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ビリーブできないアイビリーブ

「癒される人ができました」と奴から一通の連絡が入った。

奴とは、わたしのnoteの1番はじめに登場した500万円の親友のこと。
これは奴と出会った頃の話を書いている。


奴は現在カフェ店員をしている。
最近マンデリンの珈琲だけを飲みにくる若い男性のお客さんがいるらしい。彼が奴の癒しの存在だ。

奴とわたしは基本的に数日おきに連絡をだらだらとずっと取り合う仲だ。
特に用事はなく、大した内容でもなく、ただ何かあればXのようにつぶやくやり取りをする。
奴とは約10年の付き合いになるが、わたしは奴の恋愛事情を全くしらない、奴は基本的に自分の恋愛事情は全く話してこないのだ。
どうでもいい事は常日頃話してくるのに恋愛事情だけは絶対に話してこない。
そんな奴が「癒される人ができました」と言ってきたのには少し驚いた。
話を聞いてる限りそれは恋では?と思う。
「気になってるぐらいかな」と言っていた。
わたしの辞書では「気になる」は「好き」だからそれは「好き」でいいと思うよと言ったけど、奴は否定するのでそれ以上は何も言わない事にした。

後日、奴から「占いに行ってきた、今は恋愛しない方がいいらしい」と連絡が来た。
わたしの経験上、恋をした女の子はみんな早々に占いに走っている記憶がちらほらあるので、やはり「それは恋では?」と言った。それでも奴は否定した。そうか、と思う。

とりあえず気になってるのならば話しかけて仲良くなるように言った。
緊張して話しかけれないらしい。
いや、それはもう恋だよ。
わたしならその日に口説きにかかっているだろうなと思った。
普段は適当で能天気そうに見える奴だが、意外と繊細で控えめな性格でもあるので、わたしは奴から話しかけれるのか少し心配だった。

「明日話しかけてみる」と言ったので、「無理やったって返事がくるのが目に見えてるけどわたしはあなたを信じている」と送った。

翌朝「アイビリーブ」とだけ連絡が入っていて、奴はその日の仕事に挑んだ。早朝から笑った。
これほどビリーブできないアイビリーブは今までにあっただろうか。

その夜、「いつもありがとうございます」って言ったと報告がきた。
それは店員さんのセリフだよバカ野郎と思ったが、
奴なりに頑張ったのでわたしは褒めた。

その後も彼が来ては、奴は緊張して手が震えただの報告をしてくる。わたしはそれを聞くたびに可愛い奴だなと思う。しかしなぜか好きとは認めない、めんどくさい女だ。

連絡先を聞くまでかなりの年月がかかりそうだが、わたしは奴の幸せを心から願っている。

マンデリンのお兄さん、どうか奴の恋心に気づいてあげてください。

(進展があれば)続く。

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