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夏の木漏れ日 (狂夢)

今回は、ホラーです✨✨🧚‍♀️

その人とは、登山で知り合った人だった。

登山仲間3人と来ていて、
他にも来ているグループはあった。
カップルだったり、家族だったり、サークルと
登山小屋では、特にナニか話す事はなかった。

その3か月後
偶然登山小屋にいた人と、仕事先であった。
なんとなく似てる、もしかしてと
「あの時の人⁈」と言うと、
向こうもあれ?って思っていたらしい。

その後も仕事の関係で、
お昼や夕食を一緒に食べる事もあった。

そして、なんか付き合いだしていた。

提携先との仕事が完了になり、
会社同士で打ち上げとなった。

その飲み会の時に、
私はお店の地下の
エレベーター前のフロアに呼び出された。
エレベーターは、2つ。

最初、なんでこんな所にと思った。
私は、少し酔っていた。
そこの床は黒い床で、
ナニか濡れていると思った。
よく見ると
壁に赤いペンキ?
絵の具が散っているのに気づきナニと思った。

その時、
彼が前から現れナニか喋り初めた。
頬に、手を当てながら。

早口で。

私は酔ってもいたので
いい加減に聞き流していた。

そして気がつくと
彼の手が急に考えられない程に小さくなって、
驚いて、
私はキャー、キャー、キャーと言ってて、
気づくと人に体を揺すられ起こされていた。

フロアで、私の体は赤いモノべったりで、
血の匂いがムッとする。
血のようだった。
愕然とし、血の毛が引いていき、
急にガクガクと、震え出していた。

警察が来て、色々聞かれて、病院に運ばれた。
私を起こしてくれたのは同僚で、
同僚が
私が、
彼に地下に来てと言われたのを聞いていて、
戻ってくるのが遅いと思って
地下に来たとの事だった。

血が付いているだけで、
私自身に怪我や傷はなく、
床や私について付いていた血は
どうも複数の物が考えられると教えてくれた。
1人では到底考えられない量であるらしかった。

病院で、
警察には再度色々質問された。

警察には、
彼からの呼び出しはなんだったのか?
どうして気を失った?
と聞かれたけれど、
自分でもどうして気を失ったのかわからない
と答えた。

実際わからなかったし、
なんで気を失ったのか、
何故呼び出されたのかもわからない、
彼が何を喋ったかは記憶がなかった。
少し酔っていたしと言うより
聞き流していたし。
特に、変な事は言ってなかったと思う。

ただ、警察に
私がキャーキャー声を上げた事は
言わなかった。

実際にはありえないし、
言えば正気か?
クスリでもやっていて、飛んでた?と
思われたくなかった。

彼の手が、
手だけが小人の手のように小さくなっていて、
彼もそれに驚いていた事に。
私が、その手に驚いて声を上げていた事を。

記憶はそこで消えていて、
会社はしばらく休みをくれた。
血溜まりの床に倒れていては、
気持ちが落ち着いてからでいいと。
(血溜まりに倒れていては、
感染の心配もあって、
検査結果もあるし)

警察から会社に連絡はあって。

複数の血である事は確か、
彼の血が含まれてるかは、まだわからない。
彼は、この日から姿を消している。
私が彼に呼び出されて、
同僚が私を見つける迄30分。
何があったのか皆目わからない。

床には、彼の着ていたスーツと靴、
下着がそのまま落ちていたと言うこと。
体だけが、そっくり抜き取られたかのように。
不可解な出来事だ。

嫌疑は、私にかからなかった。

それから2日後、朝起きて外に散歩に出た。

家の近くの
木漏れ日の多い、公園の道は
遠い過去を見るような感覚だった。

いつもと変わらない
日常の風景がそこにあるのに。

今朝見た、夢のせいだと思った。
自分が
手の小さくなった彼に、
襲いかかって食べた夢だった。

尋常でない夢に、私は物凄く怖がっていた。
とてもリアルだったから。
身体だけが抜かれたようなスーツや靴
が現場にあった事が、
床の血溜まりに倒れていた事が
私にそんな夢を見せたのだと思った。

