見出し画像

雨の降るトンネル

 目の前はいつも薄暗い。道幅だって窮屈だし、天井も低い。腰をかがめ、首を垂れて、自ずと足元ばかり見て歩いてきた。私は自分が進んでいる道のりをトンネルの中であると思い込むことにした。そうすれば、肩身が狭く息苦しいことも、トンネルと同じように雨風の妨げになっていたり、結果的に急こう配の峠道や危険な獣道を省略できたりしているのではなかろうかと。しかし、あるとき私は雨に打たれた。どうやら私は、雨の降るトンネルの中を進むらしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?