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我ながら壮絶だった生い立ち 重め

内心ずっとクソガキな俺も19にもなると少しずつ人格の形成も進んできて、「自分は何が好きなのか」「自分は何が苦手なのか」「自分の強み/弱みは何なのか」「自分はどういう人と相性がいいのか」とか、つまるところ「自分は一体誰なのか」ってことがわかるようになってきた。

そしてそれを辿るためにも、最近よく自分のルーツについて考えてる。そう、自分の生い立ち。

俺の人格形成には2つの要素が大きく関わっていて、1つ目がポピュラー音楽、2つ目が家庭環境とドロップアウト。今回はこの2つ目について適当に書いてく。


簡単な家族構成

俺んちは母子家庭で、産まれた時から父親はいなかった。父親はサポートギタリストとかやってたらしい。二人の出会いの地は東京。でも父は毒祖父からの「医者になれ」っていう長年のプレッシャーとかうつ病でダメになって東京から地元に帰った。俺ができたってことが判ってから母も富山に帰った。

曰く母は未婚の母らしいけど、母は母方の祖父母から名字が変わってるから一回どっかで結婚してる。子どもながらに気まずくてこの話を自分から持ち出したことは一回もない。

ちなみに俺はばあちゃんが一番好き。母方の祖母。ビールとマイケルジャクソンと健康番組が好きな人。複雑な気持ち抜きの純粋な思いで「好き」って言えるのはばあちゃんだけ。


幼少期

幼い頃は恐竜とレゴが大好きな男の子だった。思慮深さやクリエイティビティが骨身に染み付いたのはこの経験あってこそだったと思う。でも、なんでだろう。振り返ると全部母から誕生日プレゼントにもらったものだった。
あと母は趣味には応援してくれる性分で、このおかげで「何事もとことん突き詰める」オタク成分が出来上がった。この能力は何にも代え難い強みに仕上がったよ。


小学生時代

小学4年生の頃にいきなり父親と母方の祖父から連絡がきた。

まずは父の話から。まぁどうやら父の病状が回復したらしく、内容は「富山で二人でもう一回暮らしたい」ってことだった。でも母親は「精神的に不安定な人との共同生活は子どもの発達に悪影響だ」って考えから取り合ってくれなかった。それから度々くる電話の相手はいつも俺。母は決まって電話をとることはなかった。その後何年か連絡は続いたけど、また途切れるようになる。
当時は自分の小さなおつむをフル回転させては色々察して気まずくなってたけど、この時父におねだりして買ってもらった進撃の巨人の単行本は今でも宝物だし、進撃の巨人自体俺の人生のベスト漫画になってる。

そして祖父の話。祖父もまた毒親的な要素を持ってる人間で、自分の理想やコンプレックスの裏返しを全部母に押し付ける人だった。それに母は、俺ができたことを一度祖父に伝えた時は「未婚者だったから」って理由で勘当されてる。で、そんな祖父がまぁ自分の死期を悟ったからか俺に「会いたい」と。随分と勝手な話だなとかこっちも勝手に思ってた。母と祖父の確執を小さい頃からずっと母から聞かされてきたから、ずっと複雑な気持ちだったんだよ。
でも祖父に買ってもらったモンハン4Gは人生で一番遊んだゲームになった。今となってはもう400時間ゲームはできない。


中学時代①

中学に入る頃には俺と母の関係まで歪んできた。

俺が「ものわかりのいい子」になってから、派遣労働先の愚痴が少しずつ増えてきた。そして気付いた時にはもう手遅れだった。

いつの間にか母の感情のゴミ箱に成り下がってた。

毎日何十分と母の愚痴を聞いてた。ちゃんと聞いてたか確認する抜き打ちテストがたまにあったから、一語一句取りこぼさないように最善の注意を払って聞いてた。
そしたらあれよあれよという間に、母のヒステリックな側面が強くなってきた。そのうち暴言が飛んでくるようになってきて、わけもなく母に怒鳴りつけられる日々が6年間ほぼ毎日続いた。親の親になることを強いられてた。


中学時代②

まぁそんな環境に耐えられるわけもなく。先に根を上げたのは身体の方だった。中1の11月から朝起きれなくなった。割とすぐに起立性調節障害って病名がついた。

これで成績のよかった中学生ライフは終わり。なんとか取り繕ってきた「優等生」ってアイデンティティがこうも早く粉々に壊されるなんてね。そうなると次は感情が終わり。笑えなくなると今度泣けなくなって、そうやって俺の心は誰に看取られずとも死んだ。

毎日冷蔵庫で冷え切った朝ごはんと昼ごはんをそれぞれ昼過ぎと夕方に食べて、YouTubeと2ちゃんねるとネットサーフィン漬けになって、母が帰るとびくびくしながら部屋に籠城する。朝起きてから夜寝るまで好きな音楽をかけ続ける。
中2になってギターを始めてからはある程度ましになるんだけど、おおよそこんな感じの生活をずっと送ってた。人間って不思議なもんで、現実の居場所が限界までなくなると、耳の中に居場所を作ったりするみたい。

まぁ普通にずっと希死念慮に取り憑かれてた。ほぼ毎日死にたがってたな。


高校時代①

親子関係は何も解決しないまま高校に上がった。

高校生にもなって教養もついて変に賢くなると、余計なことまで考え始めた。家庭のことはもちろん、友達のこと、恋愛のこと、お金のこと、経済のこと、政治のこと、環境のこと、国際社会のこと。でも大体、お金のこと。

