スコーン戦争
私は、姉が作るスコーンが大好きだ。無性に食べたくなる。実際に食べたことはないけど、50個は余裕だと思う。
だから、姉にお願いして作ってもらう。どんな風にお願いするかというと。
私「そろそろ、スコーンが美味しい季節になりましたね」
姉「いつ食べても一緒だろ」
さて、そんな姉が作ったスコーンが原因で我が家で事件が起きた。母のスイートポテト事件なんてレベルじゃない。私から言わせれば、あれは。
ちらし寿司に次ぐ、『スコーン戦争』である。
お付き合い下さい。
◆
当時高校2年生だった私は、テスト期間だったか短縮授業だったかで早く帰ることが出来た。そんな私の楽しみは、休日に姉にお願いして焼いてもらったスコーン。授業やテストの退屈さも、家に姉が作ったスコーンがあると考えただけで乗り切れるほど楽しみで仕方がなく、寄り道もせずに帰った。品行方正。
私「8個焼いてもらったのが、朝の時点で残り4個だったからなぁ。2個は食べたいなぁ」
と呑気に考えながら帰宅したその瞬間。
我が家のリビングは戦場と化した。
父「むぎ、お帰り」
私「ただ、い、ま…?」
その日、仕事が休みだった父はビールを飲んでいた。グラスの側には何も入っていない小皿が置かれている。嫌な予感がして、冷蔵庫を覗いた。
スコーンが無くなっていた。
残り4個すべて。
私「スコーン食べた?」
父「え、食べたけど?」
敵は、我が家にありィィィィィィ!!!!
私「何で!何で、私が楽しみにしてたスコーン食べるの!?」
父「え、あったから」
私「あったからって、人がお願いして作ってもらったものを全部食うバカがどこにいるの!!」
父「え、ダメなの?」
私「全部はダメに決まってるだろ!こちとら、お姉ちゃんが作るスコーンが食べたくて寄り道もせずに帰って来たんだよ!!」
よくそんなに思いつくなってくらいの文句を機関銃のように言い続けた後、私は部屋に入った。父は圧倒されたらしく、最後の方は何も言わなかった。
姉「ただいまー」
それから数分も経たぬうちに、姉がアルバイトから帰ってきた。
私「お姉ちゃぁぁぁぁぁぁぁ」
姉にすぐに事情を話すと、大爆笑しながら、私とリビングへ。
姉「スコーン、4個全部食べたんだって?」
父「はい、食べました…。むぎさんに、物凄く怒られました」
姉「怒られましたか」
事情聴取を行った結果、おつまみを探していたらいいのが見つからず、仕方なくスコーンを食べたところ止まらなくなり全部食べてしまったらしい。
だとしても、冷静に考えたらヤバイ量を一気に食べたな。そこそこデカかったぞ?
カロリー大爆発。
父「ごめんね。今度からちゃんとお伺い立てるから」
私「次に同じことがあったら、ただじゃ済まさんからな」
父「…はい」
というわけで、終結。
スコーンも、姉が日を改めて作ってくれた。最近の父はというと、チョコパイをおつまみにするのを度々見かける。
カロリー大爆発だな。おい。
よろしければ、お願いします。 お願いします!!(圧