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New hair, New me

ようやく寒い冬が終わり、暖かい日が増えてきた。
朝、目が覚める頃にカーテンのすき間から漏れてくる光も、少しだけ眩しい。


「寒い思いをしなくていい」、そのことだけで気持ちが軽くなる。


仕事を辞めてから、当然ながら朝の時間に余裕が生まれた。
体内時計はまだ狂っておらず、仕事に行っていた時と同じ時刻に目が覚める。同じようにベッドから起き上がり朝ごはんを食べても、その後なにをしていいか分からない。

時間があるうちにスキルを身に付けて、会社に属さなくても生きていけるようにしておいた方がいいんだろう。
そう思い、唐突ながらWordPressをやってみることにした。
昔、ホームページ制作は楽しんでやれていたことを思い出したからだ。

WordPressは使ったことが無かったので、ネットでやり方を調べて途中までは色々と試したのだが、10分も経たないうちに嫌になった。

今の自分は、「1人でも生きていけるようなスキルが欲しい」より「何もしたくない」という気持ちの方が圧倒的に勝っているようだ。
この「めんどくさい」の気持ちが生まれる背景はなんなのだろうか。この気持ちは自分が熱中できることに巡り合えたら無くなるのだろうか。

どうしても気分が乗らず中途半端なところで辞めてしまい、昨日はそのことでひどく落ち込んだ。


「結局のところ、自分はほどほどの人生を過ごしていくのだろう」
そう思った。


失意のまま眠りについた翌日、こちらも唐突に思い付いたのだが髪の毛を久しぶりにバッサリ切ることにした。

普段行かない美容院を予約し、若い女性のスタイリストに切ってもらった。
彼女は丁寧にヒアリングし、自分の要望ひとつひとつに真摯に答えてくれた。

その結果、自分がイメージした通りの髪型にしてもらえた。

単純な話だが、髪の毛をバッサリ切ると新しい自分になれた気がして嬉しかった。

そして、美容院の帰りに近くの公園を散歩する。
夕方のまだ明るい時間、大勢の子どもやお年寄りが思い思いの場所で過ごしていた。

普段、会社の中で働いていたら見ることのできないその景色は、信じられないくらい平和だった。

暗くて重い空気が流れるあの会社の中で自分が辛い思いをしている間、外の世界ではこんなにも平和な時間が流れていたのかと考えさせられる。

それと同時に、少し希望が持てた。
会社と自宅の往復だけが自分にとっては世界の全てだったからだ。
いざ外の世界に出てみると、尊ぶべき世界はいくらでもある。

仕事のことを考えなくてもよくなったからか、暖かい気候になってきたからそう感じるだけなのか。


それでも、

一生懸命に公園を走り回る子どもたち

楽しそうに話し込んでいるママ友たちの集団

咲き始めた桜

ベンチに座って鳩にえさをやっているお年寄り

ランニングしている若者

公園内を吹き抜ける心地いい風


全てが、綺麗だった。


今後自分がどうやって生きていたいか、何を仕事にしたいか、とか考えだすと頭の中が散らかって、答えが出ない。

でも、今日のような平凡な日常の中にある美しさを忘れないようにしていたい。


それだけは、確か。



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