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新作ゲームのリリースの経緯

最新作「ケリバト!」のリリース決定!


いよいよ最新作のゲーム「ケリバト!」のリリースが2023年11月上旬に決まりました。
このゲームは元々は昨年の春頃から開発を始め、順調にいけば今年の1月頃にリリースする予定でしたが、制作体制の刷新やシステム変更など紆余曲折あって、リリースがほぼ1年延期となりました。しかし結果的にはリリースを延期したおかげでクオリティも上がり、満足できる仕上がりになったと思っています。

ケリバトの元となったゲームは「ぎゅうぎゅうダンジョン」という2015年に開発したスマホアプリだったのですが、その時にできなかったことを詰め込んだのが「ケリバト!」です。

ぎゅうぎゅうダンジョンはゲーム製作を始めた1年目にリリースしたゲームで、当時としてはコンセプトが珍しかったからか、いろんなメディアに取り上げていただきました。
あのファミ通さんや、ゲームライターで有名なゲームキャストさんにも面白いと太鼓判を押していただけたので、ゲーム開発を続けるきっかけにもなった思い入れのあるゲームです。

このように話題にしていただけたおかげで、3ヶ月ほどで10万ダウンロードを超えたのですが、収益は数万円程度でした。(本来なら50〜100万円くらい売り上げてもおかしくない)
この原因は私のマネタイズに関する知識不足です。当時はどうやってゲームで売り上げを作るのかを理解しておらず、ゲームオーバーの数回に1回広告が流れるだけで、課金機能も何もなかったので1日数百円くらいの広告収入のみでした。当時Admobを使えていれば1桁は違っていたと思いますが。
とはいえ、月1万円以上のゲームの売り上げが発生したことは自分にとっての成功体験となり、その後のゲーム開発の励みになったのは間違いありません。

続編の難しさを知る


その後、ぎゅうぎゅうダンジョン(以下ぎゅうダン)の続編を3本ほどリリースしましたが、結果的には1を超えることはできませんでした。
その原因は開発した自分自身が、ぎゅうダンの魅力を理解できていなかったからだと思います。
ぎぎゅうダンの魅力は一言で言えば「誰にもわかるシンプルなルールで気軽に遊べること」だと思うのですが、当時はその本質が理解できておらず、続編ではより長く遊んでもらうために、システムを複雑にしたり、アイテムやキャラクターを増やしたりしてそれらはユーザーの感じる面白さに直結しなかったのだと思います。

今思えば面白い要素だけを残して不要な要素を削っていけば良かったのですが、当時はブラッシュアップ=ボリュームを増やすこと、と勘違いしていた節がありました。
ゲームに限らず、映画でもドラマでも続編がコケるということは多いですが、その多くがいろんな追加要素を詰め込みすぎて、ユーザーが期待していた最も好きな部分を目立たなくしてしまう(最悪の場合削ってしまう)ことだと思います。

面白さは決して足し算だけで生まれるわけではなく、引き算も使いながら全体のバランスを整えていくことで生まれると思うのですが、これはゲームを作り続けた今だからわかる経験則です。
ケリバト!はぎゅうダンでの反省を踏まえて、引き算と足し算を使いながら全面的にパワーアップできたと思っています。

 
グラフィックについては、ぎゅうダンでは私の自作ドット絵でしたが、ケリバトはダークブラッドシリーズでもお世話になった銀親さんに、ほとんどを描いていただきました。
私の下手絵でも8ビットぽい味はあるのかもしれませんが、ケリバト!は16ビット風のコンセプトなので、やはり美しいドット絵が合いますし、美しいグラフィックのゲームはユーザーの興味を惹き、よりゲームの世界を楽しんでいただけると思います。
特にニケのデザインは私が思っていたよりずっと魅力的で、このコンセプトアートが仕上がってきた瞬間に、このキャラを全面的に主役にしたゲームにしたい!と強く思いました。

銀親氏による女神ニケの最初のコンセプトアート


肝心なシステムもシンプルさを保ったまま、新たに進化させました。
ぎゅうダンのルールは、敵とのレベル差×10倍のダメージ、自分たち同じレベルならダメージは5、自分より低いならダメージは1としていましたが、その計算をするのがややこしいと考え、ケリバトでは自分よりレベルが高い敵からはそのレベルと同じダメージ、自分と同じレベルならダメージは1、自分より弱い敵はノーダメージとしました。

