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つらい出産

つらいってことばではあらわせない。自分ひとりのよわさを知った。なんてよわいんだろう。一人で三人も看られてる助産師さんへ痛み止めまだ使わない方がいいっていわれて「どこにもいかないで」とか「背中ずっとさすってくれるならがんばれる」などとだだこね、あげく「死にたい」って言ったら「そんなこといったら悲しいな。赤ちゃんもあなたも元気、こんな最高の状況なのにそんなこと思っちゃだめだよ。それ以上ない幸せなことだよ」って。
隣の部屋の恐らく私より年下の女の人が違う助産師さんと会話。痛み止めはまだ使わない方がいいよと。みんな同じこと言ってる。その子は弱音吐かずにがんばって褒められてた。すごいなあ。私弱いんだな。

陣痛の痛みはハンマーで背中を砕かれてる感じと似てる。叩かれたことないけど。1分耐えればいいだけだろってだいぶなめてた。この痛みに耐えるはもはやサイコパス、、なぜ背中を叩かれてるのに深呼吸で乗り切れるというんだろう。みんな麻薬でもやってるんじゃないのか。ただでさえギリギリの痛みに耐えてる私に医者は促進剤の錠剤を飲めと、ダメなら明日から促進剤の点滴追加と。
錠剤は促進剤というか子宮口を和らげる効果のみで陣痛を促す作用というより子宮口ひらくついでに陣痛きたらいいねというものらしい。1時間に一錠6個10:15から飲み始め15時の時点で効いてればその日に促進剤点滴して一気に産むと。翔太郎氏とずっと電話。1日休んだ翔太郎氏が今日は生まれなさそうだから仕事行こうかなと。それがいいと思うと思ってたけど2回目の薬がとても効いたのか翔太郎氏と電話で繋がってないと無理だと思って「やっぱり仕事行かないで」と言ったら「もう行かないって言ってるから大丈夫。いつでもいけるようにカフェとかにいるよと。あれとあれ持ってく。ポカリいるか?」の問いかけに答えられない私。助産師さんが言った通り受け答えがもうできなくなってた。翔太郎氏はいつも察してくれる。ずっとLINE電話をつないだまま。翔太郎氏が辛い私を知ってくれてる。一人じゃない。がんばれる。そう思って背中をホッカイロでさすった。
私は元々妊娠超過で12日月曜に促進剤治療で入院することが決まってた。でもなんとかその前にと食べ物、飲み物、お灸、雑巾掛け、散歩、陣痛がきそうなものはいろいろやった。翔太郎氏にも気持ちわかってくれないと怒ったりいろいろやつあたりした。結局9日朝おしるし。11日21時40分破水病院へ。
看護師さんが迎えに来ておばちゃん助産師さんへ引き継ぎ。「こんなことで痛いなんて言ってたらだめだよ。生理痛なんて子宮口たった5ミリなんだからその20倍だよ」とここでもう心折れる。昨日今日で私何回心折れてたんだろう。翔太郎氏には「3億回死んだよ」とか言ってた。
12日の朝まで陣痛は10分→30分→10分→30分を繰り返してた。寝れなかった。
つらかった。でもみんな経験してるのかなと思う。そしてみんな強いんだなと、自分弱すぎてチキンすぎて絶望感。
12日12時から10分おきの陣痛始まり耐えた。うそ、耐えれなくて最後の方に和痛注射を打ってもらう。待ってました待ってました。
打ったら痛みは気持ち和らいだ。多分、痛みが引く薬なんだよって暗示が私の痛みを和らげたんだと思う。痛みを声に出さないでみた。
痛いって思っても痛いって声に出すともっと痛くなるんだとそこで気づく。そこから産むまでずっと無言。いきみも無言。
ただただ深呼吸。深呼吸が私の支え。
子宮口全開!!!分娩室へ行くよと言われる。翔太郎氏と繋がった電話を助産師さんへ。
もうすぐだ!もうすぐ!もう限界だよ!お尻の穴からおっきなウンコが出そう。いきまないでと言われるも!無理!むしろ意識しちゃって逆にいきんだ!ああ痛い!痛い!けどもうもどれない!出す!早く早く翔太郎氏。
翔太郎氏が到着。翔太郎氏の両手の人差し指をぎゅっと握り。『飲み物いるか?』横に首振る。うちわであおいでくれたが、それも横に振った。とりあえず産む!とりあえず産む!とりあえず産む!を頭の中に連呼して。

産まれた。もう血管がブチ切れて。もう赤ちゃんが健康そうなのを確認して。助産師さんにいろいろ1週間の予定を言われるも、今はそれどころじゃないわと思いつつ平静を装ってた。翔太郎氏潤目。私は感動よりも辛すぎて放心状態。もう頑張らなくていいの?もう産んだの?もう終わったの?それを考える、でも答えが遠く感じた。頭の思考回路が鈍く。
不安でしかなかった。

そのあと足早に説明してきた助産師さんに部屋まで連れて行かれ、おしっこするときは呼んでなど言われる。
翔太郎氏にすぐ電話。離れて5分も経ってない。『なんで帰るの?なんで一緒にいれないの?大変だった。私は子ども産んだの?』っていって号泣。ただただ泣いてた。翔太郎氏に『大丈夫!産んだよ』って言われて、何回も言われて、それでも寂しくて一緒にいてほしかった。出産はすごく大変だった。世の中のお母さんたちはみんな肝が座ってるんだなと思った。私は弱いなって。でもやりきったから自分をとりあえず褒める。
赤ちゃんが可愛いって思えたのは次の日になってからだった。でもそれもいいかなと思う。

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