『古畑任三郎』の話

どうも、私です。

今日は、「古畑任三郎の話」をします。

かなり長いですが、お付き合い下さい。

『古畑任三郎』は、田村正和さんの代表作で、連続ドラマは3シリーズ、スペシャルドラマは10本(総集編 消えた古畑任三郎・FINAL・古畑中学生を含む)が製作された刑事ドラマである。

私が初めて見た刑事ドラマであり、頂点。

  • オープニングと解決編前に、古畑任三郎が視聴者に語りかけてくる演出

  • 『刑事コロンボ』と同様に最初から犯人が分かっている、所謂『倒叙ミステリー』

  • 豪華すぎる犯人達

(中には、本人役を演じる人や当作品の脚本家・三谷幸喜さんが生んだ別ドラマのキャラクターが、犯人として登場することもある)

犯人が豪華なのは最近でもよく見るが、上記の演出は『古畑任三郎』だからこそ見られるものではなかろうかと思う。

今回は、そんな『古畑任三郎』のエピソードの中でも、特に好きなエピソードについて話していくのでネタバレ注意。


①死者からの伝言

少女コミック作家・小石川ちなみが別荘の地下室に恋人を閉じ込めて殺害した事件を、とある事情から別荘を訪れた古畑が解決する記念すべき第1話。

被害者、犯人、古畑任三郎、西村まさ彦さん演じる部下・今泉慎太郎の4人と、犯人の飼い犬1匹というとても少ない登場人物で構成されている。

犯人・小石川ちなみ役は、中森明菜さん。

はい、豪華。


逮捕後、無罪を勝ち取り、アメリカへ渡米。幸せな結婚生活を送っているという後日談が語られる唯一の犯人でもある。
この無罪を勝ち取った弁護士が出てくるのが、次に挙げる事件だ。


②しゃべりすぎた男
冤罪で逮捕された今泉を救うべく、古畑が奔走する事件。
この事件で今泉を担当した弁護士こそが、小石川ちなみの無罪を勝ち取った敏腕弁護士である小清水潔。
彼は今泉と大学の同期であり、今回の事件の犯人である。

自身の結婚が決まったが故に、交際していた相手が邪魔になって撲殺し、たまたま現場に居合わせた今泉に罪を擦りつけようと企んだ控えめに言って最低な人間


犯人・小清水潔役は、明石家さんまさん。


ちなみにこの事件では、古畑が今泉を『友人』と明言する胸が熱くなる展開や、古畑が証人尋問で犯人である小清水を逆に尋問して自白させるという超緊迫の法廷劇が見られる。


③赤か、青か
天神大学電子工学部助手・林功夫が観覧車のゴンドラに爆弾を仕掛け、さらに現場に巡回に来た警備員を殺害する事件なのだが、②同様に運悪く、今泉が爆弾が設置された観覧車のゴンドラに乗ってしまった為、古畑が今泉救出のために、林との駆け引きに挑むというもの。


犯人・林功夫役は木村拓哉さん。


犯行動機が『お気に入りの時計台が観覧車のせいで見えなくなった為、排除しようとした』というあまりにも身勝手すぎるものだったので、古畑にバックハンドでビンタを喰らわされた。


古畑が手を挙げた唯一の犯人。


④灰色の村(古畑、風邪をひく)
雛美村の村長・荒木嘉右衛門が村の地酒『雛の誉』の買い付け詐欺をした女性を日本刀で斬殺し、それを知った村人達が荒木を庇うために遺体を隠し「被害者は最初からいなかった」と口裏を合わせるという、村ぐるみの犯罪を犯すというもの。


犯人・荒木嘉右衛門役は、松村達雄さん。

大御所すぎる。


オープニングから古畑が風邪をひいていたり、村ぐるみで犯罪を隠蔽したりする異色作。


⑤再会(古い友人に会う)
小説家・安斎亨が、旧友の古畑を自身の別荘に呼び寄せるところから始まる話。
最初は、まるで安斎が妻を殺すのを企てているように見せているが、実際は妻の裏切りに傷ついた安斎が拳銃自殺を図り、それを妻による殺人として処理しようとしていたことを古畑に見破られるのだ。


