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ダレカA

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#邦ロック

行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

行方不明-ベストピクチャー/BUMP OF CHICKEN(A)

 絵を描くコトが生きるコトである絵描き。絵を描き続ける表情は憂いに満ちている。その基になっている1つが、誰にも認知されることもない苦しみ、そしてもう1つは、絵を描く意味が行方不明になってしまった苦しみ。

 どちらも、自分自身の存在証明が揺らぐ、大きな問題。こんな状態だからこそ、音は暖かくポップな雰囲気はあるけれど、所々で荒んだ唸りが鳴っている。暖色と寒色を交互に塗りたくるような。そんな音像が広が

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無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

無限のモノサシ-グングニル/BUMP OF CHICKEN(A)

 人はそれぞれのモノサシに基づいて色々なコトを判断していて、計れなくなったモノは異質で不明瞭に見えてくる。

 小さい頃に立てた目標地点を目指し、なりふり構わずに向っていく行為は、時間の経過と共に、モノサシが振り切れてしまうことが多い。そのため、周囲からの声や自分自身の移ろいによって、姿勢を崩してしまいそうになる。そんな不穏な空気を吹き飛ばすように、曲は怒涛の勢いで駆けていく。

 自分たちの音楽

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勇ましき臆病者-バトルクライ/BUMP OF CHICKEN(A)

勇ましき臆病者-バトルクライ/BUMP OF CHICKEN(A)

タイトルにある「クライ」は果敢な叫びである。と思わされる程に、声を枯らしながら唄う様が印象的で、耳に飛び込んでくる。四方八方鳴り響く音は、パワーに溢れ、足取りは軽快。鬨の声を上げる勇士の姿が、頭の中に思い浮かぶ。

 けれど、耳を澄ましてみると、所々にたどたどしさが見え隠れ。そんなことを思えば、今までの勇士の姿は、みるみる内に虚勢を張った臆病者の姿に変わっていく。「クライ」が、何かを求めて泣いて

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再点火-ランプ/BUMP OF CHICKEN(A)

再点火-ランプ/BUMP OF CHICKEN(A)

目標を定めてどれだけ準備をして、荷物をかばんにつめこんで、勇んでも。道中の様々によって、当初の熱量は徐々に失われる。私はそれがたびたびあって、そのたび弱い自分に嫌気が刺す。そんな風に悶悶として荒んでしまった時、この楽曲は沁みいる。

 常に熱量を持ち続けているように見える彼らでも、熱量を失うこともある。そして、都度それを取り戻しながら進んでいるというコトが、優しいロックなサウンドに乗って伝わ

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オリジン-ナイフ/BUMP OF CHICKEN

オリジン-ナイフ/BUMP OF CHICKEN

「FLAME VEIN」収録の楽曲達は、どれも初期衝動的なアツさがこもっている。中でもラストを飾るこの曲は、それまでの6曲を一つに纏めたように、いっとうアツい。グラグラに沸き立ち、真っ赤に輝く音がジワジワと広がっていく。雨が降ろうが槍が降ろうが、どこまでも先に向う構えであるのが、ヒシヒシと伝わってくる。

 結成26年。バンドを始めた頃から、彼らが奏でる音楽のカタチは、少しずつ変わってきている。け

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とびきりシンプル-とっておきの唄/BUMP OF CHICKEN(A)

とびきりシンプル-とっておきの唄/BUMP OF CHICKEN(A)

 近年の音楽シーンは技術の加速度的な進化で、音が幾重にも重なっている。現在の彼らも、EDMな音を取り入れて、多彩な印象。しかし、昔の彼らと言えば、今よりも硬派な感じ。ボーカル、ギター、ベース、ドラムを使ってどこまで出来るのか。ロックバンドとしての音を追及していた印象。

 そんな時代の初期に産み出されたAL「FLAME VEIN」。バンドの中でもシンプルな楽曲が詰まっている。その中でも、この楽曲は

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イチゲキ-ノーヒットノーラン/BUMP OF CHICKEN(A)

イチゲキ-ノーヒットノーラン/BUMP OF CHICKEN(A)

 世界はweb3.0へとシフトしており、ネット上でのコミュニケーションは更なる加速が予想される。発信物は誰かの元へと更に届き易くなり、それを受けての感想なんかは、更に把握し易くなる。

 そんな今から23年前。日本を代表する、このバンドは、まだ駆け出しで殆ど誰も知らない存在。そして、インターネット過渡期。発した声が届くかどうかの不安感は今以上。そんな当時の緊張感が、この曲からはフルフルと感じられる

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ケツイが みなぎった-リトルブレイバー/BUMP OF CHICKEN(A)

ケツイが みなぎった-リトルブレイバー/BUMP OF CHICKEN(A)

何のために僕らは産まれてきたのか。自らの在り方、生きる道を確かめるように、一つ一つ音を響かせる。

同じALに収録されている「ガラスのブルース」と近しい存在。けれども、ひたすらに全速力で突き抜け、ケツイの言葉を放つような感じじゃあない。
道を進む中でフツフツと湧き上がる不安に苛まれながらも、それを振り払い、奮い立たせるようにケツイの言葉を一つ一つ叫ぶ。道半ばで挫けず、無事にエンディングへと辿り着け

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イタミ-アルエ/BUMP OF CHICKEN(A)

イタミ-アルエ/BUMP OF CHICKEN(A)

絶望的な状況下、どんだけ痛い思いをしながらも、決して折れずに歩んでいく。そんな境遇に20年以上あり続けていた、架空の人物R.A(仮称)さんに向けて唄われた詩。

絶対に届くことの無い相手を思って作られた、一般的に"イタイ"と言われるモノ。けれども、溢れる純粋な気持ちは一線を画していて、嘲笑される要素は微塵も無い。鳴らされる音、放たれる言葉には、温もりが満ちていて、全力で相手のことを思っていることが

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時間の経過-くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

時間の経過-くだらない唄/BUMP OF CHICKEN(A)

久しぶりに聴いたこの曲は、思ったよりも音像がザラッとしていて、少し笑ってしまった。
もっと鮮明に聴こえていた気がしたような?と不思議に思い振り返る。

春風みたいなメロディが舞う中。描かれるのは、子ども時代と大人時代の狭間の物語。私とは無縁の話だったけど、綴られる青いと揶揄されそうな決意、誓いの言葉達に、胸打たれたことを憶えている。
そう思った時に、はたと気づいた。
時間の経過と共に、あの頃の気持

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