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陰キャ、ワーホリに来ている

 初カキコである。むえきという名前からお察しの通り、読んでも得なことはないが、せっかくなので陰キャの身でワーホリに来た感想を残しておこうと思う。

 最初に、自分にはワーホリに関するお役立ち情報も成功も失敗も特に語れることがない。キラキラワーキングホリダーが沢山の記事を書いてくれているので、「ワーホリに行くには何から始めたら…」だとか「ワーホリに行く勇気が…」みたいな人はキラキラワーキングホリダーの方々の記事をご覧になった方が早い。

 noteを突然始めるに至ったきっかけは、めちゃくちゃ暇だからだ。あと昔から文章を書くのが好きで、久しぶりに山ほど日本語タイピングをしたいという気持ちもあったからだ。そしてあと三ヶ月くらいで日本に帰るので、少しくらいワーホリの感想を残しておくのもいいかもしれないというもったいない精神からでもある。

 だから、誰かに読んでもらいたいというよりも、内省的に感想をつらつら述べるだけになる可能性が高い。あくまでも陰キャがオーストラリアでこういうことをしましたという日記的なやつであることは先んじて明記しておく。

自分の陰キャレベルについて 


 一口に陰キャといっても色々とタイプがある。ガチで人と会話できないレベルの陰キャから、クラスメイトとの交流は少なからずあったタイプの陰キャまで、多種多様である。ガチで人と会話できないレベルの陰キャが果たしてワーホリに行こうかなと思い立つかと言われると、今一つ自信がないところではある。

 自分はというと、一応最低限のコミュニケーションは取れる方だ。小学生の頃は休み時間にドッヂボールをしていたし、中学生の頃は黒歴史満載ながらも部活の仲間に恵まれてよく遊びに行ったりしていた。高校生時代の記憶は殆ど消えているものの、今でもクラスメイトから飲み会に誘ってもらったりする程度の交流がある。ただこの点については、おもしれー陰キャとしての需要なのではないだろうかと勘繰っているところである。

 「コミュニケーションは取れるができれば取りたくない」というタイプと言って伝わるだろうか。今現在住ませてもらっている家での交流が正にそれだ。リビングに行けば家主夫妻がネトフリを観ている。食器を洗いに行けば100%の確率で「Oh, hi! How are you?」が飛んでくる。それに応じることはできるが、応じるのがめんどくさいので、できる限り夫妻が寝静まったあたりかド早朝にリビングに行く。それ以外の時間はマジで一生部屋に引きこもってYoutubeを観ている、という次第だ。

 夫妻はめちゃくちゃ優しくて親切である。「自分の家みたいに思ってほしい」と言われている。可愛い猫ちゃんも飼っている。日本のバイクが好きで、日本の文化も好きと言ってくれる。そんな夫妻に誠にかたじけないことではあるが、交流するのがめんどくさいので部屋に閉じこもっている。そんな感じの陰キャである。

ワーホリに来たきっかけ

 なぜそんな怠惰陰キャがワーホリに来ているのかというと、推しのためだ。推しのVTuberのためだ。推しのVTuberが英語話者なので、日本語翻訳の切り抜きを待たなくても配信を楽しく観れるようになりたい、というクソ不純な動機を抱えてやって来た。陽の国オーストラリアもまさかこんなしょうもない動機でワーホリに来る奴がいるとは予想していなかったことだろう。

 「なんでオーストラリアを選んだの?」
 これがものすごく答えに困る頻出質問だ。「推しのVTuberがオーストラリア人だからです」と言おうものなら相手との会話はそこで終わるに違いない。だから「日本と時差があんまりないんで…」と答えている。でも理由は「推しのVTuberがオーストラリア人だから」である。

 英語話者のVTuberの大多数が、英語以外の言語も話せる、ということもワーホリに来る後押しになった。英語ができる時点でかっこいいのに、日本語がネイティブレベルだったりフランス語が堪能だったりするのだ。かっこよすぎる。大尊敬である。自分の人生のスローガン「推しに恥じぬ自分でいる」に従い、英語を話せるかっこいいオタクになるべく自分は日本を発ったのだった。

 陰キャのくせに胆力あるなと思うかもしれないが、海外生活が初めてではないというのが大きい。大学生の頃にKPOPにどハマりして、全く同じ動機(推し)で韓国に一年間留学していた。「どういう場面のどういう会話で躓くか」というポイントを既に予習済みであるというアドバンテージがあるのだ。韓国に留学していた頃のことも、備忘録的な感じでいずれ書き残しておきたい。

 そういうわけで、海外生活経験者というベースと、社会人をやりながら週2くらいでオンライン英会話を受けて英語の勉強をしたお陰で、特に問題なくオーストラリア生活を送れているのである。


ワーホリの意義とは


 ワーホリ生活七ヶ月目くらいの現在考えていることは、「ワーホリに来てよかったけど、全然普通に早く日本に帰りたいな」である。

 冒頭でも述べた通り、ワーホリというと「成功」「失敗」という単語がついて回る。失敗談の方はあまり見ていないが、恐らく仕事探しが上手くいかなかったとか、英語があまり上達しなかったとか、そういう感じではなかろうか。あとは帰国後の就活が云々という話だろう。

 人脈とか英語力とかそういう観点でいうと、自分のワーホリは失敗しているのかもしれない。でも別に気にしていない。英語力を活かして外資系に、みたいな欲もないし、推しのVTuberの配信はそこそこ聞き取れるようになった。自分的には成長を感じられるので大成功だと思う。

