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2021年9月の記事一覧
TomoPoetry、ちいさなたからが死んだ。
今日 ちいさなたからが死んだ
家族親族近所のひと
なにもできずに
泣く
わたしたちにできるのは
悪いひとと一緒に生きていかないこと
金に賤しいひとと食事をしないこと
そして 失ったときは
泣くこと
老衰か
銃弾か
だれかの悪意か
神の
ひとの心がわからない決定か
わたしはわたしの心を確認する
生きていたいのか
死にたいのか
わたしが死んだあと
泣くひとが少ないように
わたしが死んだあと
安堵す
TomoPoetry、無い耳にひびく風
目覚めると
左の耳がない
昨夜虫の声を聞いたのは
右の耳だったのか
耳殻が無い
時間のトンネルのような穴
頭に
ながい歴史の
叫び
悲鳴
笑い
詩が
真っ赤なペンネから絞りだされるように
聞こえる
その朝 食べたのは
ペンネのアラビアータだ
神の前でながされた
いのちのやわらかさ
翌朝 自分で選べと
誰かが
左の空洞にひびく風にのせて
つぶやいている
要らないものを選ぶ
性器にする
かれはう
Tomo Poetry、林檎をかじったあとに。
誰のもの
空は?
きみは返事を待たずに
まっすぐに上っていった
天にぶらさがったまま
影を
西から東へゆらす
忘れものがあるように
朝やけの空に
きみが揺らいでいる
身体はほそくなっている
毎晩落ちてくる
きみの型紙を
写しとった
一日分の空
なんども洗った
白いシーツと
白い頁の歴史書のうえに
かさなり積もる
表紙をひらくと
あいだに夢を空に忘れてきたわたしが
すきとおって挟まっている