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小説「死ぬ準備」
この小説は膨大な文字数で書きあがっています。少なくとも40万字はあるでしょう。思いつくままに抜粋して掲出します。無作為に抜き出します。今回は第17節から抜き書きです。各章節間の脈絡はあるようでありません。でも読み通すと何となく分かります。分らなかったら余命は短い、かも。
執筆者の気が変わるまでは、タダで読めます。
17-五人再会
吉川健二は本気で地球脱出を考えている。へっつ?認知症じゃないの。だから、そのことも確かめたい。みなで会いたい。と金蔵守はいった。
「仮に、認知症だったとしてもどうにもならない。われわれだってそうなっているかもしれない」
「まあな」
ほどなく金蔵守から電話が入った。上野で会うことにした。ただ木下も参加する。スポンサーだ。カネは一切あいつが払う。日本の老人は貧乏だし疲れ切っているから。もう、生きる気力もないだろう。
その点在日のあいつだけは妙に張り切っている。M&Aで売却した会社に内紛が起きた。創業社長派と進駐軍派に分かれて対立している。そこにお出ましのチャンスが生まれた。
相談役として週三日出勤している。会社の車で送迎だ。
居心地も悪くない。会社のカネもあ使える。時間を持て余すこともなくなった。よかったな。抜け目のないあいつのことだ。
うまいこと仕組んだろう。
残った五人で会おう。最初は三人だった。マドンナが加わり今度は木下が参加する。みな普段からブログで繋がっている。ブログのタイトルは小説「死ぬ準備」である。最初は私と金蔵守と吉川健二の三人で始まったものだ。
みな木下をなんとなく遠ざけてきた。在日二世で、親がそこそこの金持ちである。私も苦手な人種だ。でもスポンサーじゃ仕方ない。
自分で築いた会社を売却して大金を持っている。
「いいじゃないか。スポンサーよ」と金蔵守はいう。
ちょっと前にマドンナが加わった。マドンナも同じ二部仲間である。美人だったから早く結婚した。最初の夫に死に別れ、数年後にブラジルの資産家と再婚した。その夫とも死に別れ日本へもどってきた。
金蔵守に連絡が有りなんとなく五人であうことになった。そのあと今日まで続ている。たまに彼女も小説執筆に加わる。おおくは義理の息子マイケルのことだ。マイケル?胡散臭い名だ。いや最近は日本人にもいる。ふ~ん。そか。どうも鬼畜米英の臭いがする。
・・・おまえは相変わらず骨董品だ。時代錯誤!
ま、いいじゃないか。
五人とは、私と金蔵守、吉川健二にマドンナに木下である。金蔵守は堅い商売で少い資産を残した。吉川健二は親から譲り受けた牧場が福島原発事故でダメになった。最後まで現地に残り東電から損害賠償金を貰った。
妻と家族に渡して残りで生きられところまで生きる、と宣言している。
マドンナは亡夫の遺産を相続した。
死ぬ時は日本で死にたいという。
ブログ小説「死ぬ準備」には、みな勝手なことを書いている。お互い干渉しない。筋書きも、背景も構想もない。登場人物も勝手に決める。何を書いてもいい。お互い気心は知り尽くしている。会合は上野が多い。高田馬場や新宿は金蔵守がきらう。むかしの友人に会いたくないからだ。
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生きるとは死ぬことである。死ぬために生きている。計画では95歳まで生きる。理由は母親が100歳まで生きたから。男のおれは女性に敬意を表して…
満85歳。台湾生まれ台湾育ち。さいごの軍国少年世代。戦後引き揚げの日本国籍者です。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び頑張った。その日本も世界の底辺になりつつある。まだ墜ちるだろう。再再興のヒントは?老人の知恵と警告と提言を・・・どぞ。