時間
私はこれまで数え切れないくらい「人」に救われていたはずだった。
中学生の時、些細なことをきっかけに私はクラスで孤立した。
話し相手のいない私は、塾での先生との他愛ない会話に心救われていた。
大学生の時、初めて彼氏ができた。
恋人のことは全て知っていないといけないと思って、聞きたくない元カノの話を聞いたり、女友達の話を聞いていた。
友人はそんな私に
「聞きたくないことは聞かなくていい」と言って、当たり前のことに気づかせてくれた。
社会人になって、一人暮らしを始めた。
慣れない土地で慣れない仕事、終わらない業務に毎日残業していた。
働いて働いてやっと手に入れた休日も鳴り続ける携帯。
毎日もらう罵倒。
仕事を押し付けてくる同僚。
人の利益のために、自分の時間を使った。
お金以上に自分の時間が、私にとって1番欲しいものになっていた。
その矢先、10年連れ添った愛兎を亡くした。
看取れなかった。
帰ることの出来ない職場に、他人に貪られる私の時間に、行き場のない怒りと大切な愛兎への申し訳なさに涙が出た。
私は私の時間を取り戻したい。
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