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さよなら ハッピーエンド 短編小説 4090文字

たまに、家の3階の窓から紙飛行機を飛ばす


3階の窓から見える、視界の広い空
うすい水色の空に、
白くたなびくうすい雲
明るい光りがいつも心地よい

家の前は他人の家の裏庭で、見渡す限り二階建て、遮る物が何もなく、視界が広い

右隣は、喫茶店で四角いコンクリの二階建
左隣は同じ三階建てで庭が広い分、半畳分建物が引っ込んだ作りで、建物が並んでなくて静かで


三階の窓からは、温室の中から外を見ているようで、静かで気持ちがいい

つい、そんな空の中、紙飛行機を飛ばす
白い紙飛行機は、結構飛んでいく時もあって
時々、ふわふわと飛んでいく姿に、双眼鏡で後を追ったりする時もあった
そのたびに、結構飛ぶと思っていた


ある日、飛ばした紙飛行機が、幾つもの屋根を越えて消えた

いつもの事

ただ、いつもよりふわふわと長く、遠く、遠く、飛んでどんどん小さくなっていく、紙飛行機のその様は、気持ち良くて、青い空の下、紙飛行機が風に乗って自由に飛んでいるような様は、気分がよかった


その日の夜、TVのニュースでは相変わらず、議員の裏金や子育て支援金の増税、中学生の僕達に伏魔殿と言われてる巨大リングは建設中止にして、その金そっくり子育ての資金にしてれば良かったんだよと流石に言われている巨大リングの進捗に、水道管劣化の次のニュースが、紙飛行機が男性歩行者の目に刺さり、よろめき転倒時に頭を打ち死亡が、緊急搬送された病院で確認されましたと流れた


いっっっ瞬、思考が停止した


「ウソ..」僕は、声が出た
僕の?方角は合っ... てる...
四丁目先、僕のなら本当に結構飛んだ
風に乗っった事になる、けど
僕のかな?僕の可能性半分?それ以上?

飛び過ぎのような気もするけど...

紙飛行機が刺さるなんて この人…
今迄に、そんなに悪い事をしたのかなって思ってしまう

紙飛行機が目に刺さって、転んで死ぬなんてと思っているTV見ながらの両親との食事


「運が悪いわね」ママのちょっと絶句した声

2人は共働きで、ママは今日は簡単にと言って、ハンバーグ。捏ねてすぐ焼けるレシピの手作りハンバーグ。付け合わせは、茹でブロッコリーとキャベツにお漬物


「さすがに、紙飛行機を飛ばしたのを見かけた方とは言わないな」食べるスピードの早いパパの手が止まる


「それはそうでしょう。だって紙飛行機よ!
紙飛行機が目に刺さるなんて、誰かが遊びで飛ばした紙飛行機でしょ」


「そうなんだよな!ちょっと、考えられなもんな。狙ってなら、目の前でないとな。紙飛行機が目に刺さって死ぬなんて、なに悪い事してきたのと思うな。申し訳ないが」


「考えちゃうわよね、つい」と、たわいなく言うパパとママ


僕は、目を白黒させながらお味噌汁を啜った
今日はいつもより薄いなぁって、お味噌汁を二口、三口と飲み込んでいった


☁️☁️
僕は、紙飛行機を相変わらず飛ばしていた
僕のか、わからない紙飛行機で目に刺さって人が死んだ

僕のだとしても、たまたまだ
お葬式には、行ってない
のぞいて見たかったけど

紙飛行機には、指紋が付いている


☁️☁️☀️
ニュースのあった翌日、学校では紙飛行機の話題で持ちきりだった

運が悪い、ドンくさい、あれホントマジ?って、みんな、それぞれのグループで喋り賑やかで、3階建ての自宅から飛ばした紙飛行機は、人気者だった
自分の紙飛行機と思ってる気持ちが、8割
ため息つく気持ち