夏で暑いはずなのに、
私は冷や汗をかいていて、
血の匂いがする、と思った。

人間を食べるなんて事はありえない。

けど、彼の手が
小人のように小さくなっていたのは、
あれはなんだったのか、
不思議に考えると同時に、とても怖かった。

夏で暑いはずなのに、
クーラーをつける事はなかった。

部屋は、蒸してるはずなのに
蒸してるように感じない。

匂いが篭ると嫌だと思って
窓を開け、ドライをつけた。
湿度が、部屋にこもるのが嫌だった。
それに、血溜まり倒れていたのだから、
血の匂いが、ついているように思う。
「まだ、とれてない」って思う。
「何度も、
シャワーを浴びているのに取れてない?」って。
生理の血を思い出しては
「一回や二回で、取れない?」って。

体についた血は、
浸かった血は何回洗えば取れる?
何日ぐらいで、取れる?
本当は血の匂いなんてしなくて、
取れていて、
血の匂いを思い出してるだけ?って

あの時、
起こされて目が覚めて、起き上がった時、
手は床についていて...
なんか視界がぐるっと回った気がした
口の中に血の味が、
鼻の中で血の匂いがして
あの時、その自分の状況に
アリエナイって
驚きもしたけど、
口の中の血の味に
(吸血鬼ってこうなの?
吸血鬼は、血の匂いは、
鼻腔を擽るように芳しく感じるから、
????  感じると思うからか、違うか)
って思った。
髪の毛からポタポタと落ちる、
血を見ながら...

あの時見た。

身体そのまま抜き出されたようなスーツに、
ネクタイがついたままのYシャツに、
靴下がついたままの靴。

そして、毎日頻繁に思い出す血溜まりの夢。

日中何気ない時に、
その場面、場面のショットを見る? 
思い出す?

会社には、1週間で復帰した。
会社に行ってる方が、
忙しくしてて思い出さないと思って。

仕事の合間や帰り道、
同僚とのランチに、
夢でみたありえない映像を、
ワンショットを、時々、
ことあるごとに思い出しては、息をのんでいた。

映像は、
時が経つにつれ無くしていた記憶を
思い出すように詳細になっていき、
怖い映像に、
自分が勝手につくっていると思っても
私は自分が食べたのではと
気持ちの落ち着かない恐怖に
囚われもした。

それでも
仕事中に思い出しても
忙しさに引き戻され、
気分は楽で、
会社の廊下は静かな午後っといった感じで
私の気持ちを落ち着かせもした。

戻って来ない彼、
帰ってこない彼、
ただ複数の血がどうしてで、
自分が彼を食べた考えを捨てるように、
考えないようにしていて、
それが何故できないのか?
何故夢としないのか?

夢を思い出すたびに、
異常な恐怖に包まれていく。

不思議と
血溜まりに倒れていたのに?
口の中に血が入っていたのに?
他人の血の知らない血なのに、
気持ち悪く思う気持ちや
何かの病気の感染の心配をしなかった。

普通心配すると思うけど…
思考がマヒするのか
考えたくないのか

あの血溜まりが夢にでて
跳ね起きる時もあるのに、夜中に。

それは、
手の小さくなった彼を
猛烈に食べたいと思った欲求に、
人間を食べたいと思った欲求に、
身体全体から、
人間を食べたいと思った欲求を感じた
夢を見るから... 。

夢の中での異常な欲求...

あの、
とてつもない欲求に
従って人間を食べた記憶があって、
だけど、と首を振る。
夢だと思っても
思い出す度に首を振る。

30分で人間を食べれる訳がないから、
夢でしかない。

異常な夢。

だけど、現れる映像で感じる人間を食べたい
と思った欲求が
しっかりと思い出されて、
私は、
私にあって、私が食べた、と??? 
思えて?
しかたなかった???

この考え方は驚愕すぎた。
どう考えたって夢なのに、
リアルすぎる夢に、私
は支配されていると自分でも思ったけれど....

この考え方が、何度も反復する。
何度も繰り返す。

私は、毎日秘密を
抱えているような人になった気分だった。

夢のせいで、本当に夢なのか迷う日々で....

