『二人藤娘/日本振袖始』の話

どうも、私です。

今日は、「第9回 シネマ歌舞伎の話」をします。


2022年度最後の、シネマ歌舞伎です。


お付き合い下さい。

今回のシネマ歌舞伎は、『二人藤娘/日本振袖始』の2本立て。
坂東玉三郎さんによる舞踊物だ。

姉「玉三郎さんの舞です」

私「約束された美」

と私達は、予告編から美しかった玉三郎さんの舞に期待を膨らませて映画館へ向かった。


※ここからは、ネタバレしかないです。ご注意ください。


  • 「シネマ歌舞伎へお越しいただき、ありがとうございます」

姉、私「玉三郎さんだ!!!!!」

今回はなんと、坂東玉三郎さんご本人による物語の解説からスタート。
どんな舞踊物なのか、どんな場面が見どころなのか。
玉三郎さんの優しい口調で、解説が為される間、私はずっと考えていた。

私「解説してるだけなのに、綺麗だな。本当に、私と同じ人間なのかな。いや、多分、坂東玉三郎という人は、人間の姿を借りた神様なんだ。絶対そうだ。神様だ」


坂東玉三郎=神様

「ちゃんと、解説聞けや」と、誰か、こいつを殴って。
(聞いていたけど、綺麗だったんだもん…)



『二人藤娘』


  • 美しい藤の精(坂東玉三郎さん・中村七之助さん)による舞

元々は、『藤娘』という舞踊物だったのを、『二人藤娘』としてアレンジ。

花いっぱいの藤の木。その木から現れた、2人の藤の精。
彼女達は、男心のつれなさや裏切りを怨みながらも、恋してしまう切なさを舞う。

姉「玉三郎さんも七之助さんも、女じゃん」

私「圧倒的美」

そう思っていたときだった。

玉三郎さんと七之助さんの早着替えの合間や、長唄の合間に、滅多に見られないお化粧をする姿や幕開け前の緊張感漂う雰囲気を捉えた斬新かつ貴重な映像が流れたのだ。

姉「斬新!!!!!」

私「そして貴重!!!!!」

色とりどりの着物や様々な舞の美しさ、そして舞台裏の緊張感。

最後に藤の花を担いで花道に立つ姿は絵画のようだった。

終演後の玉三郎さんと七之助さんが、楽屋へ戻っていく姿まで収録されている映像を見て、私達は互いの顔を見合わせた。

姉「ここまで、見せてもらえるとは…」

私「大盤振る舞いだな、おい…」



『日本振袖始』


  • 八岐大蛇伝説がベースとなった作品

八岐大蛇への生贄として捧げられる、稲田姫(中村米吉さん)
八岐大蛇と因縁がある、素盞嗚尊(スサノオノミコト)(中村勘九郎さん)
稲田姫を襲う、岩永姫実は八岐大蛇(坂東玉三郎さん)

の3人(?)がメインとなる作品。

岩永姫は、妹である木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)と共に、天照大神の孫・瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に献上されたものの、瓊瓊杵尊が妹にしか目もくれず結婚したことを機に、妹に嫉妬。
何度となく妹の命を狙っているうちに、素盞嗚尊と対峙した際、彼から、十握の宝剣(天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)との別名もある三種の神器のひとつ)を奪って逃走した。

そして、そんな彼女の正体は八岐大蛇だったのだ。


情報量多い。


八岐大蛇には、毎年1人の生贄が必要となる。
そうしなければ、祟りに見舞われるからだ。
素盞嗚尊からの指示で、毒酒が入った瓶を8つ用意した村人は、生贄を選んだ。

選ばれたのは、稲田姫。

村人「お願いします」

稲田姫「えー……」

村人「あとこれ、素盞嗚尊様から預かった剣です。大蛇が酒を飲んでいる間に、隙をついて顎を刺して下さい」

稲田姫「えーーーーー……」

稲田姫を置いて帰る村人達。
素盞嗚尊の到着を信じて、祈る稲田姫の前に岩永姫が現れる。

岩永姫は、酒に気づくと8つの瓶全てを飲み干す。
そして舞を舞った後、稲田姫の存在に気づいた彼女は八岐大蛇に変身。
稲田姫をひと口で飲み込んだ。

姉「玉三郎さんも米吉さんも、女じゃん」

私「めっちゃ綺麗」

その時、花道から素盞嗚尊が登場。

引き戸が開いて、勘九郎さんが勢いよく歩いて登場する姿は勇ましく、格好良かった。

姉「勘九郎さん、いい男!」

私「格好いい!」

そこへ、八岐大蛇がやって来た。

先程までの妖艶さが消えた化粧と、素盞嗚尊に牙を剥く玉三郎さんの姿は大蛇そのものだった。

過去の因縁から、八岐大蛇も素盞嗚尊も一歩も引き下がらない。
素盞嗚尊に斬りつけられた、八岐大蛇のそれぞれの頭の動きがアクロバティックだったり、素盞嗚尊の動きを止めようとする八岐大蛇の手の動きが、本当に玉三郎さんが妖術を使っているような自然さを感じられたりと、この対決は目を見張るものがあった。

そこへ、飲み込まれていた稲田姫が奪われていた十握の宝剣と共に、八岐大蛇の体内から避難。宝剣を手にした素盞嗚尊によって、八岐大蛇は倒されたのだった。


終演後。

姉「もう、中村兄弟も米吉さんも最高かよ」

私「八岐大蛇に飲み込まれたときの、米吉さんの海老反りが半端なかったわ」

姉「玉三郎さんの岩永姫からの八岐大蛇への変身がさ…」

私「さっきまで綺麗だったのに、普通に怖かったもんね」

姉「ほんで、メイキング映像の大盤振る舞いよ」

私「あんなに見せてもらえていいのかな」


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