ルッカは原始時代の人間と恐竜人見て、この時代がどの年代にあたるのか判らなくなっていた。(クロノトリガー)

 現代の考古学では恐竜は6500万年前に隕石で絶滅したとされていた。人間の化石が発掘された地層も最古のものでもせいぜい10万年前。人間と恐竜が同じ時代にいたはずはなく、しかも恐竜人まで存在している。ルッカはこの世界が自分達の知る世界と同じものなのか、そもそも同一時間軸で繋がっているのかさえも判らなくなっていた。魔族の存在については現代では隠蔽されていたものの、未来のデータベースの記録だと人間とほぼ同時的なタイミングから存在していたと判明した。魔族と恐竜人が同種族として解釈されていたなら矛盾はないのだが、だとしても同時代に恐竜がいる事について納得いかなかった。
 あり得るとすれば自分達が時を旅している中で、いつのまにか歴史が変わった可能性だ。未来には自分達以外にもタイムトラベラーがいるだろう痕跡があった。最果ての老人は何も教えてはくれなかったが、彼がタイムトラベラーの一人だとしとて、なんらかの介入をした可能性。。あるいは魔族の存在が隠蔽された様に恐竜の存在も隠蔽されていたという事だろうか。しかし、隠蔽説たと、それに見合う合理的な理由が必要になるが…

マール『きっと、ふつうに同じ時代に皆いんたんだよ。でも隕石おちて皆絶滅するから、誰かが保護して別の時代に連れていったんだよ。

マールの説は突拍子もない視点だった。究極的な動物愛護タイムトラベラーがいるのなら謎は全て解けるのだから。

つまり、これからこの世界に巨大隕石が落ちる。この世界にいる知的生命体、全人類と全恐竜人を保護して別の時代に連れていこうと何者かが現れて…

いやいや!ありえない!生きている者を保護できたとしても、これまで死んできた者(将来化石として残るだろう死骸)までどこか別の時代に持ち去るなんて現実的じゃないし、やるとしても意味がわからない。

冷静に考えれば、この時代の地層がそもそも採取すら困難な時代のものなのかもしれない。未来のデータベースにまだ残っていないのだから遥か未来の時代なのかもしれない。もしくは途方もない過去の世界。地質の調査が届かない地球の深層部、つまり数十億年過去の時代だとすれば化石が残っていても人為的に発掘できる領域ではなくなる。ルッカは時代を推定するのを諦めた。