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未来を生きる皆さんへ

皆さんこんにちは。伊藤羊一です。週末はいかがお過ごしでしたか?

私たちはいま、未知のウィルスと戦っています。
様々な情報が飛び交っています。
状況は、現時点では、ますます厳しくなっていっています。
そして、どうしたらこの状況が改善していくのか、想像がつきません。

私たちは、この災難を、どう考え、どう乗り越えて、どう生きていったらいいのでしょうか。

今日は、未来を生きる皆さんへ、私が考えていることをメッセージします。


私たちの多くにとって、これは初めての経験です。
ウィルスが新しい、ということもありますが、私たちが経験していることが、初めてのことばかりなのです。

「初めて」というひとつめは、これが世界中のあらゆる人が同時に直面している事態である、ということ
もちろん、国によって、地域によって状況は異なります。しかし、こんなにひとりひとりの行動と世界が繋がっている、影響を受ける、ということは、私が生きてきたなかでは、初めての経験です。

ふたつめは、コロナショックは、過去起きてきたことをどう復活させるかだけではなく、「これから起きること」への対応が、要素としては大きいということです。そして今現在も、これから何が起きるのかを正確に予測することは難しい状態です。これも、初めての経験です。

みっつめは、今必要な対策、つまり「ソーシャルディスタンシング」が、これまで私たち社会生活の中で目指し、行ってきた活動と逆方向である、ということです。これも、初めての経験です。

初めての経験です。だから、未知との戦いです。
人は、経験していないこと、何が起きるかわからないことについては、めっぽう弱いです。なので、私たちは今、この未知のウィルスに苦しめられています。

なかなか、落ち着かないと思います。
いつ、どのようにして、この未知のウィルスの脅威から乗り越えられるか、わからないと思います。
将来に対する不安が、強くなったかもしれません。

でも、人類は、そんなに弱い存在ではありません。
ひとりひとりにできる対策をしっかりと行えば。
私たちは、必ずもう一度、立ち上がることができます。
そう、私は信じています。

では、どのようにもう一度、立ち上がるのか。
どのように、生きていくか。

未来はどうなるか、わかりません。
わからないから、未来を構想するのです。
そして、構想した未来を創っていくのです。
誰が?  私たち一人ひとりが、です。


「未来は、予測するものでなく、創るもの」です。
創るために、構想する。
あなたも間違いなく、未来を創るひとりです。

これから未来を構想するうえで、大事な前提と私が考えるのは、以下の3点です。いずれも、極めて当たり前のことです。

1)想定外の凄まじいスピードで、いきなり社会は変わっていく。

まず、これまでと比較して、社会が変わっていくスピード感は圧倒的に変わることと思います。

ここ数ヶ月の状況の変化に、社会はどんどん対応をしてきました。例えば、リモートワーク(遠隔での仕事)。以前から、テレワーク、リモートワークという言葉はありました。2011年、東日本大震災の直後も、自宅で仕事しよう、という空気が少し高まりました。私が所属するヤフーでも、「どこでもオフィス」ということで、リモートワークは普通に行われてきました。ただ、社会一般として一般的なのではなかったかもしれません。

しかし、コロナショックにより人の移動を減らす必要があり、各社から指示が出て、ここで一気に、リモートワークが進んでいます(もちろん、そうでないお仕事の方もいらっしゃいます)。そして、web会議等で打ち合わせをすることも、急激に増えました。web会議でのコミュニケーションは、私自身は2012年頃からやっていますが、ここ数ヶ月で、一気に浸透してきた印象です。

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(ブレストツールを使ってのチームミーティング)

私は現在、自分のチームメンバーたちと打ち合わせするのも、他社の方との商談するのも、イベントを実施するのも、研修を行うのも、私の部屋からweb会議で行っており、全く不便を感じません。いきなり対応して、いきなり変化した。リアルからオンラインに仕事場が突如ワープした、そんな印象です。慣れている私であっても、この変化に驚いています。
(なお冒頭のビル街の写真は、3月最後にヤフーに出勤した時の社屋から見た景色です。またこの日常の景色の中で早く生活できたらなと考えています)

そして、教育の世界も急速にオンライン授業を行うニーズが高まっていたので、立教大学の中原淳教授と、全国の学校や企業での教育関係者に集まっていただき、「ニッポンのオンライン授業2020 -ノウハウ大公開カンファレンス」をやりました。詳しくはnoteのバックナンバーや、またはこちら、中原先生のブログをご覧ください。

1,000名、10セッションのカンファレンスを、4/1に実施を決め、4/3に応募開始、4/6実施、4/10には参加できなかった方々に動画を配信しました。これは、これまでの「常識」ではなかなかこのスピード感ではやれなかったと思います。

