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2022年8月に読んだ本

1. それで君の声はどこにあるんだ?─黒人神学から学んだこと

タイトルと表紙に引き寄せられ、手に取った一冊。神学者ジェイムズ・H・コーンに学ぶため、マンハッタンにあるユニオン神学校に渡った筆者の記録。大切なことが書かれている感触があるけれど、まだ自分のなかでうまく咀嚼できていない。もう一度読む。

2. 21世紀の楕円幻想論

選べないものを選ぶよりは、逡巡せよ。
わたしは、そう思います。
<中略>
選べない現実の前で、立ち止まり、戸惑うことの中から、思ってもいなかった風景が目の前に開けるということもある。選べない理由の意味は、ためらい、逡巡しなければ見えてこないのです。
平川克美『21世紀の楕円幻想論』ミシマ社 p209

二つの価値観、二つの焦点、それらを二項対立で語るのではなく、楕円として捉えてみる。いろんな場面で使えそう。

3. ダンス・イン・ザ・ファーム

瀬戸内海に浮かぶ周防大島に移住した著者の、心動いた日々のはなし。繰り広げられるエピソードは、笑えるものや考えさせられるものばかり。読んだあと、心に浮かんだのは、自分がいま暮らす地域やこれからつくっていきたい暮らしのこと。"Dance in the Farm" いいタイトルだなぁ。

4. のんのんばあとオレ

水木しげる少年に、見えない世界、妖怪たちの存在を鮮やかに語り聞かせてくれたのんのんばあ。 目に見えない世界、死後の世界や魂をどう考えるか、のんのんばあの言葉が優しい。「べとべとさん先へお越し」のシーンが好き。「小豆はかり」も癖になる(?)

5. 家族

翻訳家でありエッセイストである村井理子さんが、自身の家族のことを記した実話。ノイズとなるものが一切なく、映画を観ているかのような文章に、夢中になってページをめくった。

6. 全員悪人

認知症になった義母の視点から書かれた日々の出来事。そうか、そんなふうに見えているのかと勉強になった。実際に介護をするようになって読んだら、いま以上に切実に感じるものがありそう。理解や想像の手助けをしてくれる本のように感じた。

***

口笛でミッキーマウスのマーチを吹きながら通り過ぎてゆく人がいる。開け放した窓からふいに入ってきた陽気なメロディーに、肩の力が抜け、和やかな気分になった。9月も後半に差しかかり、ようやく先月読んだ本の振り返りです。1ヶ月って本当に早い。

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