『坂東玉三郎 初春お年玉公演』の話
どうも、私です。
今日は、「新年から、天女のように美しい人に会ってきた話」をします。
本当に美しすぎて、同じ人間じゃない気がする←
お付き合い下さい。
◆
姉「むぎちゃん!!!!!」
私「何!!!!!」
大声すぎる姉に大声で応えると、姉は携帯電話の画面を見せて来た。
そこには、大阪松竹座での
『坂東玉三郎 初春お年玉公演』
を知らせる玉三郎さんの美しい姿が映し出されていた。
姉、私「はい、綺麗!!!!!」
と2人でその美しさに叫んでいると、母が騒がしい姉妹のところへ呆れた表情を浮かべながらやって来た。理由を話して聞かせ、画面を見せると、
母「はい、綺麗!!!!!」
と母も絶叫。
母「見に行くの?」
姉「その予定ですが、一緒に行きますか?」
母「お母さんも行きたいけど」
私「御園座のときと同じ言い回しやん。笑」
当日。
母、姉、私「はい、綺麗!!!!!」
大阪松竹座の出入口には、『謹賀新年』の一言と共に、着物姿の玉三郎さんのパネルが飾られていた。
美しすぎるやろ!!!!!
と大声で叫びたくなるのをグッと堪えながら中に入ると、ロビーには『天守物語』の富姫と亀姫の衣装を纏った玉三郎さんの特大ポスターが。
私は、玉三郎さんの美しさに、一瞬息が止まった。
すると、姉が携帯電話を取り出し、私を見た。
姉「むぎちゃんと玉三郎さんのツーショット、撮ってあげようね」
私「いや、私のような人間が玉三郎さんとお写真だなんて……」
撮ってもらった。←
母「席近い!」
姉「こんな至近距離で、玉三郎さんの美を浴びたらヤバい」
私「死ぬやつや」
客席に入ると、今までに体験したことのない席の近さに、
私のような人間が、こんな至近距離で玉三郎さんを……?
絶対何かの間違いじゃない?間違ってないけど。
と謎の申し訳なさと訳の分からない感想が押し寄せて来た。
とその時、開演を告げる拍子木が鳴り、紗幕に獅子舞が登場。
『あけましておめでとうございます』
という言葉と共に舞を終えると同時に、幕が上がった。
※ここからは、ネタバレになります。ご注意下さい。
第一幕
幕が上がると、そこには出入口のパネルと同じ着物姿の玉三郎さんがいた。
はい、綺麗!!!!!
玉三郎さん「新年あけましておめでとうございます。坂東玉三郎でございます」
客席から、拍手が起こる。
玉三郎さんは、ユーモアを交えて口上を始めた。
玉三郎さん「ここ数年、大阪松竹座で『新春お年玉公演』を上演しておりますので、大阪でお正月を過ごし、公演が終わると、寂しさを感じながら大阪を離れるのですが、今年はこの公演が終わればすぐに、春風亭小朝さんとの『春のひととき』のお稽古・公演が始まりますし、その後は『坂東玉三郎コンサート 星に願いを』というコンサートも開催されますので、大阪を離れる寂しさを感じる時間は、あまりないまま過ごすのではないかと思います。笑」
姉「今月、ずっと大阪にいるからね。笑」
私「目白押しやな。笑」
母「そりゃ、寂しくないか。笑」
玉三郎さん「さて、この『新春お年玉公演』では、例年、少しでも女方の素晴らしさをお伝えしようと思い、衣装を数着、皆様にご覧に入れていたのですが、あまりに衣装が多すぎて、これ以上増えると、私の生活できる場所が食事をする場所と寝室だけになるということで、倉庫を借り、専門の業者の方にお願いして、保管・管理をすることになりました。笑 そして、この度、私の衣装がイギリスのオックスフォードにある美術館に展示されることが決まり、衣装は今、オックスフォードにあります。ですので、例年のように、衣装をご覧に入れることが出来なくなりました。その代わりに、と今回の公演に向けて、紫の孔雀の衣装を新調しようとお願いしたのですが、なかなか仕上がらず、失礼を承知でそれとなく確認をしたら、仕上がるまでに2年掛かると言われまして。では、別のものを、と手元にあった衣装の修繕をお願いしましたら、こちらは4年掛かると……。出来上がるのを待っている間に、オックスフォードの展示が終わって、衣装が手元に戻って来ると思います。笑」
と思わぬ展開に、客席から笑いが起こる中、玉三郎さん自身も笑っていた。
可愛い!!!!!
