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シュールな短編小説

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ファンタジー、そして時にはシュールな短編集。
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#メルヘン

雪うさぎ

 冷えると思ったら、窓の外は一面の雪景色。 「夜のうちに降ったんだっ」寝間着の上からオー…

むぅにぃ
2年前
3

星空カンパニー

 夜空が殺風景になってから、もう久しい。見上げても、そこに星は見当たらない。  正確には…

むぅにぃ
3年前
2

夕焼け空

 その町では、もう長いこと夕焼けを見た者がないという。 「最後に見たのは、ありゃいつだっ…

むぅにぃ
3年前
2

秋のリサイタル

 恒例の「落ち葉のリサイタル」が今年も開催される。ヒラリー・ハーンの奏でるヴァイオリンの…

むぅにぃ
3年前
2

赤い花を探しに

 夜明けの森で目が醒めた。わたしの脚は、細い木の枝をしっかり掴んでいる。腕だと思って伸ば…

むぅにぃ
3年前
5

売り切れの札がかかる

 デパートの屋上で開かれているビヤガーデンも、今日が最終日。  中谷美枝子、桑田孝夫、志…

むぅにぃ
3年前
3

虹のたもとには

「この辺りですよ、むぅにぃ君」志茂田ともるは、広げた地図を見比べながら言った。「8月20日、15時27分。うむ、あと3分ですね。もう間もなくです」  羊皮紙に書かれたその地図は、見るからに古い。実家の納戸を整理していて、たまたま見つけたのだという。 「ここから虹が生まれるのかぁ」わたしは、高鳴る鼓動を押さえようと、半ば無意識のうち、胸に手を当てていた。  その様子がいつになく敬虔に映ったらしい。 「夢見る乙女、といったふうですよ。あなたらしくもない」志茂田は笑う。 「で、あ

星拾い

 森の向こうの湖に流れ星が落ちた、そんな噂を聞いた。 「なあ、湖に行ってみようぜ。もしか…

むぅにぃ
3年前
5

星泥棒

 昼から降り続けていた雨もすっかり上がり、澄んだ星空が広がっている。久しぶりに公園まで散…

むぅにぃ
3年前