私立高校に上がって周りに中流階級とか高所得者層が集まり出すと、一気にうちのみじめさが露呈しだした。

友達と外食なんてしたことなかった。送迎なんてなかった。ボウリングなんて行ったことなかった。スタバなんて行ってはいけなかった。iPhoneはみんな自腹かと思ってた。バスも市電も運賃がかかるから使ったことなかった。私服なんて買ったことなかった。家の床なんて軋むもんだと思ってた。お湯なんて出してはいけなかった。梅干しの「種」だけずっとしゃぶってた。お腹ってずっと空いてるもんだと思ってた。お風呂なんて頭が痒くなってからしか入ったことなかった。

「あるわけがない」はずだったものが、最初から全部デフォルトで「ある」に設定されていた人達を受け入れられなかった。先輩後輩学科コース関係なく同級生全員が敵に見えた。
特に自分より音楽好きなわけでもない人がAirPodsつけてたり、あろうことかそれを失くしてることが許せなかった。

おまけにコロナ不況のせいで母が派遣先で首を切られやがった。中学時代からずっと続く精神的虐待に加えて、ここに経済的な逆風が一気に勢いを増して。

行き場のない怒りが収まることはなくて、こうなったのは親が悪いのか、コロナが悪いのか、社会が悪いのか、政府が悪いのか、時代が悪いのか、もう世界が悪いのか、いやいや自分が悪いのかってどつぼにはまってた。自分含めて世界ぜんぶを憎んでは呪ってた。地球破壊爆弾があったら迷わず手を伸ばしてた。まぁ随分と荒んだ高校時代だったな。


高校時代②

そしてあれは忘れもしない高校2年の12月!父親の訃報と喪中はがきがうちに届いた。うつ病が原因で自死したのかと思ってたんだけど、蓋を開けてみたら祖父に殺されてたことがわかった。調べたらちゃんとニュースにも載ってたし、考察ブログまで出てきた。

ここで初めて自分の頭がぶっ壊れた!

人ってほんとに処理できない情報が頭に入ってくると脳が壊れる感覚になるんだね。エンスト起こしたよ。「俺、漫画の主人公みたい!」ってところで思考がフリーズした。宇宙の真理とか、あれ絶対危険よ。
でもこの時連絡を取ってた父方の祖母に買ってもらったMacBook Airのおかげで、今俺はたくさん曲作れてる。

悲しさとか感情とか「もっと連絡を取ればよかった」って後悔とかがない訳ではないんだけど、特に後悔は今でも若干あるけど、でももうそういうもんだと割り切るしかなかった。父さん、俺のこと見守っていてくれたら嬉しいな。

一方、母との関係は加速度的にひどくなっていって、最終的には児童相談所と警察まで介入するはめになった。



まぁ人生18年間かけて堕ちるとこまで堕ちてったわけだけど、県外への大学進学を機に親元を離れて、経済/精神両面におけるこれら呪縛からは一旦解き放たれたんだ。



そして、今


今俺は幸せです。この上なく幸せって言えます。

だって。

毎日お腹いっぱいにご飯を食べることができるから。好きな音楽を聴いて、好きな服を着れるから。少し高い買い物ができるから。旅行できるから。もう家族に怯えずに済むから。家に人を呼べるから。毎日お風呂に入れるから。一生をかけれてもいいようなかけがえのない人達に出逢えたから。


なんか、全部失ったけど。

でも、もういいんだ。
母親に対してもそれは同じ。

泣いていた俺をあやしてくれたこと、欲しいおもちゃを買ってくれたこと、幼い頃の写真を撮ってくれたこと、ご飯を作ってくれたこと、思えば既に沢山のものを受け取ってた。もちろん中高時代のことは無視できないけど、でもこれ以上何を望むんだろう。もう何も求めない。


それにね。

毎日こわれそうな思いで何とか息を繋いできた夜も、本当に学校で息ができなくなったことも、ぽっかり心に空いた穴も、本当に壁に空けてしまった穴も、狼のように吠えてた夜も、怒鳴り声をどうにかかき消して眠りについた夜も、涙が出なくなってしまった日も、涙が止まらなくなった日も、愛も優しさも世界へのうらみつらみも、今となっては全部俺のかけがえのない財産です。



これからどう生きよう

俺の過去の清算ができた今の俺は、まさに人生の第1章の幕が降りたような感じ。そしてこれからは「赦すこと」「与えること」が人生のテーマになりそう。
思えば以前の俺は足りない愛を埋め合わせたくて、とにかく愛されたくって仕方がなくて。まぁそのせいで色々あったけど。でももうその時期は過ぎ去ったから、次は自分以外も愛せるようになりたい。

友達のこと、恋人のこと、社会のこと、世界のこと、そしてもちろん家庭環境だって例外じゃない。

他人はおろか自分ですら赦せないでいる母親を、今度は俺が赦してあげたい。家族とのわだかまりをほどくことがまた自分への救いになる。人生をハッピーエンドに整えるためのその材料こそが愛なんだ。そしてこうやってカルマは回るんだよ。
なんか複雑に絡まった挙句に凝り固まってしまったこの感情にどう折り合いをつけるかは本当に難しいところだけど、大丈夫、きっと何があろうともそれは俺のgraceだと思ってる。

何があろうとも
全てあなたのgrace
藤井風『grace』

P.S.

せっかくなんで、俺の人生のBGMってことでプレイリスト作りました。名曲揃いだ!

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