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TomoPoetry、無い耳にひびく風

目覚めると
左の耳がない
昨夜虫の声を聞いたのは
右の耳だったのか
耳殻が無い
時間のトンネルのような穴
頭に
ながい歴史の
叫び
悲鳴
笑い
詩が
真っ赤なペンネから絞りだされるように
聞こえる

その朝 食べたのは
ペンネのアラビアータだ
神の前でながされた
いのちのやわらかさ

翌朝 自分で選べと
誰かが
左の空洞にひびく風にのせて
つぶやいている

要らないものを選ぶ
性器にする
かれはうなだれている
生きる意味を失うことを予感していたように

一週間後
捨てるのは
わたし自身しかのこっていない
本当に
必要なのか
捨てることが
捨てなければ
無理矢理奪われます
わたし自身をなにから奪うのか
下着が無理に脱がされるように
あるいは トンガリコーンの袋が
鋏で切られるように

わたし自身が
わたし自身の型のケースから
取り出されるのを見る

わたしは弦のない楽器や読み手のいない本の
あとをついて行く

それぞれ
銀河系が通過する軌道沿いに窓から投げられる
クリスマス飾り
結婚披露宴プログラム
アルバム
出生証明
わたし自身

深夜 きみはわたしをみあげている
わたし自身が青く光っているのを
きみにふいていく
宇宙が軋んだときの風

うめくような
歓喜のような
今 きみの耳にひびいている

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