ダンテ「神曲」地獄篇第6歌〜チャッコ〜
昨日から実家に帰省している私ですが、今日も庭の草むしりに追われ、ペースが乱れております。笑
(昨日、母親の実家に行く前も、ひたすら草刈りしてました笑 土のにおいとダンゴムシが懐かしかった^^)
さて今回も、ダンテの「神曲」を読み進めます。
美食家チャッコ
「ciacco」とは「豚」を意味するニックネームです。
ダンテはケルベロスに会ったあと、この彼と出会います。
彼は生前に美味しいものをたくさん食べすぎたせいか、いつしかチャッコと呼ばれるようになりました。豚って呼ばれても食べ続ける彼のメンタルの強さ…。
前回の神曲の記事で、エサウが「食悦は死に至る大罪である」と言われていたのと同じく、チャッコもまた、食悦の大罪によって地獄へ落とされてしまったのです。
ダンテの事後予言
ダンテは13世紀イタリア、フィレンツェ出身の詩人。
当時のフィレンツェでは、市内でさまざまな対立が相次いでいました。
するとチャッコは私に言った、「長い諍いの後、 血を見ることになるだろう。そして、田舎者の党[白派]が 行き過ぎた損害を与えて、一方の党[黒派]を追い払う。
そこから必然的に、今から三年も経たずして、
白派は没し、黒派が昇ってくるだろう、
今、巧みに天秤載せをしている者[ボニファーテイウス八世]の威を借りて。黒派は、白派に重き軛をかけて、
長きの間、頭を高くして支配権をふりかざすだろう、
白派の者たちがどれほどその重荷に悲憤慷慨しようとも。
ダンテは白派に加担していたため、黒派によって追放されてしまいました。そのあとで、この「神曲」を書いたのです。
未来形で書いてあるけど、すでに起こった出来事なので、「事後予言」ということです!
また、最終的に悲憤慷慨(ひふんこうがい)して死ぬのが、白派ではなくボニファティウス8世なのが、個人的に面白いところです。
また最後にチャッコは、
高慢、嫉妬、貪欲、これらが 人心に(不和の)火を付けた三つの火花だ。」
と言っています。うーん、深い…。
誰だって自惚れたいとき、やきもち焼くとき、欲望が抑えられないとき、ありますよね〜
それを小さな火花で抑えきれなかったのが、フィレンツェ市内の闘争だったのでしょう。血を流す争いは、もう十分なんじゃないかと私は思います。
詩の美しさ
チャッコは最後にこう言って、泥土に倒れました。
più non ti dico e più non ti rispondo”.
piu non は「これ以上〜ない」、direは「言う」、rispondereは「答える、返事する」という意味です。
この一文を日本語で表すと、
もうこれ以上、私は話しも答えもしない。」
となりますが、この一文、ごりごり韻を踏んでいて私はとても好きです(^。^)
韻を踏むといえば、カエサルの名言、「来た、見た、勝った」がありますね!
原語はラテン語で、「Veni, vidi, vici,」(ウェーニー、ウィーディー、ウィーキー)と読みます。読んでとっても気持ちいい!!
そうそう、当時の知識人の共通語は「ラテン語」でしたが、ダンテは『神曲』をあえて「イタリア語(トスカーナ方言)」で書きました。
ラテン語が分からない人も読めるからこそ、『神曲』はより多くの人に愛された作品なんですね♪
いやあ、ダンテさん趣深すぎて、第6歌ですらまだ理解が深まっておりません! ですが歴史も考え方も勉強になることがたくさん詰まっているので、第7歌まではゆっくり読み進めたいと思います。
今回、参考にさせていただいたブログのリンクを貼らせていただきます!
明日はまた書く時間ないぞ〜〜(書き溜めてない自分に反省です泣)
それでは、またお会いしましょう*°
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