それから、大阪松竹座での思い出話になったのだが、ふと、玉三郎さんの口から出た、
玉三郎さん「皆様の記憶にもあるかと思いますが、仁左衛門のお兄さんの襲名披露公演も思い出深いですし……」
という言葉に、ドキッとした。
仁左衛門のお兄さん……。
くぅーーーーー!!!!!←
口上が終わると、玉三郎さんは椅子に腰かけ、女方の魅力を語り始めた。
玉三郎さん「女方をしていても、中身は男性ですので、いかに女性らしく見えるかを常に意識しております」
例えば、と玉三郎さんは立ち上がった。
玉三郎さん「立っているだけだと、ただ女方の格好をした男性が立っているだけなんですけど、こうやって曲線を意識して立つと……」
と立ち方を少し変えただけで、女性らしく見えるし、
玉三郎さん「また、女方の役者によって歩き方もいろいろありまして……」
と舞台の隅から隅まで歩くだけで、美しい女性に見える。すると、
玉三郎さん「手拭いの扱い方ひとつでも、そうです。ただ掛けるだけでは、立役の役者のように荒々しいだけですが、こうやって掛けると違いますし、手拭いを使った振付を実践しますと……」
と今度は手拭いを手に、少し唄いながら、踊って見せた。
玉三郎さん本人にとっては他愛ないことかもしれないが、客席からは、その手拭いの扱い方や踊りの美しさに拍手が起こった。
それに対して、玉三郎さんは、
玉三郎さん「こんなにお褒め頂けるとは思っても見ませんでした。笑」
と照れ笑いを浮かべた。
ほんの一瞬見せたその笑顔が、あまりにも可愛らしくて可愛らしくて。
一生見ていたい。
(お巡りさん、こいつです)
その後、玉三郎さんは衣装を着替え、地唄舞『黒髪』を披露。
愛しい恋人を思って、寂しさを募らせる女性の心を描いた唄に合わせて、美しい舞を見せる芸妓(坂東玉三郎さん)に客席全体が息をのむ。
私はその圧倒的な美しさに、改めて思った。
これが、坂東玉三郎か。
第二幕
第二幕は、『天守物語』の映像が紗幕に映し出されるところから始まった。
姉「『天守物語』……!!」
私「富姫……!!」
母「いやだから、天女かって……!!」
と映像に映し出される富姫(坂東玉三郎さん)の美しさに見惚れていると、紗幕が上がり、舞台上には薄(上村吉弥さん)、侍女(坂東玉朗さん)、そして、
富姫がいた。
姉、私「本物だ……!!!!!」
『シネマ歌舞伎』とは違う、生の『天守物語』の一幕。
私達は、その妖しさと美しさ、時折見える残酷さを見つめた。
すると、再び紗幕が下り、映像には、亀姫眷属十文字ヶ原 朱の盤坊(中村獅童さん)が登場。
3人の禿や薄とのやり取りが行われた後、再び紗幕が上がり、登場したのは、亀姫(坂東玉三郎さんによる一人二役)。
その隣には、富姫が映し出されたスクリーンが置かれている。
富姫と亀姫の夢の競演だった。
富姫「せっかくだから、箏の演奏を聴かせておあげ」
亀姫「はい」
とやり取りされた後、亀姫は箏の演奏を始めた。
玉三郎さんに、出来ないことなんてあるのだろうか?
と思うほど、あまりに何でもこなせるその姿に感激した。
箏の演奏を3曲終え、拍手が起こる中、紗幕が下りる。
映し出されたのは、大阪松竹座の正面玄関。
中に入ると、亀姫の格好をした玉三郎さんが立っていた。
玉三郎さん「ここからは、大阪松竹座の歴史について触れていきたいと思います」
姉「亀姫でお出迎えはヤベェよ……」
私「それな……」
玉三郎さんによる大阪松竹座の歴史紹介の後、
玉三郎さん「では、これから舞台にご案内したいと思います」
と普段見ることは出来ない、舞台上、花道からの景色や装置の紹介がされた。
姉「凄い……!」
私「あんな感じなんだ!」
母「景色、凄いな!」
と普段見ることの出来ない裏側に、客席からはおお、と歓声が上がっていた。
大阪松竹座の歴史が紹介された後、紗幕が上がり、地唄舞『由縁の月』が始まった。
広告・ポスターでも紹介されていた艶やかな衣装に身を包み、玉三郎さんの舞が始まると、客席は、その美しさと艶やかさに静まり返った。
私は艶やかに舞う、玉三郎さんの姿を見つめながら、同じ時代に生きて同じ時間を過ごす、この一瞬に対して凄く感謝した。
そして、坂東玉三郎という存在の偉大さを改めて感じた。
終演後。
私達は、それぞれの顔を見合わせた。
姉「玉三郎さんを見ていると、紫に色づいた色気に包まれる感じがする」
私「分かる!半端ないよね!それに、笑顔が可愛い」
姉「あの照れ笑いは、ずるいよ!」
私「それ!ずるい!」
母「同じ人間とは思えないよ、あの色気は。やっぱり天女なんだよ(?)」
姉「でも、これ以上近い距離で玉三郎さんを見ると、美しさと色気で目が潰れる気がする(?)」
私「あー、潰れるね(?)」
ずっと何を言っているか分からない感想を言った後、姉は大きなため息を吐いて言った。
今日の出来事は、どう考えても夢だと思う(?)
夢だわ(?)
よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