有害な関係

 昔から他者とは有害な関係を築きがちだ。今現在に至るまで家族や同級生といった様々な関係にある人々から暴言や暴力を沢山受けてきた。
 義務教育を終えた後、スマートフォンという文明の利器を手にした私は、インターネットを通じて外部の世界の常識を知るようになり、自分が今まで受けてきた対応が外部の人々の常識に照らし合わせると残酷で理不尽なものであることを知った。このことを知った時、今まで築き上げてきた他者との関係のほとんどが有害な関係であったと悟り、その後このような関係は二度と持つべきではないと関係を持つたび決意する。
 しかし決意すると同時にまた別の考えが私の脳内に広がってくる。相手が私に暴言や暴力を向けてくるのは私との関係を継続しようとしてくれる努力の表れなのだ、と。醜悪な容姿と何の役にも立たない頭脳を持つ無価値な人間である私と関係を持とうとしてくれる人はまずいない。そんな私に関わろうとしてくださっている人がいるのだからその人から受けた対応が暴言や暴力であるからと言って自分から関係を切ってしまうのはあまりにおこがましい行為なのだ。だからこそ暴言や暴力を受けたとしてもこの関係に感謝しないといけない。関係が絶たれて天涯孤独となったらそれこそ惨め極まりないのだから。と。
 結局こうした考えが強く働いてしまい、有害な関係が維持されたり酷いとエスカレートしたりしてしまう。そして気づいたら相手にどっぷり依存してこのような関係から抜け出せなくなっている。この繰り返しをもう十何年もしているのだから始末に負えない。

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