アカサビナナ

長野県在住のフリーライター。取材記事を中心に執筆しています。関心領域は人と自然。土と微…

アカサビナナ

長野県在住のフリーライター。取材記事を中心に執筆しています。関心領域は人と自然。土と微生物と畑への興味が拡大中です。馬と山が好き。

最近の記事

「身体で言葉に触れてみる」尹さんの講座に参加し考えたこと

私は長らく、共感=善だと思って生きてきた。 友人と話しているときに「わかる〜!」と言われるとうれしいし、場の温度が少し上がる気がする。私も、まさに!と思うときは「めちゃわかる!」ってよく言っていると思う。 インタビュー中はもう少し慎重になる。「わかります」とは軽々しく言わないようにしているけど、話を聞く姿勢としては、「理解したい」と思いながら聞いているし、共感を示す頷くなどのボディーランゲージはむしろ積極的に使ってきた。 だけど、もしかしたらその姿勢って傲慢だったんじゃな

    • 好きな夫の匂いがつらい【妊娠初期】

      発覚 どうも調子が悪い。 1週間ほど微熱が続き、ときどき猛烈な眠気を感じた。 「・・・そういえば生理も遅れてるな」横切った思いを「いやいや、まさかね」とすぐに打ち消した。たぶん、怖かった。もともと夫婦ともに授かったらうれしいし、授からなかったらふたりの暮らしを楽しもうというスタンスだった。スタンスだったけど、いざ妊娠の可能性を目の前にすると、しっかり動揺した。母になることが想像できない。フリーランスになって2年。仕事を頑張りたい時期でもあった。 ちょうどその頃、離れて

      • 理想のフライドポテト

        誰しも居酒屋に行くとついつい頼んでしまうメニューがあると思う。枝豆、唐揚げ、冷やしトマトスライス、タコわさ、だし巻き卵・・・。私の場合は断然、フライドポテトだ。そう、聖なる夜にぴったりのメニュー、フライドポテトだ。 フライドポテトはじゃがいものカットの仕方によって、6〜10種類ほどに名称が分かれているらしい。ここではまちで出会う確率が高い2つのタイプについて考えてみる。細いポテト(通称マックタイプ)と太いポテト(通称三日月タイプ)だ。 マックタイプはどんどん手が伸びる。塩

        • 【書きました】 「大きな樹木だけでなく、ベランダにあるような鉢植えからでも、人や森を含む有機的なつながりは始まっているんです」 「森と寄り添う暮らし」を提案するyasoで、アーボリスト/樹木医の野澤さんにお話を伺いました。 https://shop.yaso.jp/Page/Feature/FeaturePage010.aspx

        「身体で言葉に触れてみる」尹さんの講座に参加し考えたこと

        • 好きな夫の匂いがつらい【妊娠初期】

        • 理想のフライドポテト

        • 【書きました】 「大きな樹木だけでなく、ベランダにあるような鉢植えからでも、人や森を含む有機的なつながりは始まっているんです」 「森と寄り添う暮らし」を提案するyasoで、アーボリスト/樹木医の野澤さんにお話を伺いました。 https://shop.yaso.jp/Page/Feature/FeaturePage010.aspx

          2022年8月に読んだ本

          1. それで君の声はどこにあるんだ?─黒人神学から学んだこと タイトルと表紙に引き寄せられ、手に取った一冊。神学者ジェイムズ・H・コーンに学ぶため、マンハッタンにあるユニオン神学校に渡った筆者の記録。大切なことが書かれている感触があるけれど、まだ自分のなかでうまく咀嚼できていない。もう一度読む。 2. 21世紀の楕円幻想論 二つの価値観、二つの焦点、それらを二項対立で語るのではなく、楕円として捉えてみる。いろんな場面で使えそう。 3. ダンス・イン・ザ・ファーム 瀬

          2022年8月に読んだ本

          加藤さん

          家の近くの喫茶店に、だいたい月に一度、 包丁を研ぎに来てくれるおじいちゃんがいる。 名前は加藤さん。 数ヶ月前にとなり町の鍛冶屋さんで包丁を新調したわたしたち夫婦は、長く大事に使いたくて、加藤さんに包丁研ぎをお願いすることにした。 先月は夫が、今月はわたしが加藤さんのところに包丁を持っていった。 包丁を預け近所で用事を済ませて戻ると、我が家の包丁はすでにツヤツヤと鈍色に光っていた。 昔から職人さんに憧れがある。憧れだけで終わってしまったけど、その道を極めてきた人の仕

          2022年7月に読んだ本

          1. 虫眼とアニ眼 養老孟司さんと宮崎駿さんの、人と自然をめぐる対談。感性とは?からはじまった「蝶道」の話、体臭の話、養老さんの唱える「脳化社会」にもつながる「トトロ観せすぎだよ」話。ディテールを感知する能力、視線の矛先、人間嫌い・・・とにかく面白い。現代社会が抱える問題を見つめ、憂い、だからといって悲観的にならず、手を動かし、足を運び、語られる言葉の数々に、何度もうなずいたりクスリと笑ったり。 冒頭22ページにわたって掲載されている、宮崎駿さんのカラーイラストも必見です。

          2022年7月に読んだ本

          【書きました】 全国5会場を巡回予定です。 お近くの方はぜひ! ▷「ジブリパークとジブリ展」が全国に先がけ長野県で開催!長野県立美術館での展示をレポート https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/ghibli-park-and-ghibli2022-07

