#2 グラフィックハーベスト基礎|「まだここに表れていないもの」を話し始めるために
公開授業「武蔵野大学環境システム学科 Co-Creation Lab解のない課題に伴走できる人材に求められる参加型リーダーシップ入門」。
この記事では第2回目の講義「グラフィックハーベスト入門」を受講生の視点からレポートします。
ふかふかの土をたがやす
解のない課題に対して「やってみよう!」「実践しよう」ということを大事にする本シリーズ。
今回は、はじめに、ホストの伊勢田まいこさん(#0で紹介)から「”やってみよう!の芽”が安心してぽこぽこ出るような、”ふかふかの土”をつくるところから一緒に取り組もう」と呼びかけがありました。
「ふかふかの土」とはなんでしょう。この講座を受講した私(執筆者)は、「ふかふかの土」を、「解のない課題に対して取り組むときのコミュニケーションのベースにあったらステキなもの」のようなことと受け取っています。
その土づくりの第一弾が「ダイアログ」。そして第二弾の今回が「グラフィックハーベスト」です。
「グラフィックハーベスト」ってなあに?
皆さんは、「あのとき私はこう言ったでしょ」と相手が言ったことと、「あのときこう言ってたよね?」と自分が思っていることに、ギャップがあった体験がありますか。私はたくさんあります。
おそらく色んな方にギャップの体験があるように、相手の頭の中に広がっているイメージを、限られた時間のなかで「話された言葉のみ」から理解することは、とっても難しいこと。
結構私たちは、相手の思いや考えを感じようと、耳をかたむけたり、メモをとったりして、相手の伝えたいことをどうにか理解しようとしています。でも、イメージがずれることは、ままある。
また、私たちは、その「話し言葉」による努力からつくられた大事な会議などで話されたことを、文字にして、どうにか見える形にしようと議事録や企画書を作ることもします。
でも、考えてみると、ここで使う文字は、すでに日本語の言葉になっていることしか書けない場合がほとんど。「いや…あの…なんか…」と話され始めた、「まだ世の中にないこと」や「その時感じられている感覚」のようなものは、なかなか文字にすることが難しかったりします。
このように、理解がずれがちななかでどうにか話しあわれ始めたことを、いまある言葉を文字にしたものを使って「客観的に」「端的に」作成されたたくさんの議事録や企画書には、実は「”現在存在する言葉”だけではいい表しにくい何か」や、「行間」や「感情」のようなものが抜けているかもしれません。
これから、「解のない課題」に対してダイアログを積み重ね、まだこの世に表れていない”解”をつくろうとしている私たち。
だからこそ、言葉では言い表しにくいことをも受け取りあうために「文字や絵や記号など(グラフィック/視覚表現)を使いながら、もっと相手が話そうとしている何かをつかもうとしてみよう」。「グラフィックハーベスト」の練習は、そのようなお誘いです。
このように、「グラフィック(視覚表現)」を通じて相手のお話を「ハーベスト(収穫)」してどんどん話を開いていくプロセスが、ダイアログのなかにあったら。私たちはどんな豊かなものを一緒に作っていけるでしょうか。こうして、私たちはグラフィックハーベスト入門の道を歩み始めました。
描くことも、「やってみる」!
第1回のダイアログも「やってみる」を合言葉に、実践や練習にチャレンジした私たち。この回も、手元にお気に入りのペンや紙を用意して、たくさん手を動かして描いてみます。
描き始めたら…なんか楽しい!
やってみたら描けるものもある。
簡単な図形の組み合わせで色んなものが描ける…かも…!?
こうして学んだ絵や、文字、そしていろんな色を使って、ストーリーを聴き、描いてハーベスト(収穫)した内容を話し手に伝え返すという練習をしました。
私は、最近あった嬉しかったコミュニケーションについて話したことを、ハーベストしてもらいました。チームで企画を進めながら”なんかもやもやするなあ”と思ったとき、その企画メンバーともやもやする気持ちを持ち寄って話せた時のことです。もやもやをただの愚痴で終わらせずに、”本当はこれを大事にしたかったんだよね”と話せたのが良かったんだ、というストーリーでした。
私の話を一通りした後、手元でグラフィックを使ってメモしながら聴いていた聴き手の方は、「仲間と感情を共有するということを大事にしているのを感じたよ」「いい仲間がいるんだと感じました」ということを返してくださいました。私が直接言葉で話していないことも、その方の感性で感じたことからハーベストしてくださったのです。そのハーベストを受けて、私はさらに「そう、そうなんです。その仲間がね、こんな風に話をしてくれてさ…」と次の話をしていました。
グラフィックハーベストを練習して、私たちが思いを馳せたこと:私たちは何を学んだんだろう?
私たちは、
・相手が話したストーリーを、メモをしながら自分の感性をつかって聴いて
・「私にはこう聴こえました」「こういう風に見えました」ということを描いて返す試み
を通じて、ダイアログをより豊かにすることを学びました。
グラフィックハーベストを学ぶ前と比べて、受講した私たちはこんなことに気づいています。
これらの言葉にあるように、「自分の感性を使って聴く」ことや「それを残すこと」「1言って10わからないこと」は、私たちの普段のコミュニケーションでは「良し」とされていないことかもしれません。
でも。いわゆる”客観的である”ということを手放して、私たちそれぞれにしかない感性を使ってよく聴き、「自分にはこう聴こえたけどどう?」と返せば、またそこで開かれる話がある―。
私たちは、「グラフィックハーベスト」という試みを通じて、やってみたくなったことが2つありました。
その1【よく聴く】
その2【自分の感性を大事にする】
私たちはこんな体験をしながら、「ふかふかの土」を耕したのでした。
よく聴く人がいて、はじめて話されることがある。この講座を受けて、上手に話すことと同じくらい、「よく聴く」という行為ってすごくパワフルなことなんだ!、と感じています。
【関連リンク】
◆【参加型リーダーシップ入門2022】特設サイト
2022年秋のご案内を掲載しています!
https://musashino-cocreationlab2022.mystrikingly.com/
◆対話とグラフィックの基礎講座「対話Basics/グラフィックBasics」
月に1度のオンライン講座です。
https://peatix.com/event/3224913/view
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◆一般社団法人サステナビリティ・ダイアログ
本講座を運営している、サステナビリティ・ダイアログのホームページ
https://www.sustainabilitydialogue.vision/
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