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天体ショー (狂夢)


狂夢 天体ショー


私は今、
海沿いのホテルの屋外プールにいる。

このホテルは、
巨大なテーマパークを持つ都市所有のホテルで、海を利用した遊園地、アトラクションは、
この星の目玉でもあって、
この巨大施設は、ここ数日大賑わいだった。

それは、3日後この近くの高台で
【皆既日食の天体ショー】があり、
特設ステージが作られている。
(この星は、昼間から他の惑星が観測できる星で)🪐

この星特有の100年に1度、
日食の時に現れる
「赤い輪」が見える特別な日食で、
他の星からも観光客が押し寄せていて、
各国から要人が集まる事もあって
話題を呼んでいた。

国の軍が、
ステージ近くのホテルのプールを借り切って、
私達はいる。
雇われ警護集団(傭兵)で、
前回での功績が大きく、
特別なはからいで今日1日、
この私達(傭兵)にプールを貸し切ってくれて、
ここにいる。

ここは開閉型のドームのプール、
念のためにとドームは閉じている。
ガラスは最上級の防弾で、
天気は良く開放感は最高ーで✨✨

みんな豪華なプールで楽しい、
楽しくて、楽しんでいるけど、
前回の任務で脚に怪我を負い、
脚を動かせないアリシアもいる。
(脚が動かないのは、今回の功績になった事が大きく、アリシアの働きがなかったら成功はなかった。その成功に導いたアリシアが)。

脚が動かせないアリシアは、
下半身にドルフィン型の
ウェットスーツを着けているので、
脚が動かせなくても、
人魚さながらに浮き泳げれるけど、
脚がこの先動かせる事はないそうだ。

アリシアの気持ちは、落ち込んでいる。

みんなも、それはよくわかっている。

楽しそうにしていても。

みんなもため息と気落ちの元であった。

アリシアの足は、みんなも気が重いが、
3日後の要人警護で、
みんなそうは言っていられない。

空と海を一体にした
テーマパークのこの都市で、
皆既日食の要人警護。
「皆既日食の日に要人が集まるなんて、警戒心なさすぎ」
「世紀のショーだよ、ありえなくないが」
「まあ、来る要人は全部ダミーで、テロリストを捕まえようって腹かな」
「ありえねぇな」ネットの意見は色々。

アリシアの脚は気がかりではあっても
みんなプールでは喋り、はしゃぎながら、
この最上級のプールで泳ぎ、
プールサイドで寛いでいるようにしていた。

沈んでいては、
アリシアが落ち込んでしまうから。

アリシアは術後言っていた。
「こんな仕事をしてるから、
こう言う事もあるとは思っていたけど、
この体、今回の警護を終えてからだったら」と。

1年前に、この仕事は決まった。
その時からアリシアは楽しみにしていた。
ドルシア国の大統領を生で見たかったそうだ。
友人から、
生のドルシア大統領のオーラはすごいと
聞いていて、
「多分それが伝染したんだと思う、見たいと思うのは」と言っていた☁️☁️☀️

また傭兵にとっては、
設備機器類、銃器類が
最新が揃うのも楽しみのひとつではある。
最新機器類も事前に練習しておかないと
意味はないが、
当日に新品と言う訳にはいかない。
正常に動くか各自チェック入れるし、
いち早くに身につけての護衛は
身も引き締まって、気分は爽快だ🗽🗽🗽

そして、3日後
ビアンのレディは体力自慢の女性で、
男性が女性になったと言われる程だった。
筋骨隆々のその女性は、
みんなが準備を整え、行こうとするその時、
杖で立っているアリシアが目に入り、ビアンは声をかけた。
「アリシア、要人警護が終わったら」
「終わったら、ナニ?」
「一緒に色んなとこに、食事や遊びに行かないか。知っての通り、これが終わったら大きな休みが取れる。あたしなら、いいガイドになる。ここは故郷だし」
「そうね、人に頼って色々行くのもいいわよね」
「考えといて」
「OK」

レディは、手を振ってその場を離れた。
「ふぅ、私は何を考えているんだろう。
好みでないアリシアに、
これが終わったら一緒にって、
今迄さほど話したことも無いのに、
だから急にこんな事言って
煩くないかって言おうとした。
・・・なんで、
なんでアリシアに声かけたんだろう。
確かに私はビアンだが、
同じグループでもないし、
知り合い程度の付き合いしかないのに。
誘い、一緒に暮らさないかって言おうとした。
何故か? 
大きな窓ガラスに明るい光が入ってくる明るい廊下で杖で立っている彼女を見たら、
これから一緒にって思った。
アリシアは確かに好きさ、
でもその好きは、彼女はトップクラスの腕で、
彼女が鈍臭くてああなった訳じゃない。
この部隊にいる事自体、それはない。
憧れていると言うよりは、尊敬はしてたさ。
仕事の向き合いかたとか。
その気持ちが、とっさに?よくわからんなぁ、
自分の気持ちが」
レディは、
そう思いながら歩く速度を早めていた。
でも、まあ自分今相手いないし、
一緒に過ごす相手がいることは
いいよなと考えていた。

