色づく世界の明日から・感想
各年1月、4月、7月、10月の番組改編期に一斉に始まる新アニメを、それぞれ20XX年冬/春/夏/秋アニメと呼ぶ。2018年秋期は数多くの良作品が放映され、近年最も恵まれたクールとして知られる(誰に?笑)。
そんな2018年秋アニメの中でも、原作のないオリジナルアニメ、すなわち、
SSSS.GRIDMAN
ゾンビランドサガ
色づく世界の明日から
の3本は必見である。
あなたの身近にアニメを見ている人がいたら、ぜひこれらの作品について尋ねて頂きたい。名前を出しただけで目をきらめかせ、嬉々として賛否あれこれ語ってくれること請け合いである。
もしあなたが、これまでアニメなど全く興味がなかったのにも関わらず、何の気まぐれか「どれ、近頃のアニメでも見てやろう」と思い立ったのなら、上記3本、いずれもお勧めできる。
できれば3本とも見てほしい。アニメの各ジャンルをおおむねカバーしているからである。
日常ものを守備範囲とする自分としては、色づく世界の明日からが一押し。アマゾンプライムで見られるから見やすい(現時点で他の2本はアマプラで配信していない;ネトフリではどうだか知らない)。
(あらすじ)
2078年、長崎。
ここは「魔法使い」のいる世界――
夜空を彩る花火を見上げながら打ち沈んだ表情を見せるのは、内気な魔法使いの高校生・瞳美。どうやら彼女には「色」が見えていない様子。美しい花火も彼女にとってはモノクロでしかない。
祖母に呼び出され、花火の見える丘までやって来た瞳美はこう切り出される。「これからあなたには、私の魔法で60年前に行ってもらいます」
――2018年、長崎。
理由の一切も分からず突然に、しかも戻る方法さえ分からぬまま過去に飛ばされた瞳美は、同い年となった祖母の家に身を寄せ、60年前の母校に通い始める。
心優しき写真美術部の面々と出会った彼女は、次第に自分の「色」と「魔法」を取り戻していく……
自分もオーバー30の年齢で、それこそ幼少期から数えたら千、万の単位でフィクション作品に触れてきたはずなのだが、「号泣」したのは本作が唯一である。
目が潤む、目頭が熱くなる、ちょっと涙こぼれる、くらいは、本を読んでいればまぁ時々ある。フィクションでもそうだし、ドキュメンタリーやスポーツを観ていてもそう。特に最近(子ども生まれてから?)は何だか涙もろくなってしまった自覚はある。
しかしこの作品――特に最終13話は、全部で25分弱あるのだけれど、冒頭から前触れなく涙が出始め、落ち着いたと思ったら次の山場でまた涙ぽろぽろ。最後の回想シーンなどは、もう涙拭うのを諦めるくらいの号泣で、しかも初見からおよそ2年が経った今でも変わらずそうなってしまうのは自分でもおかしな話だが、ご覧になった方ならお分かりいただけると思う。
絵と音楽も実にいい。
タイトルに「色づく」と冠するだけあって、色彩の表現は抜群。イラストレーター・フライさんの描いた可愛いらしいキャラクターデザインも秀逸。サウンドトラックや主題歌も素晴らしい。
それを象徴するのがオープニングとそのアニメーションである。youtubeに公式の動画があったので貼り付けてみる。可能ならでかい画面と最高画質で見てほしい。
初見では「あーまぁきれいですねー」程度の感想でしか持てないかもしれない。自分もそうだった。それが回を重ねるごとに、物語とリンクし、とにかくオープニングもエンディングも飛ばせなくなってしまう。
そして最終回の演出……ぜひご覧下さいとしか言いようがない。
キャラクターに深く感情移入し、終わった瞬間、作り手だけでなく、キャラクターにまで「ありがとう」と思った作品としても筆頭かもしれない。本当に温かな気持ちになる。
リアルタイムで約3ヶ月、毎週追い続けた思い出とともに、今もなお、強く愛しさを覚える大切な作品です。
ところで、本作の監督・スタッフの過去作として、凪のあすからという作品もあって、そちらはそちらで超のつく名作なので未見の方はぜひ(アマプラでも見られる)。
あの花(あの日みた花の名前を僕たちはまだ知らない)などで有名な岡田磨里さんの脚本。本作よりはちょっとねっとりしており、2クール26話とやや長いがお勧めできる。
以上、ごく短いですが、色づく世界の明日から・感想です。
奇特にも本記事をお読みいただいた方のうち、ほんの数名でいいから、本作に興味を持ち、ご覧頂ける方がいらっしゃったなら嬉しい。繰り返しますがアマゾンプライムで見られます。
すでにご覧になっている方へ……これホントいいよね!!