「こっそり覗きに来るかもよ、犯人」

「遠くから、こっそりっw 」
みんな、クスクス笑いだす

「良心の呵責って奴っw」

「葬式に、来た奴の指紋取るかもな」

「えー、途方もなくない。大勢くるだろう」

「人が、死んでるんだぜ」

「でも、故意じゃないよな」

「そう、なんだよな」

「飛んできた紙飛行機だろ、風のなんらかの向きだよな」

「風が、強く吹いたんじゃないか。でないと刺さらない」

「その会社員、ここらに住んでる人じゃないんだろう」

「紙飛行機だから、近隣の人と思うよな。どっかの会社員も考えられるし」

「家族が望めば、指紋取るかな」

「どーなんだろう?家族も、狙ってと思って無いよな、紙飛行機だろ」

「自分の紙飛行機ですって、出てくるヤツいないよな」

「指紋照合すれば、すぐわかるし」

で、以下昨日のパパとママの食事中の会話の内容になった


不謹慎なんだけど、紙飛行機で人が死んだは、運が悪くて滑稽に思えるようで


亡くなった方には申し訳ないけど、踏んだり蹴ったりな死に方で…


僕の紙飛行機だったら、申し訳ないなと思うも、僕のではないかも知れなくて、僕のでも、ついナニ前世で悪い事したの?と思ってしまう自分がいた


☁️☁️☁️☀️

紙飛行機は、学校では飛ばさない

校庭に向けて飛ばせば、ゴミを飛ばしたと怒られる
風に乗った紙飛行機が、人を殺した
偶然だ、狙えるわけない。狙ったとは思わない、普通

でも警察は、両方の線で調べるのかな
紙飛行機の指紋は、取ってるなって思った

僕の飛ばす紙飛行機は、チラシではなく、コピー紙で、白い紙飛行機

白い紙飛行機は、ふわふわと風に乗って家の前を何回か周遊する時もある。不思議


 こんな不思議あるんだと、とても静かに心が喜ぶ感じで感動する。また 遊覧船のようにゆっくりゆっくり風に乗って、遠くに運ばれていく時もあって


遠くに、遠くに、本当に遠くに行く時があって

ゆっくりと、だから

つい、後を追ってしまった時もあった


それは、紙飛行機で人が死んだ後の出来事...
十日以上、二週間立ってからか


いつものように、久々になんとなく紙飛行機を飛ばした


それまで飛ばさなかったのは、不謹慎だからではなく、指紋が気になったから


でも、世間では紙飛行機を飛ばす人が多くなっていた。一時だけかも知れないけど


道端に紙飛行機が落ちてるのを、見かける事が多くなっていた

学校からの帰り道、公園で飛ばしている人も見る

みんな、紙飛行機で人は殺せるかの試しだ
みんな、殺せるなんて思ってない


友達の家に行く途中や、お使いの行き帰りに、飛んでる紙飛行機を見かける事は、以前より増えていた


その日、紙飛行機を飛ばしゆっくり風に乗って遠く遠ざかっていく姿に、見ていて、ついなんとなく、つい体が動いたと言う感じで動いた


3階建ての住宅が並ぶ区画、横にしか移動できないけど、庭にある木々が二階なら隠れて分かりづらいなって思って、ついお隣のベランダにいけるなって思って、昼日中人通りがなくて


つい、左隣のコンクリの塀の上に乗って
お隣は、今時分家に居ない事は知っていた
3階立ての雨受けの軒どいに対して垂直に円筒状を掴んで。円筒は新しく、(僕軽いし、大丈夫と自分を奮い立てて)で、配管掴んで、壁と配管の留め具の所に足かけて下り、怖かったけど配管はミシッとも言わずに、なんとか下がれて、お隣の二階のベランダ、そこからまたお隣の二階のベランダに繋いでいけそうだと思ったけれど、双眼鏡下げての僕はあやしすぎるし、流石に人目も気にして(表通りでないにしてもさ)思いとどまり、塀から地面に降り、家に戻った裸足で

結構バレないものだと思った

カーテン閉めてる家も多いし

そして、今度は3階の屋上から紙飛行機を飛ばした


相変わらずコピー紙だけど、あれから変わった事は一つ。薄手の白い手袋で、紙飛行機を折っていた


その夜、真夜中、人の寝静まった夜、どの窓も明かりは消え、カーテンは閉じている

僕は、自分の窓から物音を立てず、昼間の続きをするように窓からベランダ、塀、家から家へと、毎日するようになり、少しづつ慣れてきて一年経とうとする頃、ルパンのように、塀から塀、屋根伝い渡れるようになり、塀の上もまあまあ歩けるようになり(走れれば完璧だけど、そこまでは無理(笑))、嬉しくて仕方なく、自画自賛の日々で、『夜の闇は、友達』のように、思うようになっていた


塀から塀、ベランダの渡りつぎだけがエキサイティングで、なぜ、どうしてと考える時間ではなかった

なぜ、あの人は紙飛行機が刺さって死んでしまったのだろうと、ふと何度も思う

考えたって、わからない

でも、どうしてって?何度も思っていた
どうしてたって、グルグル考えていて


恨み辛みなんて、ない
僕にはないけど、他の人には合ったかもしれない。ストーカーしてたとか、イヤな奴だったかも知れない


『夜の闇は、友達』と遊んでる時は、紙飛行機の人の事は考えないで、胸に思う事はなかった
ただ、僕の学校での先生や親の前では、マジメなものだった


街で追いかけられても、路地に入りビルの配管伝って、二階三階のベランダや窓に忍んでやり過ごしたり、他のビルに移ったりして、難を逃れたり、芸は身を助けると思った

☁️☁️☁️☁️☀️
一年経っても二年経っても、紙飛行機を飛ばすのは続いていた
ただ、紙飛行機のニュースの日から眠る前、どのような軌跡を紙飛行機はしたのだろうと、あれこれ考えて眠りについていた


風に乗ってふわっと飛んでる白い紙飛行機は、ハレた青い空、白い雲の時に飛んでるのが好きだ

紙飛行機を、飛ばす僕の理由

ずーっと、ずーっと見ていたくなる

見ているうちに思うようになった事がある


紙飛行機は軽い、自在に方向転換できないかなって、ラジコンの構造を調べだした
ネットで薄型のチップを知り、色々あるなと思った。殆ど、重さが無い物も
ようは電気信号
紙飛行機は、軽い
骨組の無い紙飛行機が、方向転換できるのか?
今では、どの家庭もWi-fi回線があって
車のナビは、ネット
紙飛行機は、軽い
僕は、ネットで勉強しチップに改良を加え紙飛行機の両翼と先頭にチップをつけた、ようは電気信号

右の翼のチップが、信号を出せば右
左の翼のチップが、信号を出せば左
向くように
先頭のチップがキャッチすれば、ダメかなって
方向を少しでも変える事できないかって

両親のいない時、広いリビングで扇風機やエアコンつけて紙飛行機を飛ばして、何回も試行した

今度は夜、外で試してみようと思った

黒い紙飛行機なら、暗視ゴーグルがいると思った



数日後、TVのニュースでは、黒い疑惑のあった府庁の議員が、外付けの非常階段の近くで倒れているのが発見され、救急車到着時には死亡。死因は、非常階段からの転落が原因。ただ、議員は右目が何かに刺されていて、その刺されているのが、なんであるか確認中との事とニュースが流れた


end


 

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