で、それはなぜできたか、といえば、状況が刻々と変化する中で、教育関係者の方が対応を迫られていることが強く、やろう、やらねばならぬ、それは、今だ!という使命感があったからです。

つまり、刻々と状況が変化する社会へ対応するとなると、圧倒的なスピード感が求められる。何かことを成すうえでスピード感がカギを握るのは当然ですが、ここから先は、様々な社会の変化が起きる中、みながこのスピードで対応していく、対応しないとついていけない、ということになっていきます。

みながそうやって対応することで、社会は想定外のスピードで変化していく、ということになります。こういう変化が、様々な場所で起きてくる、ということです。

これまでも、「変化のスピードは早い」と言われても、結局はあまり変化が起きず、「ほら、結局あんまり変わらないんだよ」という部分はたくさんあったと思います。が、これからは違います。みながこの状況に対応していくうちに、全てにおいて、「凄まじいスピード」がデフォルト(所与)になっていきます。

だから私たちは、「これからは、圧倒的なスピードで、激しい変化が起き続ける社会になるのだ」という意識を持つことが大事です。


2)より多様性をもつ社会になっていく。本質が追求される。

私たちは、資本主義経済の社会に生きてきました。産業革命以降、私たちの多くは、「より経済的に豊かな社会になるために、経済成長する」ことをめざしてきたように思います。ほしいものが手に入る社会。ほしいものが安く手に入る社会。より素敵なものが手に入る社会。そして生活は便利に、楽になる。結果として、利益があがる。収入があがる。もっと利益があがるように、収入があがるように、頑張る。

もちろん、他の価値観(考え方)もありますが、メインに「経済成長」は前提にあったと思います。このままだと環境が破壊される、このままだと資源が枯渇する。このままだとどんどん人は余裕がなくなっていく。その部分に対する有効な答えを持たずまま、経済成長していくんだ、という前提があったように思います。

そして、経済成長のために効率を求めていくと、人口は都市に集中する、ということになります。友人、知人から、東京は住みにくい、地方がいい、という声も相当聞いてきましたが、やっぱり東京は便利だ、ということで人はどんどん集まってきていました。

しかし、その「常識」が崩れていく、ということと思います。
もちろん、これからも経済は重要です。新型コロナウィルスの脅威を乗り越えたあとは、私たちはこれからやってくる不況を乗り越え、私たちは生き抜いていかねばなりません。そのためには、経済活動を止めるわけにはいきません。

ですが、最終的には「経済が全て」ということではなくなっていくように感じています。繰り返しますが、「経済が重要でなくなる」ということではありません。

「経済成長を目指す」のが目的ではなく、「人々が、より幸せになる」ことが目的となり、その大事な要素としての経済だ、となるのではないでしょうか。「人々の幸せはなんであるか」「より、幸せになるためにはどうしたらいいか」と人々が考え、対話し、アクションしていく、つまり「人間として目指すべき本質」に、より人々の目がいくことになると考えています。

「人々が、より幸せになる」ことが目的になると、その幸せは、人によって異なります。つまり、その、人それぞれ、幸せの形を追求する、そんな社会になっていくのだ、と私は考えます。

そう考えた時、私が教員となる予定の武蔵野大学を振り返ってみると、ブランドステートメントは、「世界の幸せをカタチにする。」。
そして、ブランドマークは、虹の色で表現されています。虹は、「学生、教職員、本学に関わりのあるすべての人々が生み出す多彩な「世界の幸せのカタチ」を表しています。」ということです。そういう社会が、当たり前になっていくことでしょう。

 
3)全てのものは、インターネットとつながる。
私たちの生活に関連することでいうと、インターネットは、基本「スクリーンの中のもの」でした。スクリーン、すなわち画面があるパソコンとつながる、スマホとつながっており、ここにメディアがあり、ECがあり、SNSがあり、という形で私たちはインターネットを活用してきました。

そのインターネットは、スクリーンの外に出て、色々なモノやコトとつながってきました。
IoT= Internet of Things
です。

IoT家電、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
これは、インターネットと家電が繋がり、様々な制御を行う、というものです。

これが、ますます進んでいくのです。個人的には、IoTというより、元々はシスコシステムズが提唱していたIoE、すなわちInternet of Everything、という言い方がわかりやすいのではないかなと考えます(今、IoE、という言葉自体はあまり使われませんが)。2016年とちょっと古いですが、こちらをご覧ください。

全てのものとインターネットがつながる。

これが基本、です。以前から、この流れはどんどん進展していますが、今後は、これがさらに加速します。

今回のコロナショックのように、人と人のリアルな繋がりの中で脅威が発生した時には、インターネットで代替することが必要になるからです。その必要性を、世界中の人が、実感しています。

例えば、私が講師をしているグロービス 経営大学院では、これまで、通学でリアルに実施するクラスと、オンラインのクラスと両方提供してきましたが、コロナ対応で対応し、全ての授業を、オンラインにて提供しています。私も、自分のオフィスから授業をし、受講生は、自身の自宅から授業を受けています。

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(自宅からスタンバイ!)

