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わたしのこいは

池で飼っているこいが、ぶくぶく太って、わたしの身長とうとう超えた。「ああ、こりゃいかん」と父がいう。

ある晩、父がこいを池からひっぱり出して、母とふたりで持ち上げた。父があたまで、母が尾びれで。ふたりはこいをかついで夜道をあるく。むかうのは小学校。わたしも後ろをついていく。

父が塀をのぼって忍び入り、母がこいをもち上げる。父はこいを受けとると、小学校の池にドロリ、こい、放つ。寝ていたちいさなこいたちがビチビチとおおさわぎ。

あくる朝、小学校の池をのぞいてみたら、みんな仲良く死んでいた。わたしの太ったおおきなこいも、ちいさなこいもみんな仲よく死んでいた。

かえって父と母に「死んでたよ」と伝えると、母が「それならこいこくにすれば良かったわ」と泣いている。父は「こいこくなんて、臭いからかなわんよ」と言っている。魚の焼ける匂いがする。今日のご飯は焼き魚。ああ、ナポリタンが良かったな。

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