小説家・安斎亨役は、津川雅彦さん。


『古畑任三郎』シリーズで唯一、死人が出ない回。


古畑が自殺を図ろうとした安斎に言う言葉に、励まされた人もきっといただろう。


⑥絶対音感殺人事件
絶対音感を持つ指揮者 ・黒井川尚が別れ話のもつれから愛人のビオラ奏者を灰皿で撲殺、階段からの転落死に偽装し、同じオーケストラで演奏するクラリネット奏者(被害者の恋人)に罪を擦りつけようとするも、その圧倒的な耳の良さが原因で古畑に追及されることになるというもの。


犯人 ・黒井川尚役は、市村正親さん。


耳が良すぎるが故の行動と『真っ赤な封筒』のくだりは、最高。



⑦すべて閣下の仕業

2004年のお正月に放送されたスペシャル。
南米某国の日本特命全権大使・黛竹千代が地元企業との金の繋がりをマスコミに公表しようとした参事官を言い争いの末に撲殺。過激派による誘拐殺人事件に偽装したのだが、そこに偶然パスポートを無くした古畑が訪ねてくるというもの。


どこにいても、事件に巻き込まれますね。
古畑さん。


犯人・黛竹千代役は、松本幸四郎さん(現・松本白鸚さん)


犯人が、拳銃自殺してしまう唯一の回であるのと同時に、古畑の部下である今泉と西園寺が一切登場しない回でもある。

(その代わりに、3rd Seasonからのレギュラーである八嶋智人さん演じる花田が登場する)


Estas arrestado.
あなたを逮捕します。


⑧古畑任三郎 vs SMAP
SMAPのメンバー・草彅剛が男に強請られていたのをきっかけに、中居正広・木村拓哉・稲垣吾郎・香取慎吾は、草彅とともにお互いが証人となってアリバイを作り、男を絞殺。密室状態を作り上げて首吊り自殺に見せかけるというもので、SMAP全員が本人役で登場し、古畑と対決するというスペシャルドラマ。


ちなみに、古畑任三郎が架空の刑事であるように、このドラマに出てくるSMAPは架空のグループである。勘違い注意。


⑨古畑任三郎 FINAL
『今、甦る死』
『フェアな殺人者』
『ラスト・ダンス』
の三夜連続スペシャルにして、最終章。


  • 今、甦る死

鬼切村の名家・堀部家では、15年前に当主・幾三が謎の失踪をし、さらには、幾三の義弟で現当主の伍平が熊に襲われ死亡。幾三の次男・音弥は、跡を継いだ兄と裏山の売却を巡り衝突する。そんなある日、音弥は、恩師である郷土資料館館長・天馬恭介に資料の整理を依頼されるのだが、小学生の頃に書いた『完全犯罪』をテーマにした自由研究ノートを発見。その内容に沿って兄を殺害するというもの。


堀部音弥役は、藤原竜也さん。
天馬恭介役は、石坂浩二さん。


この回の特筆すべき点は、実行犯・音弥が途中で死亡することと真の黒幕が天馬であるということ。

そして、『金田一耕助vs古畑任三郎』と言っていいほどの対決を見られるのも特徴的である。


  • フェアな殺人者

警察官からホテルの警備員に転職した小林隆さん演じる向島が、フリーライターに強請られ、彼を殺して自殺するという計画を練るものの、事情を知った腹違いの弟・イチローが、兄に代わって殺害を決意するというもの。


『vs SMAP』以来の本人役で登場したイチローさんだが、最初は『ハチロー』だったらしい。しかし、本人が自分を演じてみたいと言ってこの形になったとか。
このドラマに出てくるイチローさんは、架空の野球選手なので勘違い注意。

ていうか、向島君の経歴やばいな。


  • ラスト・ダンス

脚本家・加賀美京子こと大野かえでは、双子の姉・もみじとともに共同ペンネームで活躍していたが、もみじがコンビ解消を申し入れる。そんなある日、彼女は、双子であることを利用した入れ替わりトリックでアリバイを作り、もみじの拳銃自殺に偽装して『もう1人の加賀美京子』を抹殺するというもの。


大野もみじ・かえで役は、松嶋菜々子さん。


かえでがもみじを殺害したように見えた今回。
しかし実際は、『古畑を試す』という名目で、もみじがかえでに。かえでがもみじに変装した上で行われたもの。つまり、


もみじがかえでを殺害したのだ。


双子故の容姿とコンプレックスから為されるものである。だからこそ、事件の核心に触れたときの古畑はいつにも増して哀しそうだった。

他にも、古畑が視聴者から届いた葉書を読む演出がある回など、バラエティに富んだ回が数多くあるので、見たことがない方は是非。


ひやむぎでした。



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