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(飽きたら後ろの電子ドラムを叩いたりギターを弾いたり)


オンラインで、クオリティを落とさず、授業を行うことができるわけです。
それがわかった以上、今後、コロナの脅威を乗り越えたあとは、どこの教育機関でも、リアルとオンライン、両方の対応ができるようにしておく、ということが必要になります。これは、インターネットと教育現場がつながる、という一例です。

そして、こうした形で、リアルの世界をインターネットに代替する、だけではありません。全てのものがインターネットとつながると、新しいものが生まれます。

例えば、ご自身の部屋を見渡してみてください。エアコン、冷蔵庫、照明はインターネットと繋がり始めました。全てのものがつながるとしたら、他に何がありますか。机、これはIoT家具、というものも生まれ始めました。椅子、、、椅子とインターネットはまだあまり繋がっていないかもしれませんね。

もし、繋がったら何が起きるでしょう。今、自分の部屋で考えてみます。椅子と机とエアコンと照明、あとスマートスピーカーとか。これらが繋がったら、例えば、あなたが集中していたら、その集中が続くような照明、空調、音楽が流れています。ところが集中力を失うと、姿勢がどんどん不規則に変わってきます。その動きを椅子についたセンサーが感知して、やおら照明が明るくなって、空調も変わり、音楽はロックに、、、なんてこともあるかもしれません。

今、繋がっていないものがつながるのですから、これはわからないのです。
だから、私たちが自由に作っていくんです。

インターネットが色々なものにつながるほど、インターネットの中にあるデータが蓄積され、増えていきます。そうすると、そのデータを分析するAIが、賢くなっていく、ということになります。私たちはデータ、AIも自由に使って、新しいものを得ていくことができます。

3点、申し上げました。これは、極めて当たり前のことを言っています。仲間からも、「何を当たり前のことを言っているんだ!」と怒られそうです。

でもやっぱり、大事な前提です。これまでも進んできたこの3点が、これまで以上にガンガン進む、ということです。その変化の角度が変わる、ということです。スピードは早くなり、価値観の多様化は進み、これまで以上にインターネットがつながる、ということです。これが一気におきます。

そうすると、どうなるか。
「つまるところ、この社会はどうなっていくんだ?」と。

これまでの社会の枠組みは、ガラガラと音を立てるように崩れていき、新しい枠組みや、新しい未来が創られる大チャンスだ!
ということです。私が生きてきた53年の中で、圧倒的に、一番激しく変化するのが、これからの数年、だと考えています。

これから未来を生きる皆さんの時代が到来した、ということです。
誰も、これまでの経験値でははかりしれない未来が待っているのですから。
そしてその未来は、皆さんが自由に創れるのですから。

なお、未来ってどゆこと?とさっぱりイメージがつかない方は、まずはヤフーの同僚で、慶応SFC教授の安宅和人さんのこちらをご覧ください。


これまで生きてきた人の経験、これまで築き上げられた叡智は、皆さんにとっても、役に立ちます。だから、しっかりと、学び取りましょう。

しかし、未来は、皆さんが自由に創っていける。
自由に、というのは、経験や既存の仕組みなど、過去築き上げられたものを持っているかどうかは、未来をつくるうえでは、ほとんど関係がなくなる、ということです。

ですから皆さん、どうか未来に希望を持ってください。
未来は、素敵なものにすることができる。
未来は、あなたが創っていくことができる。

皆さん、自分の場所で、未来を創るために、自分ができることをしましょう。
それは、コロナウィルスの脅威があろうがなかろうが、です。

私も、私の場所で、未来のためにできることを、人生をかけて取り組み、未来を創っていきます。そのひとつがここ、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部の開設です。皆さんに負けないよう、私も頑張ります。

ともに、未来を創っていきましょう。
未来は、そんな皆さんによって創られることを、待っています。

まだ、寒暖の差があり、体調を崩しやすい頃だと思います。
学校も休校が続き、生活も不規則になりやすい今日この頃です。
ぜひ、健康に留意し、元気でいてくださいね。

2020年4月12日        伊藤 羊一


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