🌠🌠🌠
「私達ラッキー」
「皆既日食、始まったね」
この日は、混雑が当然予想されていて、
海沿いの道路は歩行者天国となっていて、
この2人の少女は、
人混みの流れに逆らって
皆既日食が見える進行方向に歩いていた。

回りは、
皆既日食とは反対方向に叫び声を上げて、走っている。

少女の1人が
「ほら、赤くなりはじめた。
 みんな世紀のショーが楽しめなくて
   かわいそうねぇ」

皆既日食の始まる前、ショーを観劇する指定場所で、人間3人が自爆した。

その為、突如ショーは取りやめ、
人々は今避難を強いられていて、
みんな逃げ走っているのだが、
「ラッキー」と言っているこの2人の少女
外科的処置で体の痛みをなくした少女達で、
ガンの末期患者で、
もって1か月ぐらいの寿命の2人で、
逃げ惑う人々と反対方向に向かっている。

この2人は気分サイコーのよう。

「もう、いつ死んでも同じだしね」
「ワタシ死ぬのが怖くて、逃げてる人間見て、
気分がこんなに楽しいなんて、思わなかった」

2人は、15才と17才。

「ホント、楽しい。こんなに気分爽快で
楽しくなるなんて思ってみなかった。
決死の覚悟みたくなるって、思っていた」
「死を恐れてない自分が、こんなに素敵なんて」

2人は同じサナトリウムの施設にいて、
自分の死期が近いのも知っていた。
この天体ショーが近年あるのは知っていたが、
どうせ死ぬんだしで興味もなかった。
暇でニュースを見ていて、
思いついたコトだった。
何もできずに、人生が終わる。
大人になったら、したいと
思っていた、それもできずに死ぬのかと、泣くことも出来なかった。
最初は泣いてた、
でも泣いても変わらない事実だけが毎日続く。
毎日、朝晩繰り返され、
罪のない青い空を見る毎日に
日はまた昇るなんて、楽しく思えない。

そんな毎日に、
ニュースを見て、
自分デモできる事って思った。

各国、各惑星の要人達も
100年に1度の、
この星の天体ショーを見に来る。
テロリスト達への警戒がMAXになると。

各国と惑星の要人は現地に、
次元空間移動(テレポート)で来るとの事。
一旦開くと1時間は閉じれなく、
問題ありありで、
警護や防犯が厳重にしないとと
ネットでは盛んで、
他惑星からテロリストが侵入するのではとか、 次元空間移動は、
膨大なエネルギーを使い面倒がありありなのに、100年に1度の天体ショーを各国、
他惑星が特権使って来るってどうよで、
ヒンシュク買っていた。

それでも、このニュースは嬉しかった!

残された命で、テロリストを撃つ!
自分の生きてる意味が、見つかった!(^ ^)
この喜び!
他人にわかるわけがない!
このタイミングで、尽きる自分の命!
この喜びが、同じ喜びがわかる相手が!
その相手が、自分の前にいる!
ハタからみたら狂気!
けど大人にならず自分が死ぬ私達に、
何か言って欲しくなんて、(^ ^)ない!
この喜びがわかるのは、私達だけ!

自爆が3人あったと言うコトは、
通路は本当に開通したと言うコト。

要人達が全員、この星に到着したと言うコト。

最初の自爆が、
合図になるとコードで受け取った。
私達が、天使になるコード。

確認できたんだ、時間的にもそうだし。

少女2人はクスクス笑って、顔を見合わせた。

どうせなら、何かして死にたい!

この日の為に、(^ ^)外科的処置をして、体の痛みを無くした体の軽さが、少女達に拍車をかけていた。

サナトリウムでは、天体ショーが見たくて体の痛み無しにする事に、少女達の限りある命に許諾した。無痛症にする事に。

歩行者天国になっている道路は広く、逃げまどう人混みに逆らって歩くのは、爽快で楽しい事だった、少女2人には。

「先に自爆した奴ら、なんの抗議だったんだろ」
「知らない、興味ない。
 (^ ^)政治的意義ってヤツだったんじゃない」
キャッキャと楽しそうに少女達は喋る。

「何か好きな事をしろと言うけど、
 途中でできなくて
 意識切れるかもしれないのに、
 よく言うと思う!」
「怖さに打ち勝てって、よく言うよね!
 自分の命でないから、いくらで言える」
「アイツら励ましの言葉一つ一つで、
 ドン底に落ちていくってわかれって思う」
「コッチに理解求めようとするのは、ナニ⁉︎」
腐った大人の言うコトでしかない、彼女達には。

孤独なルールの上での、2人の行為。

彼女達の声は、
逃げ走っている人達には聞こえてない。

また、自分達に構う人間は
いないってよくわかっていた。

そして
最後に、テロで来る奴らを殺せれたら(自爆)と、
天使の翼を持っているかのように、
2人は手を繋いで、向かっていった。


end 

夢は、此処まで



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