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連日の雨で、洗濯物が干せずに困っていた。このままでは、着るものがなくなってしまう。 「…
最終電車を降り、駅から家へと向かう。ふと月を見上げると、満月がくびれて歪んでいた。 「…
真っ暗闇の中で、わたしは息を潜めてじっとする。 (怖くない、怖くない。目をつぶっちゃお…
わたしは、中谷美枝子の家に向かっていた。これから一緒に、内職をするのだ。 モニター付…
向かいのビルのデジタル時計は、0:27と表示していた。 寒空の下、わたしはは半袖短パンの…
深夜過ぎ、桑田孝夫の誘いでふらりと入った映画館。 「いまどき珍しいね、オール・ナイトだ…
「3」の付く日は縁日だ。 この日、中谷美枝子と志茂田ともるの3人で繰り出していた。 「屋台を眺めているだけで、なんだかワクワクしてきちゃう」中谷が、目をあっちへこっちへと移しながら言う。 参道の石畳はとりどりの光に彩られ、ごった返す人々で賑わっていた。 「氏神様の境内って、ふだんはしんと静まり返っていて淋しいのに、まるで別の場所に来ちゃった気がするね」わたしも、鼻をふんふんと鳴らしながら言う。焼きそばのソース、たこ焼きの小麦を焦がした匂いがプンプンと漂い、それらが入り交
家の前でクルマの止まる音がした。誰か来たのかなと思ったら、幼稚園の頃からの友人、桑田孝…
ネット通販を見ていたら、ホット・カーペットが1,980円で売られていた。 「1畳でこの値段か…
森の奥深く、わたしと友人の桑田孝夫は進んでいく。 「本当にこの奥にあるの?」わたしは聞…
帰宅途中の夕暮れ、とある家の窓から覗く人影に気付いた。 「空き巣かもっ」通報しようか、…
通称「タマゴ部屋」に、わたしは勤務している。 積み上げられた段ボールでギュウギュウな…
妖怪フクロオニは、埼玉県内を転々と移り住み、いま現在、川口駅周辺で暴れ回っているとのこ…
埼玉にある道の駅で休憩をしていると、1台の青いフィットが入ってきた。クルマから髪を七三に分けた男が降り、ニヤニヤしながらこちらへやって来る。 「ねえ、桑田。あの人と知り合い?」わたしは小声で桑田に尋ねた。 「どの人?」秩父ラスクを持ったまま、桑田は振り返る。「知らねえな。お前の知り合いじゃねえのか?」 残念ながら、わたしにも見覚えがなかった。ほかのテーブルの誰かかと辺りを見回すが、外にいるのはわたし達だけである。 ただこっちの方向に歩いているだけなのだろうか。やけに馴れ