すごくばかなはなし『人生』

街の中心地、全裸で叫ぶ男が捕まった。
「どうしてあんなバカなことをしたんだ。人生を棒に振るんだぞ」
そう聞いて取り調べに当たった刑事に対し、男は真剣な顔つきで言った。

「人生、それはキモい奴とキモい奴がくっついてキモいことでキモい功績を上げることが絶対正義の行いである、という思想を根底に張り付かせた暗黒のゲーム。私はこのゲームをいち早く切り上げたい。君もそう思わないか」

刑事はいたく感銘を受け、逮捕した男と共に外に出た。そして二人は服を脱いで叫んだ。
街の中心地では、全裸で叫ぶ二人の男が捕まった。
男たちは取り調べでそれぞれにこう言った。

「人生、それはキモい奴とキモい奴がくっついてキモいことでキモい功績を上げることが絶対正義の行いである、という思想を根底に張り付かせた暗黒のゲーム。私はこのゲームをいち早く切り上げたい。君もそう思わないか」

刑事たちは全裸の男たちを捕まえ、逮捕者が増える度に変質者もまた増えていった。いくら捕まえても増え続ける変質者たちはとうとう性別も年齢も越え、やがて街全体が自暴自棄の変質者になり、いつしか全裸で奇声を上げることが常識になった。そして人々はこう言った。

「人生、それはキモい奴とキモい奴がくっついてキモいことでキモい功績を上げることが絶対正義の行いである、という思想を根底に張り付かせた暗黒のゲーム。私はこのゲームをいち早く切り上げたい。君もそう思わないか」

おわり

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