 ただし、あちゃ〜と思ったこともある。コーヒーが好きなのでカフェでバイトできたらいいな〜と思っていたのだが、バリスタのバイトは最低一年のバリスタ経験が必須なのである。よく考えてみなくても、日本でもそうなのだから当たり前だ。

 自分はというと、サンドラッグでのレジ打ちやら小さいイタリアンレストランでのウェイターやら、そんな感じの経験しかなかった。大学卒業後は小さいIT企業で営業をやっていたが、そんなもんワーホリで役立たせられるのは既に英語ペラペラの猛者だけだ。英語カタコトの日本人がワーホリでそういう職に就くのはかなりハードだと思うし、そもそも陰キャにオーストラリア人相手に営業できるようなガッツは無い。

 つまりバイトの履歴書として役に立てられる経験が殆ど無いのである。自分がいかに何もできないかを思い知る良い機会になったとも言える。マジで何もできない。料理もできなけりゃ電話応対もできない。推し活ばかりの人生を送ってきた人間が己の無能さに直面させられるのがワーホリであり就活である。ちなみに就活も先述のIT企業以外受からなかったから入っただけだ。

 だから日本に帰ったらとりあえず色んなバイトをしてみたいな〜と考えている。地元では到底無理だが、東京周辺や観光地なら英語を使う機会も少なからずあるだろうし、色んな職種に興味があるのも嘘ではない。将来ビッグになりてえという野望があるでもなし、 安定した仕事への希望があるでもなし、ゆるく生きていければいい。

 こういう考えになったのはオーストラリアに来てからだ。当初は「帰国したら就活か…」と既にめんどくさかったが、オーストラリアはバイトの時給がめちゃくちゃ高い(2500円くらい)ので、アラサーの人でもバイトだけしてのんびり生きている人が多い。日本のとんでもない物価高と給料の低さでは望むべくもない暮らし方ではあるが、焦って就活をしてメンタルがブチクソにやられるのは大学生の時に一回やっているので、もうお腹いっぱいなのである。人生経験を積むのに年齢は関係ないと勝手に断じて、親には申し訳ないがしばらくちゃらんぽらん生活をする予定だ。


友達はいる


 9割は韓国人だが、英語でやり取りをする友達は何人かできた。友達をたくさん作ってハッピーライフを送りたい派の人からしたら目を疑うような人数ではあるが、これ以上は島民に出て行ってもらわないと新しい島民を受け入れられないくらいの人数の友達はいる。

 職探しが死ぬほど大変なのに対し、海外で話し相手を見つけるのはそこまで難しくない。ただし、自分がオタクで相手もオタクである限りは、という条件付きではある。

 ワーホリに来たばかりの頃、あまりの孤独に耐えかねて何度か言語交換会に参加した。場所はバー。陰キャのバー初ソロデビューはオーストラリアの地と相成った。その言語交換会はバッジを見れば「勉強中の言語」「母語」がわかるようになっていて、日本語を勉強したい人・日本に関心のある人を見つけやすかった。

 自分はオタクだ。アニメも漫画もゲームも好きだ。好きなアニメはパプリカとヴァイオレット・エヴァーガーデン、好きな漫画はワンピースとスプリガン、好きなゲームはペルソナ3ポータブルである。そして日本語勉強中の外国人は高確率でアニメ好き。需要と供給が大いに一致する場が言語交換会なのだ(個人の見解)。

 恐らく通算十回は言語交換会に行ったと思う。何度か会った相手と飯を食べに行ったりして友達になった以外にも、その場その場でアニメトークに花を咲かせて盛り上がったこと数知れず。店が超絶騒がしかったり恐ろしく陽キャな人がいたりしたら脱走しはしたものの、穏やかで友好的なオタクがいる時はかなり楽しく会話することができた。

 あとオタクトークには高度な語彙力が要らないのもありがたかった。「あれ好き?」「好き好き!」「観た観た!」くらいのボキャブラリーで会話が成り立つ。それでちょっと英語に自信がついた。仲良くなるには共通点が必須であるというのが自論だが、二次元オタクであることにこれほど感謝したことはない。日本に興味がある人との共通点まみれで、学歴より職歴よりオタ歴が一番力になってくれた。あまねく推したちよ、ありがとう。イエーイ、君を好きでよかった。バンザイ、君に会えてよかった。

結論:原動力があれば来て損はない


 ワーホリを始めた去年7月から現在に至るまで、早く日本に帰りたいという思いは一貫している。だってオタクだから、コラボカフェにも行きたいし一番くじも引きたいし、買って実家に送られたフィギュアたちに早くお目にかかりたいのだ。

 とはいえ推しの配信も問題なく観れるようになったし、日常会話程度の英語も身についた。推しの配信が結構聞き取れるようになっていることに気付いた時は感動したりもした。だからワーホリに来なきゃよかったなとは全く思わない。

 陰キャでもワーホリに来たっていい。推しの英語を1日でも早く理解できるようになりたい、という動機で来る海外も楽しいものである。スーパーのレジで英語で何か言われて全く分からなかったレベルの自分でも、こうして推しの配信片手に「ワーホリ悪くないぞ」のnoteを書いているくらいなのだ。残り四ヶ月弱、次なるは爆裂激早イギリス英語を話すVTuberの配信を攻略するべく、今日もYoutubeの画面と格闘している。


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