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保育セミナー「うたげと初心」に寄せて〜保育者が育つってことのモヤモヤとその周辺

11月11日、12日に開催される新しい保育セミナー「うたげと初心」。
全編、1か月の見逃し配信付き!
ライブビューイング会場もあります!!

新しい保育セミナーを企画しました。その名も「うたげと初心」。
それに寄せる形で、今考えていることのあれこれや、保育について書き記したいと思います。

1回目は、保育者が育つってことのモヤモヤとその周辺。
保育セミナーというくらいですから、内容はさておき、その目的は何らかの「学び」やその学びを通しての「育ち」が期待されているはずです。

「一回、一回の研修にそこまで期待してないよー」、というのは実際あるとして、表向きはそのような「学び」や「育ち」が期待さてているはずです。

でも保育者の育ちって何なんだろうか、とふと考えてしまいます。そう言っちゃうとさらに元も子もないような気もするけれど・・・。

なんでそんなことを考えているかというと、

複数の園で保育者たちと保育を語り、
所属する法人内では育成担当として、また外部でも執筆や講演を通して保育者たちと研修を行う日々のなかで、

しばしば「ちょっとわかんなくなってきたな」とか、「うーん、ほんとのところ、自分はどう考えてるのかな?」とか、立ち止まってしうまうことが多いからです。

保育者の育ちを、「何かができるようになること」だとしてみるとどうでしょうか。確かに、私も保育現場に立ってから散歩の仕方や、絵本の読み方などに始まり、複数の子を同時に見る見方、記述やトークで臨場感を出す技などなど、「できなかったことができるようになってきた」経験をしてきました。

それも育つって言ってもいいかもしれません。
でもそれが全部ではない気もするのです。

育つってことを「できるようになること」だとすると、

育つって、ある意味選択的じゃない。
育つって時には悲しい。

そんなふうに感じるからです。

保育者として、20数年?(あーヤダァ)、仮に自分が「できるようになってきた」=育ったとすると、それはそのすべてが意識的、選択的であったようには、どうにも思えないのです。

「ある時、ふいに、気がつくと身についてしまったこと」がたくさんあるような気がするのです。
そして、ある時、また別の角度で、自分のその「育った」姿を振り返ると、控えめに言っても「あーあ、しょうもないなぁ」ということもたくさんあります。

例えば、声の出し方。いつから自分はこんな声の出し方してるんだっけ???
あー、やだ。これ。
その声の出し方で、子どもを「ひきつける」ことはできているかもしれない。でも、なんて嫌な声なんだろう。
たとえばそんなことです。

成功体験が自分を限定し、そこから見える風景に固定し、ふと気がつくまでは自分自身も「いい気になっている」ことが、私にはよくあります。

でもまた一方で、園長経験のある身からすると、「それぞれの人があるがままのその人でいいじゃないか」という美辞麗句だけではどうにもならないことも痛感してきました。

ある局面ではやはり保育は技術として語られた方が、「キツくない」こともあります。それは単に技術なんだよ、属人的な何かではないから、できるできないはその人の人格への評価ではないんだよ、ということも、時には大事なターンも必ずあります。

ある局面では、やはり技術がないとどうにもなりません。
声の抑揚でひきつけなければ、その後の子どもたちとの対話へいけなかったり。複数の子どもを見ながら、丁寧に一人一人を見れなければ安全を確保できなかったり。

このあたりのことは「保育基礎講座に寄せて」で詳しく書きましたので、どうぞご一読ください。

くねくね書いてきましたが、
私自身がいまだに保育者が育つって何だろうねぇ、
それは技術だけじゃないけど、いやいや技術が全然いらないとかって言ってんじゃないんだけど、でも「何かができるようなこと」ってそんなたいそうなことじゃないし、時には怖いでしょ、でも・・・

という、もやもやの中にいるわけです。

育ちって、なんだか時には自己否定のような気がする。
できてないことができるようになる、ということは自己刷新であって、昨日より今日、今日より明日!みたいな。

そういうのって、キラキラ、ギラギラしてるけど、時にはとてもくたびれちゃうんですよね。さらに、それを他者に期待するってなんなんだろう。

たまたま育っちゃうときもあるよね、
育っちゃわないと、もどかしいから、育っちゃおうというときもあるよね、
でもそれが悲しいことにならないようにしたいよね
育っちゃわないぞ!というのも、全然アリだよね

このあたりのモヤモヤに、私は今取り囲まれています。正直に言って。

それで、一人で考えていてもわからないから、「初心」というテーマでいろんな方に、いろんなテーマで、聞いてみたい。
このあたりも、保育セミナー「うたげと初心」の一つの動機でもあります。

皆様ぜひ。


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