パタヤ・ブルー

 スクンビットロードからノースパタヤへ、そしていつも工事中の中途半端なロータリーを二つ目の道に入ると、少し下った左カーブの向こうに青い海が見える。僕はこの光景が好きで、パタヤへ来るときはいつでも、たとえ雨模様であろうと渋滞であろうとこの道を選んで車を走らせるのだった。
 ビーチロードは名前通り、海岸に沿って南北に伸びている。歩道を挟んですぐ砂浜が広がり、海の反対側は大小様々のホテルとバーがごちゃごちゃと群居よろしく繋がっている。いかにもリゾートらしい青い空と海と風、そしてパタヤ独特の怠惰で退廃的なのんびりさ、深く考えないような明るい雰囲気がなんとも心地良い。街でよく見かける年配の白人たちもそんなパタヤに魅かれ、生まれ育ったところを遠く離れたここで、残る余生を気ままに過ごしているのだろう。
 パタヤの空は今日もブルーだ。午後スコールが降るかもしれないが、とりあえず今は晴れていて気分は上々。温い風をかき回すだけの扇風機に吹かれながら、タイらしくコンデンスミルクのたっぷり入ったアイスコーヒーを飲む。のんびりと時間を食いつぶすだけの休日、それはなんと魅惑的なことだろうか。

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