父の話

父は、私の父であり母の夫である。家族の為に30数年間、命がけの仕事をし、今も命がけではない程度に働いている。

父は、背が高い。そして、目が怖い(らしい)。
今から紹介するのは、私が中学生の時に体験した話である。

授業参観があった、その日。
母の代わりに、父が来ることになった。授業内容は、技術。技術室の後ろに、限られたスペースがあって、何人かのお母さんが来て微笑ましく見つめている。その中に父はいない。すると、私の隣に座る男子生徒が、私に囁いてきた。

男子「…なぁ」

私「…何よ」

男子「…あれ、誰のお父さん?」

何が?と出入口を見ると、出てすぐの場所に父が立っていた。服装は白いシャツに黒のスラックスと普通だったが、目が怖いと言われるのを本人なりに気にしたのか、サングラスをかけていた。

私「…あぁ、うちのお父さん」

男子「…え、お前の!?どう見たって、アレじゃん」


察したけど、父はカタギです。
弾はまだ残ってるし、ドンパチしないからね!?


担任「よ、よかったら中に」

父が怖いのか、恐る恐る声をかけたのをスマートに断った後、父は私に手を振り、授業を見つめ続けた。そして、本人的には、

父「あぁ、むぎの隣は男の子なのね」

くらいで見つめていたらしいのだが、

男子「怖い怖い怖い怖い怖い。お前のお父さん、怖い」

とずっと言っていた。その男子には、


父「お前、むぎに何かしたら分かってるだろうな?あ?」


的な感じに見えたらしい。


サングラス、逆効果じゃん。
ていうか、かけるなよ。笑


父「お前の担任、滅茶苦茶緊張してたな」

私「お父さんが怖いからだと思うよ。だって、隣の男子、完全にヤクザだって言ってたもん」

父「失礼ね!私、これでも真面目なのよ!?」

なぜかオネェ口調の父と笑い合いながら帰り、授業内容や父の様子を話すと、母も姉も笑っていた。

ちなみに、父は30数年間働いた職場では、その厳しさから『鬼軍曹』と呼ばれていたらしいが、私達家族が遊び半分で食べて撃沈した、わさび味の猛烈に辛いおかきをわざわざ差し入れて同僚達を撃沈させるなかなかな茶目っ気!?の持ち主である。

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