次第に夏の暑さも感じられなくなっていた。
暑いはずなのに、
冷や汗ばかり出て、気が混沌する毎日だった。

そんな日々
会社からの帰宅後、
警察からの連絡で、
彼の血液も含むと結果が出たと教えてくれた。

そんな時、
1人の刑事が私の後を付けていると知った。
事あるごとに刑事を見る。
同じ刑事を。
街中で、
私は疑われているんだと思う、刑事に。

でも、人間を30分で食べれる訳がないから、
それは無いと考えて、
自分の記憶の断片のように思い出す夢に、
どうしても食べてないと言い切れない私がいて、毎日焦っているような感覚だった。

そんな毎日の日々、
私は急に前にも
こんな事無かったと思う事を思い出した。

前にも確か、こんな事...

息を飲む感覚だった。

あの時、確か飲み会?旅行だった?
床も壁も一面、赤かった。
私はそこから出てきて、ふらつきながら。
あの時集まった女性は4、5人。
出てくる時、誰もいなかった。
壁が一面赤くなっていただけで
どこかの地下、
どこの地下だったのか覚えていない。
集まった女性で、知ってる人は誰もいなかった。
階段で上がってきた。
出てくる時は、誰もいなかった。
これも、夢?
記憶にあるけど、夢?
半年前の事。
なんの集まりで行った?
記憶にない、でも行った事は思い出す。
夢なのか、覚えていないだけで...

これは、恐怖だけでしかなかった。
何度、どう思い出しても、
確かに呼ばれて、飲み会に行った。
出てきた時は私1人だった。

気が転倒しそうな気持ちの中
会社の忙しさは、気持ちがよかった。
会社の廊下にペタって片側に引っ付いては
「大丈夫っ」って同僚に心配されても 
笑顔で返していた「壁が冷たくて気持ちよくて」
同僚はホッとしたように笑う。
「具合悪くなったかなって思った。熱いよねー。
26°超えてるのに、まだ入れてくれないものね」
私も笑って答える。そして同僚とお茶をする。
本当は、思い出して気分悪くてクラっとした。
夏の暑さも感じ無い。
同僚が安心するように答えたい。
あの血溜まりの中、心配して来てくれた人を。
だから嘘を。

そんな時、
あの刑事に街でばったり出会って顔を見ると、「お前食べたんだろ」って問うような顔してて。
刑事に尾行されるのも、
出会うのも怖かった。


季節は8月、9月がすぎ
10月になった。
刑事の尾行は、まだ続いている。


そんなある日、
夏の暑さが続く10月半ば
刑事と公園の喫茶店近くで鉢合わせした。
私がびっくりして見ていると、
親しげな顔をして「暑いね、もう10月なのに」
そうですねと答える私。

回りは木々が多く
木漏れ日に、
蝉の声でも聞こえきそうな明るさと暑さ、
刑事は、私の腕を取り
「この喫茶店で、ナニか飲みましょう」と
私を喫茶店の中に入れた。

喫茶店は木陰のように暗く、涼しく、
外の景色が遠くに見える。

客は誰もいなく、
カウンターにもマスターが見えない。
「奥に入っているんだよ。すぐ戻ってきますよ」
と刑事に、親しそうに話しかけられ、
私は笑顔を作って答えていて、テーブルにつく。
真向いでの会話
私は刑事に、いつ
食べたんだろうと言われるのを
構えて待ってるみたいな所があって、
すると、
「どうした、手」と言われ見ると
私の手は、
彼氏と同じように手が小さくなっていた。

何故、と恐怖で叫び声を私上げていて、
夢これは夢、
夢だとしても怖いと思って叫んでいたが、
刑事を見ると
顔いっぱい大きな口にして開けていた。

私も彼を食べた時、
そんなふうに口を開けていたと思った。
キー、キー、キーって声を上げて。

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🍃手は、こんな感じで小さくなっていました

この夢を見て、反芻してる時、あの写真と本で読んだフランスであった事故が合わさったかなと思ったけど、目が覚める直前「この夢はコロナが影響している」と声が聞こえたのを思い出す。

ここ迄、読んで頂いた方ありがとうございます

大変でしたでしょう✨✨🤍

1番最初の絵は、水彩画の赤坂孝史さんを使用しました(全体像です)。

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