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夏の1コマ|同じ花火を見上げた記憶



cafe 〝APARTMENT301〟には
ブランコに座る席があるという
満席のため望みは叶わず
お隣302に案内された夜

装飾的なガラスのシャンデリア
薄暗い灯り
赤い果実のサングリア
冷たい前菜



果実を凍らせて削るという
〝雪の下〟のかき氷は
桃と 苺に 別添え練乳アイス
あとにも先にも
似たものに出会っていない

狭い階段の行列に並ぶふたりに
仕事終わりのふたりが追いついて
ようやく夏のお楽しみがはじまる




雷雨のあとだからなのか
ただ 夏だからなのか
今日は夕焼けの色が濃い



苺のような
夕焼けのような
ベリーピンクの花火が

待ち合わせはしたけれど
仕事終わりがバラバラで
思ったよりも広かった河川敷
落ち合う前に打ち上がり

ーどこにいますか
 どの辺ですか

ーわたしを探さないで
 花火を見て

もらったメッセージにあわてて
家出人のような返信をして
そのまま

隣にはいなかったけれど
みんなと一緒に見上げた花火
離れていても同じ夜空の下
今年も思い出す懐かしい記憶



            🍧



cafe〝APARTMENT301〟も〝雪の下〟も
いつの間にか銀座の通りから移転していた

ふたまわりほども年下の友人たちに
なぜだか混ざって一緒に遊んでいた
アオハル再びのような日々の思い出

みんな ありがとうね











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