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鑑定機関について(4)

今回はまとめです。
4回も続いちゃったよ。さらっと流すつもりのネタだったんだけどなあ。


ま、結局のところ、この4回を通じてもっとも言いたかったことは、

「カードは、信頼できるショップ/ディーラーから買いましょう」

ということですね。

今の世の中、カードショップなんて腐るほどあります。

安いところもあるでしょう。高いところもあるでしょう。
でもさ、どちらも結局「ショーバイ」なのよ。

高いところが「高い」理由は、人件費だったり安定した商品入荷のためだったりなんです。
安いところが「安い」理由は、個人営業だったり副業だったり……まあ中にはもちろんまっとうな企業努力をして安くしてるところもあるでしょうが、結局のところコンスタントにいい商品を仕入れ・販売し続けるとなると、どうしても仕入れ価格は上がり「お得」な値段には落ち着かないんですよ。
「売値」に最も影響するのは「仕入れ値」なので。

「仕入れ(=買取)」を行わず、地道にトレードなどで集めたカードをオークションで売っている一般プレイヤーの値段はやはり安いです。
ショップやディーラーから買うと高いです。ショップと一般プレイヤーを隔てる最も大きな違いは「常に在庫を持ち続ける必要がある」の1点です。
大安売りで売れるだけ売って、在庫が無くなったら「しなぎれでーす」じゃショップじゃないですから。

で、そりゃみなさんがカードを買うときは安いほうがいいに決まってます。
安いシングルカードならオークションとショップの差も微々たる物ですが、高額カード……とくにパワーナインやヴィンテージ1流カードになるとその差は数千円、ときには万の額となるため、オークションで安いのを探したい気持ちもわかります。

でもね。
やっぱり、プロはプロなんですよ。

決して「プロから買えば安心だから保険料だと思って払え」なんていうつもりはありません。
そう思っているうちは、たぶん買っても「なんか損した」って気分のままになると思いますから。

購入者の方が「自分には、プロフェッショナルから買う理由がある」と思っていただけるよう、それだけの理由となるものを提供できるよう、ショップ/ディーラーなどの「カードを売って生活する(= プロフェッショナル)」な人間はそれだけ努力をしなくてはならないと思ってます。それで商売をしている側から「俺らは信用できる。だから多少のカネは払え」なんて言ったら、そりゃタダの馬鹿でしょう。対価を払うのはあくまでもお客さん。そのお客さんが「この値段なら妥当だな(オークションよりは高いけど、商品価値を考えればこの値段ならアリだろう)」と思って買っていただけるよう、それだけの安心と安定(プロとアマチュアの違いって、極論を言えばこれだけですから)を提供できるようにならんといかんと思います。

↓↓↓

これは私が実際にした体験なんですが。
とあるマジックのプレミアイベントでディーラーをしてた時です。
お客さんの一人が「すいません、よかったらトレードってできますか?」と聞いてきたんです。
基本的に「仕入れ値」と「売り値」の差額で生活をしているディーラーとしては、等価交換となる「トレード」は鬼門なんです。それをするとタダ働きになってしまいます。

しかしそのお客さんは常連さんでした。名前は知らないですが、顔は何度も見てます。
まぁ、内容次第ならサービスのつもりでやってもいいかなと思い希望しているトレードの内容を聞きますと「ベータのデュアルランドを別のものと交換したい」とのことでした。
ベータのデュアルランドはかなりの人気商品です。念のために種類を聞くと「Tundra」と「Volcanic Island」を出して、他の種類のものと1対1交換したいとのことでした。両方とも10種類のデュアルランドの中でもトップクラス(当時は)でしたので、それは断る理由もありません。どれでも好きなの持って行け状態です。

その条件ならトレード可能なのでカードを見せてくれと伝えると、そのお客さんは大切そうにバインダーからカードを出し、スリーブを外してこちらに渡しました。
手に取った時に微かな違和感。慎重に表裏を確かめ、手触りを確認し、光にかざし、反射させました。
『CEフェイク』。Volcanic Islandのほうが偽物でした。

私がトレーディングカードのディーラーになって早6年がたちますが、あの時ほどココロに堪えたことはありません。
いつも本当に楽しそうにカードを買い、ゲームで遊んでいたお客さんに「これは偽物です」と伝えるのは本当に辛かったです。いっそ何か適当な理由をつけてトレードを断ろうかと思いました。しかしそれをしても……結局ダレも喜ばないんですよね。お客さんはこちらをプロとして信頼してくれてました。ヘタな嘘は信頼を失うだけでなく、そのお客さんが更に損をする(=また偽物をどこかで買ってしまう)ことにも繋がります。

ちなみにそのカードが偽物であることを告げ、トレードをお断りした直後。「そのカード、安く出るなら引き取りますよ!!」と目を輝かせてそのお客さんに寄っていったハゲタカのような阿呆がおりました。殴ろうかと思いましたよ、ホント。

なおそれ以後、そのお客さんをイベント会場で見かけることはありませんでした。
(阿呆はよく見かけました。今でもキライです)

高額なカードほど偽造も増えます。これは間違いないです。
安心は金で買えるんです。笑顔も金で買えるんです。

1度の被害は、それが数千円(いままでマジックにつぎ込んできた額と比べるなら、決して「たった」と言ってはいけない額ではないと思います)であっても、いまみなさんが楽しんでいるゲームの全てを嫌いになれる威力があるんです。

このblogを見て下さっている皆様が、このような被害に合いません事を切に願います。


■秘密日記
しかしアレだ。
自分で書いてて思うけど、こりゃなんかの宣伝文句みたいだな。

まー、ホンネを言えば「俺から買って」というのは事実だがねえ。タイムスパイラルは本当にきっついなあ…。タイムシフト・カードがなかったらやってらんないっすよ、このセット。

免責(?)

