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とあるWebエンジニアが選ぶ、今年読んで特に良かった本5選

はいどうもー。クドウマサヤ(@masaya_dev)です。

これはiCARE Dev Advent Calendarの第2レーン19日目の記事です。1週間ぶり2回目の登場。前回の記事ではここ20年をざっくばらんに振り返ったので、今回は今年にフォーカスした記事を書いてみたいと思います。

年始から新しく始めたことのひとつとして、読書ログをつけるようになりました。Notionで書籍のタイトル・読了日・気づきや学んだことを記録しています。

こんな感じ

気になった書籍はつい衝動的にポチる癖があるので、一生積読が減らずにあまり本読めてないなぁ…なんて感覚だったのですが、ログを見返したところ50冊以上は読んでいて、自分の認識より多く読んでると驚きました。人間の感覚なんてバグだらけなので、ファクトフルネスの重要性を改めて感じますね。。。

それはさておき「ああ、これ読んだのこの頃だったのか」なんてしみじみ思ったり、時期によっての自分の興味対象を振り返ったりできるので、ログをつけるのオススメです。

というわけで、せっかくなので今年読んできた中で、特に自分の糧になったと感じた本をご紹介したいと思います。エンジニアが選ぶとか銘打ってるくせに、技術書は一冊もないんですが…(苦笑)

でも様々な分野からエンジニアリングに役立つ学びだったり、モチベーションになる刺激を得られたりするので、読書は楽しいということが少しでもお伝えできたらな、という気持ちです。

RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる

年始に読んで、これが今年の生き方に与えた影響は結構大きいなと感じている一冊。

Webエンジニアとして働いて10数年。技術的には色々出来るようになったけど、特定の技術のスペシャリストではない。これはプライベートでも同様で、多趣味なんだけど何かをめちゃくちゃ極めていると言えるものはありません。そんな自分に負い目を感じる瞬間は時折あります。

一意専心。ひとつのことをやり抜いて極めている人ってかっこよく見えますよね。でもこの書籍では、これからの時代はスペシャリストより、幅広い知識を持つジェネラリストを目指した方が良いと述べられています。専門特化は強みでもあるが、不確実性の高い現代では大きなリスクでもあると。

多種多様なキャリアから、紆余曲折を経て成功を収めた人物たちのエピソードが多く語られており、フラフラと現場を放浪してきた自分も、強みを活かしていけるかもしれないと大きな自信となりました。

本著で述べられている、「少なくとも一つの分野で深い知識を持っているが、同時にレンジも広い人材のことを指す『ポリマス(博識家)』」を今後突き詰めていこうと。自分のキャリア形成の参考になりました。

あと、「携帯ゲームの父」とも呼ばれる任天堂のレジェンド、横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」という哲学を元に一章丸々語られているのも、エンジニア的には面白ポイント。技術者として常に意識しておきたい考え方です。

ゲーム&ウオッチは、5年早く出そうと思ったら10万円の機械になっていた。量産効果でどんどん安くなって、3800円になった。それでヒットしたわけです。

これを、私は"枯れた技術の水平思考"と呼んでいます。

技術者というのは自分の技術をひけらかしたいものだから、最先端技術を使うということを夢に描いてしまい、売れない商品、高い商品ができてしまう。

値段が下がるまで、待つ。つまり、その技術が枯れるのを待つ。枯れた技術を水平に考えていく。垂直に考えたら、電卓、電卓のまま終わってしまう。そこを水平に考えたら何ができるか。そういう利用方法を考えれば、いろいろアイディアというものが出てくるのではないか。

「横井軍平ゲーム館」より

1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え

ビル・キャンベルの名をご存知の方はどれくらいいるでしょうか。私もこの書籍を読むまでは全く知りませんでした。GAFAを始めとするシリコンバレーの数々の経営者を支えてきた、伝説的なコーチです。彼のエピソードを教え子たちがまとめたのがこの一冊。

ビルがやっていたことは突飛なことではありません。愛を持って、愚直に、真摯に人と向き合う。人を大事にする。

ビルがコーチをしていた全員に対し語っていた「人がすべて」の信条。

どんな会社の成功を支えるのも、人だ。マネジャーのいちばん大事な仕事は、部下が仕事で実力を発揮し、成長し、発展できるように手を貸すことだ。われわれには成功を望み、大きなことを成し遂げる力を持ち、やる気に満ちて仕事に来る、とびきり優秀な人材がいる。優秀な人材は、持てるエネルギーを解放し、増幅できる環境でこそ成功する。マネジャーは「支援」「敬意」「信頼」を通じて、その環境を生み出すべきだ。

