わりのなかった人が出展・参加してくれたことも考えるとそうなのかもしれない。正直、めちゃくちゃ目立ちたくないので、イベントが盛り上がって嬉しい気持ちと、目立ちたくねぇ...という気持ちのせめぎ合いがずっと続いていた。


とはいえ、出展してくれた多くの人の感想が「直接感想を貰えることが嬉しかった」だったことや、DJ界隈の方が「1枚でいいから過去のフライヤー出展すればよかった」などと話していたこと、フレンドのささうささんや桜鞠ステさんが「入ってきて一目でみんながいる場所が分かるし、中心が広場になっているのがよかった」という構造の感想を頂けたことも嬉しかった。

これはぼくが作品を提出した側ではないので実感が湧かないのだが、Twitterで自分が描いた漫画やイラストのような作品がVR上で見れるという体験は、想像以上に作者にとって嬉しいことらしい。
VRC学園のクラスメイトですっかり人気者になってしまった、きゅーさんのイラストを自宅ワールドに飾っらせてもらったときも大層喜んでいただいたのだけど、こればっかりは自分が作者になれないので分からないのが悔しい。

感想や結果的な数字を見れば、十分以上、むしろ自分の身を丈を超えた成果のようにも思える。もちろん、ワールド制作や運営においてミスや改善ポイントが無いわけではないのだが、、


PNGミュージアムの今後

PNGミュージアムは開場当日の11日から次回開催を希望する声が集まっていて、会場でのイベントや、会場以外で会う人たちからも同様に伝えられることが多かった。正直めちゃくちゃ悩んだのだが、結局第二回を開催することにした。


これは参加した人や今回参加できなかった人たちからの声のおかげ、、というより、出展者のみなさんが本当に嬉しそうにしてくれていたことが一番の理由だ。後は、もう引けないというか、この喜びを与えて、ここで引いたら、釣った魚に餌をやらない奴みたいになりそうでそれはそれで嫌だな、、というのもあったりしたり。

それに先日発表されたVRChatの大型アップデートの中にユーザーへの投げ銭機能が追加されたこともあったりする。これのおかげで、PNGミュージアムに出展した人が参加者から投げ銭を受けるきっかけになる可能性や、最近のNFTアートの盛り上がりも鑑みると、PNGミュージアムが「画廊」として機能する可能性も考えたりした。まぁこの辺は予測というか、本当にそういう発展の仕方もあるかもね~くらいの話だけど。

仮にPNGミュージアムをやらないと投げ銭機能の使い道は結局アバターや小物、ワールド制作者に行き、発表の場がVRではなくTwitterであるイラストや漫画、フライヤー、コラ画像を制作している人が投げ銭されるきっかけが存在せず、よりそこに溝のようなものが生まれてしまうようにも感じられた。そういった意味で、次回も開催する価値はあるように思う。そうなるのは本意ではないし、じゃあやるか~~ってね。


もし、この文章を読んだ方の中で、イベントの設計とか開催で相談相手が欲しいみたいな方がいれば、気軽に声かけてください~別に大したことは言えないと思うんですが、まぁ相談相手がいるのといないのでは、一歩踏み出せるかどうかに影響があると思うので!

それと第二回PNGミュージアムのお手伝いをしてくれる方も募集しています。
ワールドの作り直しとか、提出用のプログラム設計とかは必要なくてどちらかというと、作品の展示や折衝といった細かくて地味な作業が多いと思うんですが、ぼくが楽になるためにもし興味があれば、VRC内やDMで声かけてもらえれば!


抹茶ラテがのみたい