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【エッセイ】カスの日常

本当に突然だが、私はカスだ。
軽い抑鬱、定期的な体調不良、ADD(最近はこの言い方をしないらしいが)など統合失調症の陰性症状お徳用詰め合わせパックのような人生を送るダウナー系のカスだ。
これは別に不幸自慢をしたいわけではなく、本当にかなり困っている。酷い時は食事や外出など生活の身動きが出来ない。

そんな自分にも、幸せなことに人並みに友人が居て、予定があり、暮らしがある。

友人には迷惑をかけ、予定には遅れ、暮らしが崩れていく。漠然と良くないと思いながら。何が良くないのかはよく分からないまま。


しかしそれでも何とか生きていけるのは、自分がマトモな時もそれなりにあるからだろう。

予定に遅刻し、課題は出さず、それでもバイトは定刻に出て上がる。友人とのLINEは返さなくなり、それでも呑みの約束はあまり忘れない。

不思議なバランス感覚だと自分でも思う。
このバランスが悪い方に傾くと、

「あぁ、今日風呂入ってないな」
「昨日までの課題やってないな」
「おっ、もう既に遅刻してるな」

こうなる。

やりたくないことをやってないだけなのに、偶然全部13文字になって気持ち悪かった。
普段からこの空気感で生きてるので、カスの日常は13文字なのかもしれない。こんなとこで運を使いたくなかった。

ではどんなところで運を使うのか。
それはカスの日常に対応する瞬間、例えば

「頭だけ洗って香水付けるか」
「まぁ、やらなくてもいいか」
「じゃあもうちょい遅く出よ」

これで何とかなってしまう時が本当にある。


今度は狙って全て12文字にしたので運は使わずに済んだが、普段降りかかる幸不幸はこの怠惰の成否で帳消しになっているように思える。

冷静に考えて、もう既に遅刻してる奴が連絡一つ入れただけで何も焦らずに着ていく服を選んでいいわけないし、どんなにどうでもいい時でも風呂は前日の夜に入った方がいい。

それが出来ないくせに『遅刻は良くないし風呂には入った方がいい』とかいうマトモ寄りの感性だけは持ち合わせているため、こういう中途半端な怠惰に挑戦してはカスの成功体験を積み重ねている。

こうして積み上がったカスの成功体験がまた、カスの日常に拍車をかけて積み上げていく。

自分の心に正直に一つ一つの所作と向き合い、本当にやりたくない事からは目を背けながら目の前の確定した遅刻に向き合う。「丁寧な暮らし」と呼ぶには少しだけ煌めきが足りない。

私の日常はカスだ。では何が良くないのか。

そんな良くないことばかりに慣れた人生がそれなりに楽しい今が、きっと一番良くない。

そしてそれを出力したこんな文章は、せめて良くあって欲しい。
判断はお任せする。

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