「支援」とは、彼らが成功するために必要なツールや情報、トレーニング、コーチングを提供することだ。彼らのスキルを開発するために努力し続けることだ。すぐれたマネジャーは彼らが実力を発揮し、成長できるよう手助けをする。

「敬意」とは、一人ひとりのキャリア目標を理解し、彼らの選択を尊重することだ。会社のニーズに沿う方法で、彼らがキャリア目標を達成できるよう手助けをする。

「信頼」とは、彼らに自由に仕事を取り組ませ、決定を下させることだ。彼らが成功を望んでいることを理解し、必ず成功できると信じることだ。

「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」より

当たり前のようでいて、難しいことだと思います。様々なエピソードから溢れ出る、ビルの献身の姿勢が本当にすごい。

ちょうどMENTAなどでコーチングさせてもらう機会が増えていた自分にとって、とても刺激になりました。バイブルのようにこれからも何度も読み返したい。

全ての経営者、マネージャーにオススメしたい一冊です。

世界は救えないけど豚の角煮は作れる

さてさて、ちょっとお硬い感じの本が続きましたがちょっとここから方向転換。

気づけば登録チャンネル数が300を超えるくらい、長年YouTubeにどっぷりハマっている自分なのですが、好きなYouTuberのひとりである「にゃんたこ」さんが初めてのエッセイを執筆しました。

なんかこのダウナー感と、文学的な感じがめちゃくちゃ好きで。エッセイにもこのエッセンスが詰まっていて思わず一気読み。なんか心が救われました。

今までエッセイってあまり意識して読むことなかったんですが、めちゃくちゃ面白いやんけと。この書籍をきっかけに今年はエッセイ本を沢山読みました。本が本を呼ぶというか、こういう連鎖的な出会いはすごく好きですね。

自分でもエッセイ書いてみたい欲求あるので、来年はチャレンジしてみよう。。。

三体III 死神永生 

全世界で近年最も売れているSF小説と言っても過言ではなさそうな"三体"三部作シリーズの最終章。一作目を読んでから約2年、この本の発売が楽しみで仕方ありませんでした。

宇宙を舞台に時間軸も次元もガンガン飛び越えて様々なストーリーが展開されていくんですが、もうスケールがすごすぎてすごすぎて。。。

人間の想像力の果てしなさに驚きました。どんな生き方をしていたらこんなプロットが描けるのか。著者の劉慈欣氏は発電所でエンジニアとして長年働いていたんですよね。キングダムの原泰久氏も昔はSEですし、大作を作る設計力というのはエンジニアリングから培われているものなのかも、なんて思わされますね。

これ以上のSF作品に今世紀中出会えるのだろうかと。記憶を消して最初から読み直したいとここまで強く感じた作品は初めてかもしれません。残念ながら自分の語彙力では魅力を存分に語りきれないので、とにかく読んでみて欲しいです。視野と視座が変化して、世界の捉え方が大きく変わるかも。

自意識とコメディの日々

最後にご紹介するのは最近発売されたこの一冊。放送作家、構成作家としてバナナマンや東京03、おぎやはぎなどの有名芸人たちを影で支えているオークラさんの自叙伝です。

今となっては大活躍中の、数々の天才芸人たちとの若き日の出会い、過去に手掛けた舞台やテレビ番組のエピソード。お笑いが好きな人にとっては垂涎ものの一冊なのではないでしょうか。

なによりオークラさんのコント愛、クリエイティブにかける姿勢、熱量にグッときました。そして、若き日に出会った戦友たちと一流の現場で仕事を出来ている関係性がとても素敵だなと。十数年かけた努力が実ってしっかり花開いている感じがとても刺さり。ああ、自分も一生懸命モノづくりしようと改めて気を引き締められました。

あ、お笑いといえば今夜M-1ですね。自分はインディアンスと錦鯉推しです。どこまで勝ち進んでくれるか。楽しみだなぁ。

おわりに

久しぶりにこういった書評を書きましたが、紹介するために改めて読み返してみると新しい気付きもあって面白いですね。

学生時代から読書好きなのですが、自分は本との出会いも、人との出会いも本質的には同じものの様に捉えています。自分にとっての良本に出会えた時、出会うべくして出会ったなと、なにか運命的なものを感じる瞬間が時折。来年も素敵な本に巡り会えるかもしれないと思うと、今から楽しみです。

これからの年末年始シーズン、ゆっくり読書でもするかーなんて時の書籍選びの参考に少しでもなっていたら幸いです。

ちなみにiCAREでは技術書の輪読会も積極的に開催されてますので、貪欲にスキルアップしたいWebエンジニアの方はぜひぜひ🙏

ではでは!

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