          【書きました】 全国5会場を巡回予定です。 お近くの方はぜひ! ▷「ジブリパークとジブリ展」が全国に先がけ長野県で開催!長野県立美術館での展示をレポート https://www.tokyoartbeat.com/articles/-/ghibli-park-and-ghibli2022-07

          【書きました】 腸と森の「土」......? キーワードは微生物。 変化があった我が家の食卓。 ▷“身体のなかの土壌”を改良!?『腸と森の「土」を育てる』から学ぶ、人も地球も健康になる方法 https://greenz.jp/2022/07/12/chou_mori_kirimura/

          【書きました】 腸と森の「土」......? キーワードは微生物。 変化があった我が家の食卓。 ▷“身体のなかの土壌”を改良!?『腸と森の「土」を育てる』から学ぶ、人も地球も健康になる方法 https://greenz.jp/2022/07/12/chou_mori_kirimura/

          あーすぐポチッとしたらだめだよ。

          これは持論にすぎないけれど、 いい町には、いい本屋がある。 わたしの暮らす人口1万5千人に満たない小さな町にも、本好きの主人が営むとても素敵な小さな本屋がある。 新刊も古本も扱っている、行くたびに思いがけない出会いがある本屋。 それなのに。 引っ越してきてからというもの、気になる本があるとネットで調べて、そのままポチッと買っていた。 「新刊以外なかなか置いてないよなー」と思いながら、ついついネットで買っていた。 若い友人と本の話題になったとき、彼はタイトルの言葉をさらっ

          あーすぐポチッとしたらだめだよ。

          答えは自然の中にある。北杜市×THE NORTH FACE 登山道整備イベント

          11月のよく晴れた週末、山梨県北杜市とTHE NORTH FACEの包括連携事業「Trail Maintenance at HOKUTO」に参加した。 山好きでも普段なかなか関わる機会がない登山道整備を体験できるイベント。それだけでも心惹かれるけれど、さらに興味を持つきっかけになったのは登山道整備の方法だった。このイベントでは、近自然工法という「自然に近づける」「自然に近い方法を使う」整備を学べるらしい。講師は北海道の大雪山・山守隊の代表、岡崎哲三さん。 これまで私は、登

          答えは自然の中にある。北杜市×THE NORTH FACE 登山道整備イベント

          行く場所、帰る場所。

          午後18時45分。新宿駅のホームに記された乗車位置に合わせて、ぴたりと停まった特急あずさに乗り込む。座席に落ち着き「用事が終わったから今から帰るよ」そう入力しかけたスマホの画面を見たとき、ようやく実感が湧いてきた。戸惑うような、少しほっとするような。 今年の秋の終わり、東京から長野に引っ越した。 今までは週末遊びに行く場所だった長野が、帰る場所になった。 ──── 八ヶ岳の麓で始まった新たな暮らし。この小さな町からは、東西に連なる八ヶ岳連峰はもちろん、南アルプスも遠くに

          行く場所、帰る場所。

          縄文にハマりそう。

          アジアンドキュメンタリーズで『縄文にハマる人々』を観た。 Amazon.co.jp|縄文にハマる人々[DVD] 1万年続いたといわれる縄文時代。 眺めれば眺めるほど疑問が湧いてくる。縄文土器のこの形、この模様。なぜふちのところにツノのようなものがいくつも付いているのか。煮炊きには向いていないよね...。土偶のこの顔、このフォルム。たしかに人のようにも見えるけど、この発想はどこから湧いてくるのだろう。「なんでこの形にしたの?」「この模様にはどんな意味が?」「これ、なにに使

          縄文にハマりそう。

          三度目のガマルート。惨敗。

          「今回もダメだった・・・」するすると上から垂らしてもらったお助けロープを掴みながら、悔しさと情けなさと安堵がない交ぜになった気持ちでわたしは岩壁に張り付いていた。地上から約5メートル、足を乗せているのは数センチほどの岩のでっぱりの上。目の前にはザラザラとして白っぽい、花崗岩特有の岩肌がある。マルチピッチクライミング(*1)の入門編として小川山で愛されている名ルート、「ガマルート」を登りはじめたところだった。 少しずつロープを伸ばしながらなんとかここまできたけど、この先どこに

          三度目のガマルート。惨敗。

          鹿島槍ヶ岳(東尾根〜赤岩尾根)

          忘れられない、山行になった。 Day 1 出発地点となる大谷原の駐車場には、すでに3台の車が停まっていた。2泊3日の予定で東尾根から鹿島槍ヶ岳を目指し、赤岩尾根を下りる。東尾根にあがる取り付き以降、トレース(*1)といばカモシカの足跡のみで、人の気配が全くなかった。他の車も停まっていたし、連休2日目だし、と内心ちょっと、いや正直かなり期待していたのだけれど...。 冬山では、先行トレースがあるかないかで、歩くスピードや体力の消耗度合いが大きく変わる。背中には、テントやロ

          鹿島槍ヶ岳(東尾根〜赤岩尾根)

          3級記念日

          「ついにやったね」と君が言ったから 二月十八日は 3級記念日。 ついに。 昨年、1回目の緊急事態宣言が明けた初夏の頃から、マイペースに通い始めたボルダリングジム。 岩場に行って、あまりにも登れなくて悔しくて、ジムに通って練習して、また岩場でコテンパにされ、悔しくてジムに行って・・・。そんなこんなで多少の波はありつつも、山とちがってジムは平日仕事帰りにもサクッと行くことができるから、手軽に身体を動かすことができ良い気分転換にもなる、なんて思いながらぼちぼち続けてきた。