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山便り (3)

天気の良い日は山、雨の日は?

 山へ行くのは楽しくてしかたがない。朝の目覚めが良い。暗いうちに目が覚め、今日の山での仕事の段取りを考えながら、明るくなるのをじっと待つ。だが、雨の日はそうはいかない。さて、今日はなにをするかと考え悩む。今の私の行動は天気次第なのだ。だから午後6時52分からのNHKの天気予報を見るのを欠かさない。この天気予報で翌日の行動が翌朝までに練られて行く。週間天気予報でこれから一週間の行動予定が決まっていく。私の行動予定は、晴天でも曇天でもいいのである。雨が降らなければよいのだから午前中なり午後なりで半日は行ける。朝晩雨というのが一番始末が悪い。それでも一日中雨が降っている日はそんなにないので、遣り残している日常のこまごましたことや、カインズホームに買い物に行って過ごす。「晴耕雨読」も良いが、山へ行くのと同じくらい楽しい山本周五郎、藤沢周平は読み終えているし、宮部みゆきは当たりはずれがあるし、司馬遼太郎も最高に楽しい一日にするには、硬すぎる時もあって「雨読」を固定する訳にはいかない。

 梅雨時は閉口する。山に行けずイライラしてくる。何か楽しい事はないかといろいろ考え、裁縫をやってみることにした。退職後、着ることは滅多にない背広を、普段着、作業着に作り変えられないかと考えたからである。30年も使われていなかったミシンを取り出し、裁縫の本を買ってきて少々読み、手始めに作ったのが下の写真の服。襟を取り、裾の部分を短くし、ポケット部分が不釣合いなので、隠すようにベルトを装飾的に縫いつけた。「これを着ているときは、絶対に一緒に歩かない」と下の娘がのたまわった。

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