この記事はリバイバル記事です。元の記事は、とっくの昔に更新停止したDiarynoteのブログです。このNoteの内容は昔に書いた内容をコピペしてますが、ところどころ修正してたりします。で、たまに当時は書けなかったことや裏話を追記しています。まあ、基本的には手抜きです。楽なことは大事。

2024年追記

この記事を書いたのは2006年11月22日でして、そして元のブログの最終記事を書いたのは2007年12月31日。じつにもう20年近くも昔の話です。

にもかかわらず、なんとこの回の記事についてのコメントが、昨年になって某5chの掲示板に書かれてたいう奇跡が。

0812名無しプレイヤー@手札いっぱい。 (ワッチョイW 3f73-JN69 [27.83.229.40])
2023/05/17(水) 17:17:01.52ID:LCTC73270
最近復帰して前スレでマジック黒歴史のページみたんだけど
ちなみにそのカードが偽物であることを告げ、トレードをお断りした直後。「そのカード、安く出るなら引き取りますよ!!」と目を輝かせてそのお客さんに寄っていったハゲタカのような阿呆がおりました。殴ろうかと思いましたよ、ホント。
なおそれ以後、そのお客さんをイベント会場で見かけることはありませんでした。
このシーン居合わせたわ
多分2000年に横浜でやった世界選手権の時だ
つかこれシャーク同士の獲物奪われた案件だから
このお客さんって北関東にお住まいの通称おにぎりさんって呼ばれていた、坊主頭の男で当時デュアラン全部集めようとしてて
で、この零って人の値段がクソ高かったんよね
だからトレードでって話しになったのが経緯のはず
で、ハゲタカが偽物を引く代わりに本物を多量に売ってあげたはずよ
晴海ワシントンホテルに泊まってた外人バイヤーから安く仕入れてたから、半値近い値段のはず
正確な値段は分からないけど、帰りにおにぎりさん含めてみんなでバーミヤンで話してた時、零が高すぎだとか半値近くで買えたとか話してた記憶がある
おにぎりさん辞めたのも仕事が忙しくて、デュアラン全部集まったら引退って話しだし

【MTG】最新セット雑談スレッド2021

なんで今になって、こんな大昔の出来事を思い出しちゃったんでしょうかね。

ただ、残念ながらこの人の指摘はハズレです。人違いでしょうね。
2000年の横浜の世界選手権の時、私もたしかに会場に居ましたが、その時はまだショップに就職する前で、学生でした。というか、この横浜選手権のときはまだディーラーテーブルが「きちんと」設置される前で、有象無象の国内&海外ショップならびに個人が、わちゃわちゃと出店してたと記憶してます。

この事件があったのはもうちょっと後、そして場所は横浜ではなく都内のとあるイベントです。山手線の北西の方角。そのイベントに出店していたのは2店だけであるためイベント名は伏せさせていただきますが、HobbyJapanが自身で運営していたイベントなので、そこそこの大きさの大会でした。あと、お客さんも坊主頭ではないです。というか、ハゲタカのほうが坊主。

ただ、私の店のカードの値段が高かったというのは、まあ同意です。企業の業務としてやっていると、どうしても人件費と出張経費を乗せなくてはならないので、オークションやら個人間のトレードよりは割高になってしまうんです。しかも、デュアルランド、特にベータのものが値上がり時期であったため、このイベントではかなり強く価格の値段となっていて、結果としてデュアルランドは殆ど売れなかったと記憶してます。

ただ、この書き込みをした人が、実際に似たような場面を見たのはおそらく本当なのでしょうね。
だとしたら、被害者が最低でも2人いたという話となり、なかなか悲しいものです。

しかしひょっとすると、書き込みをした人がいろいろ記憶違いをしていたという可能性も高いです。実際の事件があったのは横浜の世界選手権からほんの数年後ですし、被害者&ハゲタカの容姿を逆にするとそれなりに納得できます。あと、横浜のイベントで晴海ワシントンホテルに泊まるというのは現実的ではない&晴海のホテルに泊まるのはビッグサイトのイベント以外ではほぼありえないので、2001年のプロツアー東京と混同しているのではないかと推測します。なにより「晴海ワシントンホテル」いうのがリアルですね。海外ディーラーご用達のホテルじゃないですか。

だとしたら、やっぱり被害者は1人だったのかもしれません。そうであることを願うばかり。

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