ぼくらきっと鏡みたいだった
「小説家になりたいんですよね」
初めて会った時にそう言った私に、なんと答えたか覚えてますか。
覚えてないだろうなあ。
だって本当に何気なく、思わず言ったって感じだったから。
でも私は一生忘れない。
私に運命の日があるとしたら、それはあの何気ない午後のことだった。
*
大学4年の私は、就活を終えてひましていた。
持て余すほど時間があるのはきっといまだけだ。せっかくだからなんかおもしろいことしたい。そう思って、変わったバイトやボランティアやイベントを探しては参加したりして