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犯罪者のカルテ(狂夢)

深夜2時 
1人の少年が 2人の女性付き添いのもと、
地区から出て
都市の治療を受けさせたいと頼まれ、
男が猛スピードで白いワゴンを走らせていた


後部座席の少年は、
頭からレインコートをすっぽり被り、
うつ伏していて顔がみえない

(すっぽり被って見えないのが、なんか預言者に見える(笑)。まあ、それはないか。この教団、予言系じゃないし)と、運転の男は見ていた

そんな少年を、
1人の女性が両手を回し抱いていた。
体はとても細く小さいようで、
異様に思えるくらい



レインコートがなければ、
ガリガリな身体ではないかと、
スピード出してる最中の運転であるにも拘らず男はバックミラーに映る女性に
抱き抱えられた少年、女性2人のヒソヒソ声に
再三思っていた

(身長120、110か。9歳か10歳位... 摂食障害かなにかか。フードで、顔はよく見えなかったが、そこまで重度の病気と思わなかったが。この街の医者じゃ無理って事か。教団依頼、幹部の子供か)と見ては、
(母親ではなく姉か抱きかかえているのは、もう1人の女性は看護師か)


仕事で関係してる教団に
多額の金で運転をお願いされて、
車を飛ばしている
この区域は犯罪者の多い区域で、
区域超えの医療を受けるのが禁止になった

新興宗教の起こした事件をきっかけに

普通の医療は受けられるが、
元々高度医療になると、この区域に住んでる住民達は、他の区域で受けるしかなかった

国は、そこを突いてきた
高度治療、高度医療に関しては犯罪者は国を通さないとならない。自費でも
高度治療を受けたい犯罪者達は国に申告し、
特定区域を出ての刑務所で治療になる。
正式に罪状もつき、裁判もソッコーで終わる。誰が発案したんだったか
どの議員だったかは思い出せない

犯罪歴のない新興宗教も同じ、
国をとおさないと高度医療は受けられない
裁判にかけられる事はない、
罪でも、犯さないもしない限り
元々住んでる住民達は、国を通さなくてもOK
ただ高度医療は自費だ

都市の医者も金を出されれば、やる
闇医者は、いない事はないのだが.
..


男は、急ブルっとした
車の中が少し寒くなってきたと思い、
バックミラーの少年の細さも気遣って、
車の暖房を入れた
少しでも暖かくなればと思った
車の暖房は、なかなか暖かくならないから

🛸🛸🛸
あの教団が事件を起こす前、どっかの『犯罪者の王』が堂々と高度医療(延命治療)受け、人間と寸分変わらない若いサイボーグの体に脳移植し、広い金持ちそうな宮廷かと思うような窓の大きい、太陽が燦燦ち入ってくる、羨ましい明るい部屋の中でサーカスのピエロの様に動き、何度もバク転し「永遠の命を手に入れた!イェイ最高ー」と歓喜きまわる雄叫びを叫んだ動画を上げ、本人は爽快感溢れる様だった

ヨボヨボで動けなかった体とは違う

人工体でも、SFX の様な動きができるんだ
そりゃ叫びたくもなるなと思ったが
体が動けば、
若い奴らと変わらない行動をするのかと思った
金を持ってる奴らしかできない
サイボーグの体なんて
少しだけ本人の若い頃を彷彿させる、イケメンナイスガイ仕立てだ
『犯罪者の王』は噂であって、本当かどうかはなんだが…

最後に、
本人と双子の様に同じなのが出てきて、
2人とも同じ動きで画面に顔アップで近づき、ハハハと笑って、
「自分の記憶をコピーのサイボーグ」と紹介した、2人とも

金にあかせて
『ダイ・ハード』の
ブルース・ウィルスの
アクションをするかなと思った程のテンション
体は、人工体で若返った

だが、脳は老化した老人の脳ままな訳だ
脳は、時期に劣化してダメになると思うが…
金持ち向けの高額治療だ
区域の住民には補助金はあるが
犯罪者や区域の新興宗教の人間には、
義手や義足、人工体は与えられない
🛸🛸🛸


この時代犯罪歴のついた者は、
車の所有に
特定のナンバーを付ける決まりになっている

区域越えの時、
犯罪ナンバーを持ってない者に声がかかる
いいバイトだ


男は、
ライトで細かく降っている闇夜を進む中
電話が、かかった時の事を
さっきから考えがリピートしてる事に、
ちょっと笑っていた

今日遅い昼をとっていた時、
突如教団から依頼が入り、
深夜に2時に
女性2人と少年の待つ路地裏の場所に向かった

電話からの指示は
『クラクションを、鳴らすな。ヘッドランプを合図のように、点灯させるな』で、
雨が降る中、
少年を真ん中に囲うように
女性2人は立っていて「あれか」と思った。

