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時刻表に乗る~信越本線の今をゆく~vol.2
2.碓氷峠へのみち
高崎市は、県庁所在地の前橋市よりも多くの人口を抱える群馬県第一の都市である。
高崎の起源は、豊臣秀吉の命で関東に転封された徳川家康の四天王、井伊直政が天正17年(1589年)高崎(もともとは和田という地名)の地に入り、高崎城を築城し高崎に改名したことに始まるとされている。
古くは、中山道と三国街道の分岐点、交通の要衝として、そして、高崎城城下町として栄えた。現在も、上越新幹線と北陸新幹線の分岐点であり、関越自動車道と上信越自動車道の分岐点という、交通の要衝としての地位を保ち続けている街である。
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[使用マップ]国土地理院地図GSI Maps
平日の午前7時台の高崎駅在来線ホームは東京方面へ向かう湘南新宿ラインや、上野東京ラインの長大編成の電車がひっきりなしに発車しているが、これから私が向おうとしている信越本線のホームはひっそりとしている。
7時30分発横川行(121M)普通列車は信越本線のホームに停車している。
通勤ラッシュとは逆方向の列車のため、乗客は少なく、列車内も静かである。
定刻7時30分、列車が動き出す。
高崎の市街地を北に向けて走り出し、しばらくすると上越線と分岐し西へ進路を変える。そして、しばらく市街地を走り、北高崎、群馬八幡と各駅に停車する。
高崎を出て15分走ると、安中に停車する。安中市は平成18年(2006年)西隣の旧松井田町と合併し、今の形となった。この列車の終着駅である横川も安中市域にある。
安中、松井田は江戸時代には中山道の宿場町として栄え、安中藩の城下町としても栄えた。
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[使用マップ]国土地理院地図GSI Maps
安中の地名の由来は、戦国時代に、安中忠政が安中城を築城し拠点としたのが始まりだそうである。
安中氏は元々は、上野国を支配していた山内上杉家の家臣であったが、小田原の北条氏康が侵攻してくると、北条氏に付き、さらに、武田信玄と上杉謙信の上野覇権争いに巻き込まれ、当初は上杉方についたが、武田方に敗れこれに服属し、武田家滅亡後は織田信長の関東司令官滝川一益に従い、信長が本能寺で横死すると、再び北条氏に仕え、最後は、豊臣秀吉の小田原征伐に北条氏が敗れると、安中氏も運命をともにした。国境近くの小豪族の苦悩に満ちた生き様を絵に描いたような数奇な物語である。そこまでにどれだけの苦労があったか想像を絶するが、そこまでしても最後の最後に生き残ることができなかったのはさぞ無念であったであろうと思う。せめて、地名として現代まで残ったことが救いとなるのであろうか。
高崎から約30分で終点の横川に到着した。
横川駅はかつては、碓氷峠の急勾配を上るために連結する機関車たちがたむろする、峠下の待機所のような駅だったのであろうが、現在では、碓氷峠方面の線路は行き止まりとなっている。
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[使用写真]フリー素材 https://www.photo-ac.com/
撮影者:時の記録者 Photoさん
碓氷峠は、鉄道にとっても難所であったが当然、古代から中世、近世にかけても交通の難所であった。
古くから、箱根の関所と同様に、関東(坂東)文化圏と東海(中央高地)文化圏の境界となっており、江戸時代の五街道のひとつ中山道の途中の関所として、厳しい取り締まりも行われた。さらに、地形的にも厳しい山道であり、碓氷峠関所は麓の坂本宿と峠を越えた軽井沢宿の間に設置されたが、その高低差は740mもあったという。
今日は、その峠を、横川ー軽井沢間の鉄道が廃止になってから、その代わりに走っているバスに乗って峠を越える予定である。
駅舎から出て、深呼吸をすると、高原の空気を胸いっぱい取り込むことができた。
さて、バスの乗り場を探すこととしよう。
次回へつづく
〔表記の仕方について〕
※時刻表や地図帳に基づく事実については、グレーの引用四角で囲って表記した。
※それ以外の内容については、原則的にフィクションであるが、街の紹介や、参考文献に基づく歴史の紹介は事実に基づくものである。
〔参考文献〕
・JR時刻表2024 7月号 (株)交通新聞社
・全国鉄道地図帳 昭文社
【今回のマップ】
![](https://assets.st-note.com/img/1721477366233-JXexqO59f9.png?width=1200)
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