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1.5 “よい”姿勢についての補足

人類の姿勢を見直す」の記事では、“よい”姿勢の定義を、座位・立位だけでなく様々な姿勢において、『すべての大関節(脊柱、肩、肘、股、膝、足関節)を最大に正しく動かせる状態』とした。

しかし、“よい”姿勢の定義は、コンテキスト、つまり姿勢について考える背景や目的、視点により異なる。このことについて、分かりやすい説明をしている運動学の書籍を以下に紹介する。

よい姿勢、わるい姿勢を判断する基準は、どのような視点に立ってみるかによって異なる。力学的には姿勢の安定性、力の効率などが問題になり、形態学的には脊柱、四肢の骨格、関節や筋の構造など、神経学的には神経筋の活動など、運動生理学的には疲労、循環やエネルギー代謝など、心理学的には性格、心理的状態などが取り上げられる。美学からは、プロポーションや表現様式などが中心になる。同じ姿勢であっても、それぞれの視点によって、姿勢には異なる意義があり、それにしたがって理解され、評価される。
— 中村隆一, 齋藤宏, 長崎浩. 基礎運動学. 第6版. 医歯薬出版; 2003. 339 p.

このように“よい”の捉え方は様々であり、時代や文化の変化にも影響されるであろう。

上記を踏まえた上で、姿勢が全ての“動き”の基盤であると考え、良い姿勢とは最大に正しく動かせる状態と定義した。“動き”については、四肢の関節運動はもちろん、呼吸、代謝・循環、さらには社会的な交流などを含めた広い意味を想定している。

このことを前提に、今回のおしゃべりマウンテンの記事における“よい”姿勢について読み、理解していただきたいと思う。

現在地… 1.5 合目の休息所☆


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