男は速やかに音を立てず滑るように
彼女達の前に静かに止まり、
女性達は男の車を遠くから直ぐにキャッチし、乗り込んできた 

狭く暗い路地裏で、
ヘッドランプの灯りだけが頼りの場所でも、
少年はずっと俯いていた

そして今も、俯いて座っている少年

この手の仕事は突然が多い
車を飛ばしている今、
視界の悪さがツラい
街灯の点灯の少なさに、
また一通の細い霧雨のような雨でも
対面で向かってくる車を
ギリ避けながら運転するのは、ツラい
区域越えをしようとする奴らはまあいる、当然

監視のパトロールも回っている。

それを避けての運転。
どのポイントを走るのを知っているにしても、一通の多い路地面倒なのと、
雨がフロントの窓を強く叩き初め、
視界が鈍る
俺だって、
割のいいバイトと言っても捕まりたくはない。区域越えの医療を手伝ったとして、
ペナルティを貰う


この街の奴らは、
一通の道で二台通るにはギリの道幅を
ワザと腕試しで走るのも多く、
こう言う時は厄介だ

街頭も少ない
普段なら気にしないが
だが、こう言う道の方が、警察も避ける
警察も、
この区域にはあまり細かい事は言わない。
多少仕方ないと思ってる
暗闇の中ワザと幅寄せする奴や、
ライトをつけないで逆走してくる奴らもいて、今もそうだ!
横を、猛スピードで走り抜けてく
笑い声が聞こえるような、走り方だ
こっちがライト付けてても、危ねぇーんだよ
運転に神経をすり減らしてるにの、
なぜか電話でのやり取りが頭の中を回る

いつもより、運ぶのが子供だからかと考える

仲介者からの電話は
途中女性に電話が変わったが。
電話を掛けてきたのは、
男の子を抱き抱えてる方だと思う、多分。
電話での声が、彼女に近かった

街中でも、
これだけ暗い中、
迂回しながらの運転は進んでない気がしてくる
そんな事ないのにないとわかっているのに、
焦り、
今日はいつもと違うように思う

巡回車の位置は、
電子MAPでわかる様にしてある。
そこを掻い潜って走ってるにしても

教団幹部と関係者
後ろの3人の身分が、わからない
関係してる教団の関係者ではなく、
ある教団の幹部とその子供と言っていた
横の繋がりか、
はぐらかしたいのか、
奴らは嘘吐きだしと笑えてくる

宗教には興味はないが、
小遣い稼ぎになる話が多い。
だから、教団とはまあまあな関係を保ってる
その方が、表の仕事も上手く回る


🎉🎉🎉
🔥
4年前、ある新興宗教の教団が事件を起こした
前代未聞の事件で、
死傷者が多数出た
無差別殺人の割には、
出なかったと言うべきか
マフィアとも繋がっていて、
事件の報道は一大事件で連日大きかった

この一件は市民感情が強く反映され、
新興宗教は犯罪歴関係なく、
中央の都市から追い出され、
本部も支部も置けなくなり、
都市から3区離れた国指定の区域でしか、
存在できなくなった

この時、
新興宗教と一緒に
犯罪歴のある者達も3区離れた
この指定区域でしか、
住民票を持てなくなった

寄せ集められた、吹き溜まりの区域になった

元から住んでる住民は抗議はしたが、
あっさり決まってしまった。
ただ元々の住民には色々便宜、
下駄が履かさせられた。
引っ越す者もいた。
国が、金を出す方向で

中央に残った宗教は、昔からある仏教と神道だ

中央は、イエスのいない都市に
元々、犯罪区域に住んでいた俺には別にだった

事件を起こしてない
新興宗教の教祖達は抗議をしたが、
国民の敵対感情が凄く、
新興宗教者達への襲撃、暴行等が多発した

当然と思う、ホント

犯罪者達と一緒に3区離れたこの区域に
まあ犯罪者達が一緒にされたって言うべきか
事件を起こした教団は、
問題のある商法を行なっていた教団は多く、
それも犯罪歴に入り教団は、
その区域から出る事は一切許されなかった


教団は、
新教祖が教団を受け継いでの存続、
名称変えて。

一代目の教祖と周りの幹部は刑務所
実行犯は捕まったのもいれば、
逃亡中もいて
逃亡中の奴らを、
流石に匿う事はしないと思うが、
どうなんだろと思う

この区域にいても、不思議はないが
事件を起こした新興宗教の信徒達は、
この区域に来て外の区域に
出ていけない生活を選んだ者もいる。

その信徒達が犯罪に加担してなくても、
この区域から出ることできないし、
犯罪者のレッテルもつく

彼らは、殉教者だ

教団の罪を、
自分が背負って生きていくというのは
狂ってると思う、つくづく

自分達の献金で、
贅沢に生きていた奴らの
罪を被って生きていくのを望む

俺は思うんだ
自分の髪の毛や歯が
教団につき従う事で
禿げていっても殉教者でいるのかと

別の教団でも、
特定区域でしか
住民票を持てなくなるにも関わらず、
信仰を貫くのに住民票を移し、
この特定区域に引っ越して来るのもいた。
彼らは、特定区域から職場に通う

