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TomoPoetry、ユーリーのふるさと

** ユーリーの包帯の上下は 汗ばんでいた 白く、青く、ピンクに ユーリーのふるさと 南太平洋の砂浜のように 青いシーツは ひかり、反射している ユーリーの過去の恋 誰も握らない指 ユーリーの胸から取られた 肉のかたまりは わたしだけが見た ユーリーの恋人も 小さな子どもも見なかった 銀色の皿で それは語っていた わたしはユーリーと生きた ユーリーはわたしと生きた 真っ黒な長い夜と だれも聞かない呻きと スコールのような 涙の日々を ユーリーの夢 ひとつ残った わたしと車で日本を何年も 走ること ベッドから一歩のところで ユーリーは倒れた 握りしめた海を床にひろげて わたしは近いうち ユーリーのふるさとを訪ねるつもりだ それはわたしも知らない 海から 白や、青や、ピンクの珊瑚の花が ひろがるところ ユーリーの名を呼ぶと みんな開く それを見ると あなたは後悔するわよ わたしとの別れを ユーリーの あおい眼は閉じていた**

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