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#詩
よせる波とひいて消えさる波。
あなたをのみこんで
おおきい波、そして崩壊がきた
折れる骨
こなごなになる空
言葉は消えた
しばらくすると
しずかに星は震えた
過去を思いだすのではない
来るあたらしい時間を
おそれるのではない
全身をおおう
線が
震えている
もう 生命体ではない
時と
影がゆれる
みじかい時間
時がこまかく
砕けながら
あなたの前へ前へと
ながれていく
ある夜明け あるいは
午後のあかるさ
紺色の夜
あ
Tomo Poetry、春のからだ。
きみはすきとおり
くずれる滴になる
両手では掬いとれない
きみのからだ
春ではない
かなしみではない
絶望ではない
のこる記憶の音
ぽとん ポトン しっとん
きざまれた時の
ひとつひとつ
いくつかとびこしながら
思いだす
存在しない
きみのからだの
痙攣と
なみだ
風がすぎるのはどこだろう
わたしのかなしみ
きみの
存在したはずのからだ
目黒川をあるく
きみの記憶で
びっしょり濡れた
シャ
TomoPoetry、過去へむかう鳥。
鳥がないた
別れの知らせ
巣からはばたく
過去へむかって
かれが知らないはずの
わたしたちには見ることができないはずの
ひらく扉がない方向へ
鳴き声と羽ばたきもきこえない方向へ
空がない
方向へ
鳥に
一本の光が見える
ほかに見えるものも
聞こえるものもない
かれが生まれる前の
世界へ
空がない
鳥は眼をとじている
あおい波も
みどりに揺れる星も
あかくながれる涙も
すべてをうけいれる闇も
空も
TomoPoetry、風がはこぶ古いかおり。
語らなかった
子どもたちのうえに降る
花のような焔
木の棒になった
自立を望んだ子どもたち
だれも語らなかった
背をかじる
あかい海老
まるいテーブルで
まわる皿
フォークで刺されるのは
オマール あるいは
アメリカ
あたらしい皿には
しあわせを詰めたという
まるい赤
ならんでいる
あなたが捨てたものが
風がはこんでくる
あなたの記憶からきえたものを
レッドベリーと
ソーダ水で
口をあらう
TomoPoetry、きみを何と呼ぼう。
きみを何と呼ぼう
なまえのないきみを
きみを何と表そう
色も形もないきみを
きみを
どのように抱きしめよう
わからないきみを
存在しているのか
わたしに
触れることなしに
あたたかさを与えるきみを
何と呼ぼう
焔のあとに
かおりだけを残していく影
踏もうにも
そこがない そら
すべてが
それぞれの位置に帰っていく
もう 正座して
世界は
足先から崩れていく
ひとつひとつの
なまえのない口
声が発
きみがひっかくこの星
きみの親指が
星の経線を
傷つけ傷うけながらはしっていく
ながれる血と涙
かなしみとよろこび
33分の
叫び
悦びの そしてさみしさの
わたしたちの裸体は投げられる
心地よい肌のうえ
裂かれた肉体のなか
どこまでもひろがる
きみのたましい
わたしは凍った箱舟になり
浮いている
コーヒー味のアイスクリーム
血が溶けている
アジアの
水が
けがれていく音
靴音と
歓声と
悲鳴
わたしたちは
わたした
TomoPoetry、きみは何を語るのか。
さあ 言うがいい
きみを槍で刺し
笑う男に
呟くがいい
きみの血がながれるのを
喜びおどった男に
死の扉のむこう
どこまでも落ちていく闇について
一言
語るがいい
おおくの耳が
きみの声を待って
何千年だろう
目が覚めると
星が洗われるような
耳鳴りがする
それは
聞こえないきみの声が
世界から欠けている
せいだ
朝の道に
無意味な耳鳴りが
反響している
バス停で
横断歩道の白を跨ぐとき
自
あなたが人であるなら
あなたが人であるなら
わたしは人でない
かれは口を閉じた
人から発するものを
吐き出した
すべてからになるまで
言葉
のぞみ
糞尿
涙
そして血
乾いた葦になり
数分からからと燃えた
あなたが牛のステーキを切るとき
かれは骨だけになった自分を
削っている
あなたが
頰に風を受けて歩くとき
かれは
風のなかを
かるい種と一緒に
ながれていく
あなたが人であるなら
かれは人ではない
きらき
語ってほしい、ユーリー(ユーリーのはなし②)
朝 わたしのとなりはびっしょり濡れている ベッドからのびるのは 青い歴史の時間 ユーリーは イルカのように 星を叩き飛んでいった あたたかい水のながれる ふるさとへ あおい筋の カレンダーを織ってもどして きみのほそい今日の呼吸を 深く吸う 藍色の星の いのち わたしは要らないのか もういちど訊く わたしは要らないのか 海が泣いている だれにも読めな
もっとみるTomoPoetry、ユーリーのふるさと
** ユーリーの包帯の上下は 汗ばんでいた 白く、青く、ピンクに ユーリーのふるさと 南太平洋の砂浜のように 青いシーツは ひかり、反射している ユーリーの過去の恋 誰も握らない指 ユーリーの胸から取られた 肉のかたまりは わたしだけが見た ユーリーの恋人も 小さな子どもも見なかった 銀色の皿で それは語っていた わたしはユーリーと生きた ユーリーは
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