そこまで思って、
ため息をつく代わりにタバコを咥え火をつけた


依頼主に断りもなく、
つい、うっかりつけてしまい
病気の子に悪いでしょと言われるかと思ったが、
なんの反応もない、いいのか.... と思うも
直ぐに消した
今は、パトロールを警戒しないといけない

集中しないといけないのに、ついつい思う
だからこそなのか、
地元の人間に、金落とす方法をとる教団達
彼らのおかげで、
地域の町工場や店が回っているのは皮肉だが

この街はヤニと薬、エセ臭い街になった


前方が、
少し明るいと思った瞬間、
警備員がライト棒を振り回して、
止まれの合図をしてる

ちっと舌打ちと同時に、
突如パッパッパッと無数の車のライトで
自分の車が照らし出され、
「降りろ」と、拡声器の声が響く

何も、考える間がなかった

頭が軽いパニックを起こす、
それは女達も同じで、
警備員が近づいてくる

すぐに警備員の格好をした警察とわかり、
俺は急いで車から降りた

「何が、あった」と聞くと
雨は、
車で見たよりもパラパラと小降りになっている
煩く払うような雨ではないが、
気を取られる

車の後方から警備員が来て、
ワゴンの後を人の承諾もなく、
警察特有ののマジックキーで
ワゴンの後を開ける

聞いてはいたが、ワゴンの後のドアが開いて、びっくりし「ゲッ」と声が出
「一体なんだ」と、声を張り上げていた

少年が後部座席で立ち上がろうとする、
2人の女達は止めようとするも、
諦めてはいるものの気持ちが追いつかなくて、大丈夫大丈夫だからと、
とっているような行動で、
(偽造の身分証は用意している筈だ。言い訳も用意周到なのを用意してるはず、なのに、これは)で、目を丸くして見ていた

少年は立ち上がり、女性2人に
「僕は、イイよ。気にしないで」と言い、
車を降りて来る。
異常に細い厚みのない体に違和感で目がいく
どれだけ細いんだと、恐怖が沸く

機械音が上から響き
見上げれば、ヘリ‼︎
パラパラと降る雨が、
数台の車のライトで照らし出され、
自分の白いワゴン車に跳ね返され、
ストロボ効果もあり、
上空は明るく、
ヘリもよく見え

少年はレインコートのボタンを外し始め、
なぜと思うも、
止める必要性はない、ないのか?
病気の体を見せる?
その方が解決が早いのか⁈
と困惑気味の自分の目には、
女性達の様子が、
警察は固唾を飲んでる感じで映っていて…

雨は
霧雨のように細かくライトに浮かび上がり、
霧雨以外は、
時間が止まっているような気がする中
パトのライトで異常に明るい場面に
これは現実と思ってる、自分

少年は、黒いレインコートを取った

その体は、ロイド!
(ガリガリな身体なわけ...だ)
レインコートの下は、不完全なロイドの体!
(少年の身体は、首から下腰迄が棒一本《脊椎》
正確には首、肩から腕手指は普通に人間と同じ)

ロイドと言う呼び名は半機械、半人間
完成されてない未熟なアンドロイドの体に、
脳を移し動いている人間に使われる言葉

(自分が見るとは、思ってなかった)
子供の体で... 確かにそうだ
色々すりぬけるには、子供の方がと納得した


近年、
犯罪者だけでなく
新興宗教の教祖等が
おいさらばえた体をロボットに移し、
完成された人工体を
手に入れる迄の応急処置として…
ロイドの体にするとは聞いていた。
犯罪者に教団上層部達の延命措置の体、ロイド

実際見たのは初めてだった。

ロイドの体でも、
金を持ってる奴らしかできない

金を払って、この体かよで一般は笑っていた
完全な体を手に入れる為に、
設備の整った施設に行くため
区域超えだったのか
命運尽きたと思ったのか

ヘリの爆音は、続いている
どっからか、情報がと思うも

この奇妙な緊張感のなか、急に自分は
「いや、本当に子供のロイドかも知れない
新興宗教か犯罪者の子供かもしれない
新興宗教だとしても、どこの教祖と... 」

END






そこ迄思って、
ライト映る雨が、
道を照らす道に目が醒める気持ちになる







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