『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』の話

どうも、私です。

今日は、「第7回 シネマ歌舞伎の話」をします。


ラン ランララ ランランラン


お付き合い下さい。

上演が決定されてからというもの、ずっと気になっていた、
『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』
それがシネマ歌舞伎で見られると知った私達姉妹は、それはそれは興奮した。

姉「何としても、見なければ」

私「姉に同じ」

上演当時は、昼夜通しての公演だったので、全編見ると6時間は要するこの作品。
シネマ歌舞伎では、前編・後編に分けて上映され、また途中で15分の休憩時間が設けられた。


6時間は、ヤベェよ←


※ここからは、ネタバレで薙ぎ払われないようにご注意下さい。



  • 『映画』の実写化ではなく、『原作』の実写化

『風の谷のナウシカ』といえば、1984年に公開されたアニメ映画が有名だ。
だが、この映画は宮崎駿監督が雑誌『アニメージュ』で執筆した原作漫画・全7巻のうち、2巻66ページまでを映画化したもの。原作自体は1982年~映画公開後の1994年まで連載されていたのだ。


つまり、映画≠原作完全映画化ではない。


私「え、そうなの!?」

姉「私も、初めて知ったときは白目剥いたよ」

高校生時代に図書室にあった原作を全巻制覇したという姉から、いつぞやにこの事実を聞いたとき、私は白目を剥いた。
私も、小学校時代に図書室に原作があったので多少かじってはいたが、記憶が正しければ全巻揃っていなかったし、揃っていたとしても理解できたかどうかは難しい。


だって、映画と比じゃないもの。
登場人物の数も、設定も。何もかも。


なので、『原作』の実写化だと今回聞いたときは、喜んだのと同時に白目を剥いた。


私、ついていけそ?
大丈夫そ?



  • 開幕早々

この作品では、アスベル役で出演の尾上右近さんが口上役で出てくる。
新作歌舞伎であることや作品の背景、設定を話していると、彼の背後から映画のオープニングで見られるタペストリーが幕となって出て来た。

口上「この幕はタペストリー幕と言って、お芝居の中でも度々出てきますが、本作上演にあたっての特注品でございます」

映像内の客席「おーーーーーー」

姉、私「おーーーーーー」

特注のタペストリー幕を使い、ナウシカ達の住む世界に伝わる『伝承』についての説明が始まり、私達はじっくりと聞き入った。

そして右近さんが口上を終え、捌けた後、現れたのは尾上菊之助さん演じる、ナウシカだった。


本物ーーーーー!!!!!



  • やはり、本物すぎる皆様

ワンピース歌舞伎の時にも話したが、

今回も、全員が全員、本物だった。


実写化を考えるときは、ナウシカ歌舞伎を見てからにしようぜ!!!!(大声)


中でも私は、ナウシカに出てくるキャラクターの中で、ユパ様(尾上松也さん)とクシャナ殿下(中村七之助さん)が好きなのだが、松也さんと七之助さんの演技力も相まって、


やっぱり好き!!!!!


となった。特に、クシャナ殿下の美は綺麗すぎるあまり恐ろしくて、正直言って、


クシャナ殿下の女になりたい。


という謎すぎる願望を抱くぐらいには、七之助さんが演じるクシャナ殿下は美しく、ひれ伏したくなる程に強かった。一方、姉は、

姉「クロトワ(片岡亀蔵さん)が、クロトワすぎて笑った」

と言っていて、映画を見て想像していたクロトワが、そのまま実写化されていて、私も笑った(褒めています)


また、菊之助さん、七之助さんの他に、映画には未登場のマニ族の娘・ケチャを演じる中村米吉さんが登場するのだが、全員が全員、女性すぎた(褒めています)



  • 映画とはまた違う世界観

先程もチラッと触れたが、今回は「原作」準拠なので、映画では触れられなかった国や人々も出て来るし、映画以上の結末が待っている。

  • 土鬼(ドルク)を治めるナムリス・ミラルパ兄弟(坂東巳之助さんによる一人二役)の野望。

  • 兄弟の野望に苦悩するチャルカ(中村錦之助さん)。

  • マニ族僧正(中村又五郎さん)の平和を祈る姿。


など、『原作』でしか見られない姿を見ることが出来る。


序幕の前半までの物語が『映画』で見るナウシカ
それ以降は、『原作』でしか知ることの出来ないナウシカ



と思って見ると、物語の奥深さや登場人物達の心情、それまで歩んできた人生が分かるのではないかと思う。

ワンピース歌舞伎同様、映画や『原作』で予習すると面白さが増すので、ぜひ。


  • ナウシカ・レクイエム

物語の重要なシーンで『ナウシカ・レクイエム(遠い日々、王蟲との交流)』通称『ラン ランララ ランランラン(←言い方)が流れるのだが、王蟲(声・市川中車さん)が、幼いナウシカとの交流について話す場面はもちろん、意外な形で流れる。

異母兄や父・ヴ王(中村歌六さん)を恨んでいたクシャナ殿下。
カボにあるトルメキア基地に、船を奪いに来た際、第三皇子(中村吉之丞さん)と対峙し、抹殺されそうになったところをクロトワの機転により救われる場面があるのだが、クシャナ殿下やクロトワ達を見捨てた第三皇子が乗った船は、その後、蟲の大群に襲われて墜ちてしまう。それを目の当たりにした彼女は、恨んでいた相手の死に呆然とした後、蟲の大群からクロトワや部下達を守る為に、子守歌を歌う。


その子守歌のメロディが、『ナウシカ・レクイエム』なのだ。


姉、私「思っていたより重要ーーーーー!!!!!」


あと、クロトワ。そこ代われ←



  • 歌舞伎としてのナウシカ

『新作歌舞伎』と銘打っているだけあって、


  • ナウシカによるメーヴェでの飛行

  • ユパ様とアスベルが土鬼で共闘する際の本水を使った殺陣

  • ナウシカと巨神兵を巡って衝突した際に見せる、ナムリスの背ギバ

立ち回りで投げられたり、蹴飛ばされたりした際に飛び上がって尻餅をついて、足を開く動作を『ギバ』というそうで、今回のナムリスのように背中から飛び込む場合は『背ギバ』といいます。勉強になるけど、ヒヤッとしますね。笑


など、見どころは沢山あるが、中でも私達姉妹が圧倒されたのは、

ナウシカの子となった巨神兵・オーマの精(尾上右近さん)と墓の主(声・中村吉右衛門さん)が実体化した精(中村歌昇さん)による連獅子をモチーフとした獅子物の舞である。

舞台から花道へと何度も往復しながら、髪を振り乱しながら舞う姿は圧巻だった。


ナウシカ歌舞伎=歌舞伎のいいとこ取りと言ってもいい。


終演後。

私「どうでしたか」

姉「原作の結末はもっとクールな感じだったけど、歌舞伎の大団円な結末もよかった」

私「オーマ、いい子すぎる」

姉「何だかんだで、ナウシカを庇って、クシャナ殿下にトルメキアを任せて死ぬヴ王も最高」

私「声の出演、豪華すぎ」

姉「ていうかさ」

私「ん?」


クシャナ殿下、綺麗すぎ!!!!!

それな!!!!!



よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