掛け算なしでダメージがわかるように。


またケリバト!では敵には方向を設けました。常に正面を向いていたぎゅうダンと比べて、画面が賑やかになるという見た目のメリットもありますが、方向性が加わることで新たなルールが生まれました。敵はニケが横に来たら常にニケの方を向くのですが、弱い敵はニケに背を向けて逃げようとします。
その時にキックすると、敵は吹っ飛んでいき、他の敵にもダメージを与えていきます。

ケリバトからの新システム「蹴り飛ばし」


初期の開発に関わっていただいたプログラマーさんとの打ち合わせの時に生まれたアイデアなのですが、やはり話し合いをしながら開発を進めることで、私の場合はひとりであーだこーだ考えている時よりアイデアは膨らみます。
蹴り飛ばしシステムを入れることで、ぎゅうダンにはなかった爽快感がプラスされたのですが、ゲーム自体を大味にしかねないシステムなので、メリットだけでなくデメリットが発生するようにしたり、バランス調整にはかなり頭を使いました。(今も調整中)

タイトルは一番大切と言っても過言じゃない


ちなみに「ケリバト!」というタイトルですが、この「蹴り飛ばし」を語源にした造語なのですが、我ながらシンプルで良いタイトルになったな、と思っています。
まずケリバトで検索しても、このゲーム以外の情報が表示されません。つまり「ケリバト」という単語はまだこの世に存在していなかったのです。(現在商標登録を申請中)
「ぎゅうぎゅうダンジョン」というネーミングもあれはあれで良かったのですが、なるべく短くした方が覚えてもらいやすくて良いです。ネーミングにはインパクトも大事ですが、名刺代わりに口頭で自分のゲームを知らせる場合「あとでダウンロードして遊んでみますね」と言ってもらえても、凝ったタイトルほど「タイトルなんだったっけ、、、」ってことが多いですから。

あと海外でのリリースも考えてタイトルを考えた方がいいです。ぎゅうダンは「ぎゅうぎゅう」という言葉の翻訳が難しかったため海外展開を諦めましたが、ケリバト!は 英文でもkeribato!となり、意味は分からなくても覚えやすいのではないかと思っています(「SHIROBAKO」というアニメが海外でもそのままのタイトルで受け入れられている、ということにもヒントを得ました)
最近のラノベは昔の2時間サスペンスのように長いタイトルが多いですが、誰が覚えるんだろう、って思ってしまいます。現に受けているゲームやアニメもタイトルが簡潔で、それでいて内容を体現したものがほとんどです。

新たなマネタイズの試み

肝心なマネタイズについてはスマホ版については広告表示と課金(広告削除のみ)としています。これはスマホ版では大きな収益を期待しておらず、これから後にリリースする、有料のSteam版とNintendo Switch版で収益を得ようと思っているからです。
つまりスマホ版は無料で多くの人に遊んでもらいケリバトの知名度を上げるために活用し、ファンが増えた段階でさらに要素をプラスしたデラックス仕様をSteam・Switch版を買ってもらおうという作戦です。
名付けて「スマホアプリ観測気球作戦!」(まぁ、そのまんまですが)

このような作戦を考えた理由は、Steamというフォーマットにあります。
Steamはリリースまでにいかに多くの人に存在を知ってもらいウィッシュリストを積み上げるかが一番重要で、スタートダッシュでほぼ勝負が決まると言われています。しかし個人開発ではSNSなどで宣伝しても、よほど話題にのぼらない限り、ひっそりとSteamでリリースして最初の1ヶ月しか売れない、というパターンに陥りやすいのが現実です。

なので無料で遊んでもらえるスマホ版は本丸ではなく、認知してもらうための誘導広告という捉え方をしています。もちろんゲームとしての作りには自信がありますし、収益もしっかり上げるつもりですが。

そんなわけで、いろんな思いを込めたスマホ版「ケリバト!」は2023年11月上旬のリリース予定です。
個人開発と言いながらも、プログラマー、グラフィック、音楽(青木しんたろう氏)とたくさんの方に携わっていただいたゲームなので、私の代表作品になるように長いスパンをかけて育てていきたいです。
今は事前登録と同時にオープンテストもやってますので、試しに遊んでいただきレビューを頂けたら嬉しいです。

2023年11月上旬にAppStoreとGooglePlay同時リリース予定


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